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着物の紅型とは?種類や階級、製造工程などを解説

着物の紅型とは?種類や階級、製造工程などを解説

着物の種類で「紅型(びんがた)」というものを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

しかし、なんとなく耳にしたことはあっても、具体的にどのような種類なのか知らない方もいるでしょう。

そこで本記事では、着物の紅型とはどういった着物なのかを解説していきます。

紅型の特徴や種類・階級・製造工程などを詳しく説明し、おすすめのコーディネートも紹介していくので、ぜひ最後までお読みください。

着物の紅型(びんがた)とは?

紅型(びんがた)とは、沖縄の伝統的な染色技法、もしくは染め物のことです。着物における紅型は、この沖縄の伝統的な染色技法を用いて作られたものを指します。

紅型の「紅」は色彩全般を指す言葉で、赤色を指しているわけではありません。「型」は模様や柄という意味合いを持っています。

つまり、紅型とは豊富な色彩や配色、そして大胆な模様や柄を持ち合わせた豪華な着物であることが分かります。

鮮やかな色をふんだんに用いた紅型は、自然豊かな沖縄の景色にも負けない存在感です。模様や柄も他の着物にはない独自のものが多く、沖縄らしさを感じられます。

着物の紅型の種類【彩色別】

着物の紅型の種類は、彩色の技法によって以下の2種類に分けられます。

  • 紅型
  • 藍型
  • 筒引き

それぞれ詳しく説明します。

紅型

紅型は、赤や青・緑・紫・黄色など鮮やかな色彩を何色も大胆に取り入れています

型紙でつけた模様に、各色を挿すような形で染色していく技法も特徴的です。

藍型

藍型は、琉球藍を染料として染めています。紅型とは異なり、素朴で落ち着いた色合いをしています。

染料に何度もつけ込むことで濃淡をつけている点が特徴です。差し色として赤や黄色等を入れることもありますが、基本的には色を多く使いません。

筒引き

筒引きとは、筒に防染糊を入れて絞り出し、手描きで模様を付けていく彩色方法です。

模様を付けた後は、紅型と同様の手法で色を入れていきます。筒引きの紅型は、主に風呂敷に用いられるため、着物に使われることはほとんどありません。

着物の紅型の種類【製造場所別】

着物の紅型は、製造場所によって以下のように種類が分けられます。

  • 琉球紅型
  • 京紅型
  • 江戸紅型

各種類の生産地や特徴を詳しく解説します。

琉球紅型

沖縄で作られた紅型の中でも、天然の染料が用いられたものを琉球紅型と呼びます。

沖縄らしい自然を感じられる、魚や芭蕉といった柄が施されているものが多いです。中国や東南アジアの影響を受けた柄も少なくありません。

また、琉球紅型は顔料を重ねることで模様に立体感を出す「隈取り」といった染色手法を用いています。

京紅型

京紅型は、京都で作られる紅型です。京友禅に用いられる染料や染色手法を紅型に取り入れています。

京紅型の特徴は色合いと柄です。色合いは落ち着いており、柔らかさがあります。柄は四季折々の自然を彷彿とさせるものが多くなっています。

江戸紅型

東京で作られる紅型が、江戸紅型です。江戸の型染技法が用いられています。

色合いや柄は、かつての江戸文化で好まれていた、渋めで落ち着いたトーンのものが多くなっています。

着物の紅型の階級

着物の紅型は、かつては以下の通り階級が設けられていました。

  • 首里型
  • 那覇型

それぞれの階級や違いについて、詳しく説明します。

首里型

首里型は、かつて士族が着用していた紅型です。かつては那覇型と比べて階級の高いものでした。王族用の御殿型、上級士族用の殿内型と比較すると階級は下がります。

首里型の特徴は、色使いや柄が大胆で鮮やかな点です。現在流通している紅型はほとんどが首里型であると言われています。

那覇型

那覇型は、庶民用の紅型として着用されていました。庶民用なので階級は低いです。

首里型と比べて色・柄ともに質素な点が特徴となっています。現在見かけることはほとんどありません。

着物の紅型の製造工程

着物の紅型は、以下の工程を経て製造されます。

  1. 型彫り(カタフイ)
  2. 型附け(カタチキ)
  3. 色差し(イルジヤシ)
  4. 隈取り(クマドウイ)
  5. 糊伏せ
  6. 地染め
  7. 水洗

各工程の詳細を、以下で解説していきます。

型彫り(カタフイ)

