腰紐は、着物の着付けには欠かせないアイテムです。腰に締めるだけでなく、胸紐や仮紐としても活躍します。
しかし、本記事を開いた方の中には、腰紐の正しい結び方や活用方法を知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、腰紐の概要や使い方・サイズ・素材・代用品などの基本的な知識を解説します。
腰紐について知りたいことがある方は、ぜひ参考にしてください。
腰紐とは
腰紐とは、着崩れを防ぐために腰に締める紐のことです。着物だけでなく長襦袢に対しても使います。また、衿を抑えるため胸元に締めたり、帯の仮留めとして使ったりすることもあります。
さらに、家事の際などに着物の袖をまとめる「たすき掛け」にも使われます。
腰紐の使い方・結び方
先述の通り、腰紐の使い方は多岐にわたります。用途別の結び方を見ていきましょう。
腰紐を腰に締める・胸元に締める
腰紐を、腰に締める際の使い方を解説します。
- 着物の身頃を合わせ、裾線を決めます。
- 腰紐の真ん中を持ちます。
- 右手で衿を押さえながら、腰骨の少し上に腰紐を合わせます。
- 腰紐を体に沿わせながら巻きます。
- 背中側で腰紐をクロスさせ、強めに締めながら前に持ってきます。
- 体の正面から少しずらした所で腰紐を結びます(左右どちらでも構いません)。
- 腰紐をリボン結びします。
- リボンの片側の輪をほどきます。
- 余った紐は、体に巻いた腰紐の中にしまいます。
胸紐として胸元で使う場合は、リボン結びではなく以下のように結んでください。
- 腰紐を結びます。
- 腰紐を結んだ後、左右の紐をクロスさせます。
- 余った紐を、体に巻いた腰紐の中にしまいます。
腰紐を結びきらないのがポイントです。結びきると、動いた際に苦しく感じてしまいます。
腰紐の正しい使い方は、着付け教室でプロから直接教われます。やり方に不安がある方は、一度通ってみると良いでしょう。
腰紐をたすき掛けに使用する
腰紐をたすき掛けに使用する場合は、以下のように結びましょう。
- 腰紐を半分に折ります。
- 腰紐の端と端を、蝶々結びで結びます。
- 左腕に腰紐を掛けます。
- 腰紐をクロスさせ、右腕に掛けます。
- このとき、腰紐は8の字になっています。
- 8の字になった腰紐を、背中に回します。
- 腰紐を両肩に掛けます。
※左右逆でも問題ありません。
腰紐でたすき掛けをする方法は上記以外にもあります。他の方法は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
腰紐の長さ・幅・サイズ
腰紐の長さや幅・サイズは商品ごとに異なります。よくあるサイズ例は以下の通りです。
- 幅3.5cm×長さ175cm
- 幅4cm×長さ200cm
- 幅4.5cm×長さ205cm
- 幅5cm×長さ210cm
- 幅5.5m×長さ220cm
大柄な方は長めの腰紐を、小柄な方は短めの腰紐を使うと良いでしょう。
幅については、広すぎると細く丸まってしまい苦しくなる可能性があります。元々細すぎる腰紐も、同様に苦しく感じるかもしれません。ご自身にとって丁度良い幅の腰紐を見つけましょう。
腰紐の素材
腰紐の素材は次の4つが主流です。
- モスリン
- 正絹
- 化学繊維
- 綿
各素材の特徴を詳しく解説します。
モスリン
羊毛や木綿を平織りにした素材「モスリン」。腰紐の素材として最も王道です。
締めやすく緩みづらいのが特徴で、初心者の方に向いています。また、着物を傷めるリスクも非常に低く、安心して使用できるのも嬉しいポイントです。
価格もお手頃で、お手入れもしやすいので、どの素材を選ぶか迷っているのであればモスリンをおすすめします。
正絹
モスリン同様、締めやすく緩みづらい素材です。高級素材なので価格は高いですが、締め心地の良さは間違いありません。また、生地が薄手なので結び目がスッキリとまとまります。
デザインに限りはありますが、品質で言えばトップです。
化学繊維
化学繊維の腰紐はデザインが豊富で、おしゃれなものを選ぶことができます。また、価格が安くお手入れも簡単なため、気軽に使いやすいです。
しかし、化学繊維には滑りやすく緩みやすいというデメリットもあります。着付け用の腰紐には向いていないと言えるでしょう。帯結びの仮留めとして使うのであれば、化学繊維の腰紐でも十分かもしれません。
綿
綿の腰紐は、締めやすく緩みづらいです。色や柄も豊富なので好みのデザインを見つけられます。価格もお手頃で手が届きやすいです。
結び目が固くなりやすい点や、シワになりやすい点はデメリットですが、それ以外に気になるポイントはありません。
腰紐の片付け方
腰紐を使い終わった後は、ハンガーにつるして陰干しをしましょう。湿気が飛んだら畳んで収納するだけでOKです。
汗や汚れが気になる場合は、洗濯機や手洗いで洗えます。素材によっては洗えないものもあるので、洗濯表示をよく確認してください。
腰紐の畳み方・収納方法
腰紐は五角形に畳んで収納するのが一般的です。具体的な方法を紹介します。
- 腰紐を半分に折ります。
- 端と端が重なった部分を持ちます。
- 腰紐の先端が、長辺に重なるように折ります。
