本記事では、ウール着物の特徴や魅力・注意点を解説しています。
また、ウール着物の種類や洗い方・コーディネートを紹介するほか、よくある質問にも回答しています。
ウール着物について詳しく知りたい方は、ぜひチェックしてください。最後まで読むことでウール着物の基礎知識が身につきます。
ウール着物ってどんな着物?
ウール着物とは、羊毛で織られた生地で仕立てられた着物のことです。基本的には単衣で仕立てられます。単衣ですが生地が厚く暖かいため、夏以外に着ることがほとんどです。
また、ウール着物は普段着として着用されるカジュアルなものなので、フォーマルな場には向きません。
価格帯は1万円~5万円程度が相場となっています。
そもそもウールとは
ウールとは羊毛のことです。多くの場合、メリノ種と呼ばれる羊の毛が用いられています。その他にもコリデールやロムニーといった種類の羊毛が用いられることもあります。
また、アルパカやカシミヤヤギなど、羊以外の毛を用いた場合もウールと呼ばれることがあります。
ウール着物の魅力
ウール着物の魅力は下記の通りです。
- 季節を問わず楽しめる
- シワになりづらい
- お手入れが簡単
- 汚れが付きづらい
- 比較的安価で購入できる
それぞれ詳しく説明します。
季節を問わず楽しめる
ウール着物は季節を問わずに楽しめる点が魅力です。
通常のウール着物は生地が厚手で保温性が高く、吸湿性にも優れているので、冬でも暖かく過ごせます。春・秋・冬に着用するのが一般的です。
また、ウール着物の中には「サマーウール」という種類もあり、こちらは夏に適しています。サマーウールの着物は生地が薄手で、通気性も良いのが特徴です。
このように、ウール着物は生地の種類を変えることで一年中楽しむことができます。
シワになりづらい
ウール着物は素材の特性上、シワになりづらい特徴があります。
ウール素材は弾力性が高く反発性にも優れているので、ハンガーに干しておくだけでシワが伸びていくのです。
シワのつきやすい着物が多い中、干すだけでシワを防止できる管理の簡単さは大きな魅力と言えるでしょう。
お手入れが簡単
ウール着物は自宅で手洗いできます。
クリーニングに出さずとも手洗いで汚れを落とせる点はウール着物のメリットです。
お手入れが簡単なので、普段着として気軽に着用しやすいでしょう。
汚れが付きづらい
ウール着物の魅力として、防汚性と撥水性が高い点が挙げられます。
雨の日でも、水濡れや泥跳ねによるシミや汚れを恐れずに着られます。万が一汚れてしまっても、自宅で簡単にお手入れできるので安心です。
比較的安価で購入できる
ウール着物の価格は1万円~5万円程度が相場で、正絹や麻と比較すると安価です。着付け初心者の方でも挑戦しやすい価格帯と言えるでしょう。
また、価格がお手頃なのでさまざまなデザインを集められる点も魅力です。普段着として、バリエーション豊かに着物を楽しめます。
ウール着物の注意点
ウール着物には上記の魅力がある一方で、このような注意点もあります。
- 虫食いが発生しやすい
- 着心地が気になる人もいる
- フォーマルな場には適さない
一点ずつ見ていきましょう。
虫食いが発生しやすい
ウールは動物性繊維であり、衣類害虫と呼ばれる虫に好まれます。タンスやクローゼットに長期間しまい続けていると、虫食いが発生しやすいので注意しましょう。
ウール着物の虫食いを防ぐためには、保管時に防虫剤を一緒に入れておくことが大切です。また、3ヶ月に一度は虫干しを行い、湿気を放出するとともに、害虫やその卵などを取り除きましょう。
着心地が気になる人もいる
ウール着物を着た人からは、「チクチク感がする」「裾さばきが悪い」といった声が挙がることがあります。
人によっては着心地が気になる場合があるので、初めてウール着物を購入する方は、店舗で試着することをおすすめします。特に肌が敏感な方は、ウール独特の素材感に注意が必要です。
フォーマルな場には適さない
ウール着物はカジュアル仕様なので、フォーマルな場には向いていません。
あくまで普段着としての着物であり、結婚式や式典といった格式高い場面には着ていけないことに注意してください。
ウール着物の種類
ウール着物は大きく以下の3種類に分けられます。
- 単衣
- アンサンブル
- サマーウール
各種類の特徴を詳しく解説していきます。
単衣
ウール着物は基本的に単衣で仕立てられます。単衣とは、一枚の生地で仕立てられた着物のことで、裏地は付いていません。
通常、単衣の着物は6月初旬~6月末や9月初旬~9月末の暖かい時期に着用しますが、ウール着物に限ってはそれがあてはまりません。
ウールの生地は厚手で保温性が高いため、単衣仕立てでも夏以外の全シーズンで着用できます。
アンサンブル
同じウール生地で仕立てた着物と羽織りのセットを「アンサンブル」と呼びます。