- このとき、折り重なった部分は三角形になっています。
- 三角形の先端が腰紐の幅の中心に来るように折ります。
- ④を繰り返します。
- 折り進めていくと、五角形があらわれます。
- 五角形ができたら、辺に沿って折り進めます。
- 最後は、腰紐の端を五角形の中に入れ込みます。
ポイントは、生地を張りながら畳むことです。そうすることで、腰紐に付いたシワを伸ばせます。
腰紐が売っている場所
腰紐は、主に以下の場所で売っています。
- Amazon・楽天
- メルカリ・ヤフオク
- 着物専門店・呉服店
それぞれの特徴や相場をチェックしていきましょう。
Amazon・楽天
腰紐はAmazonや楽天で販売されており、3~5本セットを500~1,500円程度で購入できます。
着物専門店や呉服店よりも安く購入できる点がメリットです。一方で、デメリットとしては質感やサイズなどが事前に確認できない点が挙げられます。
Amazonや楽天などを利用して腰紐を購入する場合は、口コミや評価をきちんとチェックし、信頼できる商品かどうかを見定める必要があります。
メルカリ・ヤフオク
メルカリやヤフオクを利用して腰紐を購入することもできます。3本セットが500円以下で販売されているケースが多く、非常にリーズナブルです。
ただし、メルカリやヤフオクで売られている商品は多くが中古品なので、中古であることが気になる方にはおすすめできません。
また、メルカリやヤフオクは個人が出品するサービスであることから、品質の高さに期待しすぎてはいけません。
利用する場合は、出品者と細かな点まで連絡を取り合うことをおすすめします。
着物専門店・呉服店
もちろん着物専門店や呉服店でも腰紐は購入できます。価格帯は、3~5本セットが1,000~3,000円程度となっている店が多いです。
着物専門店や呉服店では、着物に詳しい店員さんと相談しながら腰紐を選べます。質感やサイズなどを購入前に自分の目で確認できる点も安心できるポイントです。
価格は他と比べると少々高いですが、着物専門店・呉服店にしかない種類もあるため、品質にこだわりたい方におすすめします。腰紐選びで失敗したくない方にもおすすめです。
ダイソー・セリアなどの100円均一ショップでは売っていない
腰紐をダイソーやセリアなどで探している方も多いのではないでしょうか。しかし、100円均一ショップで腰紐は売られていません。
上記で紹介したいずれかの方法で購入するか、友人・知人から譲ってもらうのがおすすめです。
腰紐の代用品
腰紐がない場合は、別の物で代用することもできます。あくまで腰紐がない・足りない場合の対処法ですので、普段からの使用はおすすめしません。
- ストッキング
- 包帯
- ビニール紐
それぞれ詳しく説明します。
ストッキング
腰紐の代用品としてストッキングを使用する方は案外多いです。ストッキングの付け根を切断するだけで使えます。切断すると腰紐2本分になるので、あとは通常通り使えばOKです。
伸縮性があり、初心者の方でも簡単に使えますよ。
ストッキングはコンビニエンスストアや100円均一ショップで気軽に購入できるので、腰紐の代用品として非常に優秀です。
包帯
包帯は腰紐の代用品になります。長さは自由に調整できるので、175cm~220cm程度で切りましょう。素材も綿やポリエステル製のものが多いので、腰紐とまったく同じように使えます。
腰紐がなくて困っている方は、近所のドラッグストアやコンビニエンスストアなどで購入して使ってみてください。
ビニール紐
段ボールや新聞紙をまとめる際に活躍する「ビニール紐」を、腰紐代わりに使うこともできます。
ただし、ビニール紐は伸縮性がなく、包帯やストッキングと比べると使い勝手が悪いです。着ていて苦しくなる可能性もあります。
ビニール紐しかない時以外は、他の物を使用した方が良いです。
その他
上記3つのすべてが用意できない方は、以下を腰紐の代用品として使用することも可能です。
- ネクタイ
- ベルト
- 麻ひも
- ラッピング用リボン
- ガムテープ
あくまで腰紐がないときの代用品ですから、あえてこれらを使う必要はありません。代用品が必要になる前に、きちんと腰紐を準備しておくのが一番です。
まとめ
本記事の内容をまとめると以下のようになります。
- 腰紐とは、着崩れを防ぐために腰に締める紐のこと
- 胸元で締めたり、帯の仮留めとして使ったりすることも多い
- 大柄な方は長めの腰紐を、小柄な方は短めの腰紐を使うと良い
- 腰紐の幅は広すぎても細すぎても良くない
- 腰紐の素材は、モスリン・正絹・化学繊維・綿の4つが主流
- 腰紐を使い終わった後は、五角形に畳んで収納するのが一般的
- 腰紐はAmazon・楽天などの通販サイトや着物販売店などで購入できる
- ストッキング・包帯・ビニール紐・ネクタイ・ベルト・麻ひもなどは、腰紐の代用品になる
本記事の内容を参考に、腰紐を正しく活用してみてください。この記事が、腰紐について知りたい方の参考になれば幸いです。
なお、腰紐の使い方や選び方については着付け教室で一から教わることもできます。独学だけだと不安な方は、教室でプロのサポートを受けると良いでしょう。