ウールのアンサンブルのメリットは、気候に合わせて服装を調整できる点です。
肌寒い日は羽織を着たり、暖かい日は脱いだりすることで快適に過ごせます。
サマーウール
ウール着物の中には、夏用のサマーウールというものがあります。
サマーウールとは、羊毛を薄手に仕立てた生地のことです。サマーウールの着物は通気性が高く、吸湿性・放湿性に優れています。
生地が薄手で透けることがあるため、下に着る長襦袢は見えても問題ないものを選びましょう。
ウール着物の見分け方
ウール着物は手触りで見分けられます。他と比べて触感がチクチク・ゴワゴワしているので、どれがウール着物かすぐに分かるでしょう。
ウール着物は見た目も特徴的で、近くで見ると毛羽立ちを確認できます。正絹やポリエステルのような光沢もありません。
また、生地自体の厚みからも判断可能です。ウール着物は他よりも生地が厚手なので畳んで並べると分かりやすいでしょう。
ウール着物の洗い方
ウール着物は自宅で手洗いできます。
まずはウール着物を大きめの桶に入れ、着物全体に水を浸透させましょう。水が浸透しきったら、あとは押し洗いをするだけでOKです。
押し洗い後は、洗濯機で20~30秒程度脱水を行ってください。脱水後はまだ水分を多く含んでいるかもしれませんが、その状態で干すことが重要です。長時間脱水しすぎると着物にシワがついてしまいます。
自宅での手洗いが心配な場合は、クリーニングに出すと良いでしょう。約1,000円~5,000円で依頼できるので、ウール着物を着る頻度がそこまで多くないのであれば、プロに任せた方が安心できます。生地が傷んだり縮んだりすることもありません。
ウール着物のコーディネート
ウール着物のコーディネートを、生地の種類や着物の格ごとに3つ紹介します。小物との組み合わせや色選びなどの参考にしてみてください。
和洋折衷のウール紬コーディネート
ウール紬の下にハイネックのニットを合わせた、和洋折衷のコーディネートです。
ウール着物は、肩肘張りすぎることなく、自由な組み合わせを楽しめます。着物を普段着で取り入れたい方は、ぜひこちらのコーディネートを参考にしてみてください。
涼しげなサマーウールの着物コーディネート
サマーウールの着物に水色の半幅帯を合わせたコーディネートです。着物の柄と帯に使われている水色は涼しげで、まとまり感があります。
また、サマーウールは生地が薄手なので下の長襦袢が透けて見えており、こちらからも涼感を覚えます。
ウール小紋に名古屋帯を締めた花柄コーディネート
ウール小紋に名古屋帯を締めたコーディネートです。着物や帯だけでなく、半襟にも花柄を取り入れており華やかな印象です。色合いが落ち着いているので、全体に花柄が入っていても大人らしさを感じられます。
ウール着物のよくある質問
ウール着物に関するよくある質問をまとめました。
※タップで質問の回答に飛べます。
夏に着られるウール着物はある?
通常のウール着物は春・秋・冬にのみ着るので、夏には向いていません。しかし、サマーウールの着物は夏に着用できます。
サマーウールの着物は生地が薄手で通気性が高く、吸湿性・放湿性に優れているので、暑い夏でも快適に着られます。
虫食いされたウール着物はどうしたら良い?
虫食いされたウール着物は、「かけつぎ」や「かけはぎ」といった方法で修復できる可能性があります。着物のかけつぎ・かけはぎ専門店に、修復をお願いできるか問い合わせてみましょう。
虫食い穴を自力で直そうとすると、帰って生地が傷んでしまうリスクがあるのでおすすめしません。
また、ウール着物に虫食いが発生した場合、他の着物も同様の被害に遭っている可能性が高いです。タンスやクローゼットからすべての着物を取り出し、虫食いがないか確認した上で洗いましょう。
虫食いがあったタンスやクローゼット事態に害虫が住み着いている場合もあるので、保管場所自体の掃除も欠かせません。
虫食いは再発しやすいので、一度見つけた際にはきちんと対処を進めることが重要です。
まとめ
本記事では、ウール着物について網羅的に解説してきました。本記事で紹介したウール着物の魅力と注意点をまとめると下記のようになります。
- 季節を問わず楽しめる
- シワになりづらい
- お手入れが簡単
- 汚れが付きづらい
- 比較的安価で購入できる
- 虫食いが発生しやすい
- 着心地が気になる人もいる
- フォーマルな場には適さない
ウール着物はさまざまなコーディネートを楽しめる優れものです。
本記事を参考に、ウール着物を楽しんでみてください。
ウール着物の選び方や着こなしを身につけたい場合は、着付けのプロから教わるのが一番です。下記のページで、初心者におすすめの着付け教室を紹介しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。