まずは、紅型の図案を作成し、型紙に写します。写した模様を掘り進めていく作業が「型彫り(カタフイ)」です。

型彫りの際には、シークいう小刀と、下敷きと潤滑油の役割を持つルクジュー(木綿豆腐を圧縮・乾燥させたもの)を用います。模様部分のみを残して周囲を掘る場合と、模様部分のみを掘る場合があります。

型附け(カタチキ)

型彫りの次に行うのが「型附け(カタチキ)」です。生地の上に型紙を置いて、その上に防染糊を塗っていく作業です。この工程で型紙がずれてしまうと、柄の出来映えに大きな影響を及ぼしてしまいます。

色差し(イルジヤシ)

いよいよ、色を入れていく「色差し(イルジヤシ)」の工程です。「色配り(イルクベー)」とも呼ばれます。生地に差す色は、顔料と豆汁を混ぜ合わせて作ります。型彫りでは豆腐、色差しでは豆汁と、大豆を原料としたものが使われている点が特徴的です。

色差しは、暖色から寒色といった順で行うことが決まっています。また、担当の職人が僅かな色加減まで管理しています。

隈取り(クマドウイ)

次に、色差しで施した柄を「隈取り(クマドウイ)」の工程でぼかします。隈取りでは筆を二本使います。片方は色を乗せる用、もう一方は刷り込んでぼかす用です。

隈取りで柄の色をぼかすことで、模様全体に立体感や透明感が出ます。紅型らしい色合いの力強さも、この隈取りによって演出されています。

糊伏せ

柄の染色が完了したら、地染めの前に「糊伏せ」を行います。

糊伏せとは、地染めによって染めたくない柄に防染糊を塗る作業のことです。地染めを被せた方が良い部分は、あえて糊伏せを行わない場合もあります。

地染め

糊伏せが完了したら、次は「地染め」です。ハケを使って、生地全体に染料を塗ります

染料を塗った後は生地を蒸し、色を定着させるとともに発色を鮮やかにしていきます。

水洗

地染めが終わったら、次に行うのが「水洗」です。シンクや水槽に水を張り、その中に生地を入れて防染糊や薬剤・染料などを洗い落とします

水洗が完了したら生地を乾かし、最後に検査を経て紅型の完成です。検査では、生地の破れ・ほつれや、色の汚れ・発色などがチェックされます。

このような工程を経て作られた生地を仕立てることで、着物の紅型が出来上がります。

着物の紅型の歴史

着物の紅型は、14~15世紀頃に当時の琉球王国で発祥したと言われています。

中国や東南アジアからの交易品であるインド更紗や型紙などから新たな染色技術が伝わり、従来の技法に取り入れられたことから紅型が生まれたとされています。

紅型は、発祥してからしばらくは特権階級のみが着用できる装束として発展していきました。

17世紀の琉球侵攻や19世紀の第二次世界大戦などにより、多くの型紙が失われてしまうこともありましたが、技術の継承が潰えることはなく、現代でも紅型の伝統は受け継がれています。

特に琉球紅型が国指定伝統的工芸品に指定されてからは、この文化を守ろうという動きがより盛んになり、現在もさまざまな復興計画が進められています。

着物の紅型のコーディネート

着物の紅型のコーディネートを5つ紹介します。紅型の色・柄選びや、小物との組み合わせの参考にしてみてください。

ニット×琉球紅型の和洋折衷コーディネート

こちらは、緑色の青海波文が生地全体に施されている琉球紅型です。紅型の下には緑色のニットを着ており、和洋折衷のコーディネートとなっています。

帯締め・帯揚げも緑色で揃っているので、見た目は華やかながらに調和を感じられます。

黒地の紅型が華やかなコーディネート

真っ黒な生地に、鶴や亀といった縁起物の柄が敷き詰められています。可愛らしい小紋に無地の洒落袋帯を締めることで、派手になりすぎないような工夫がされています。

成人式の紅型振袖コーディネート

成人式に紅型の振袖を着用した方のコーディネートです。裾や袖に、紅型らしい大胆な柄が施されています。髪飾りや帯の色・柄が紅型とリンクしており、全体として統一感が出ています。

沖縄らしいハイビスカスが際立つ紅型コーディネート

琉球紅型の小紋のコーディネートです。紫地に、ハイビスカスや野鳥などの小ぶりな柄が施されています。使用している色の種類は多いですが、統一された配色により全体としては落ち着いた印象です。

青い海を彷彿とさせる紅型コーディネート

青と白のグラデーションに、沖縄の自然を彷彿とさせる柄が大胆に描かれています。

無地の帯を締めることによって、コーディネートが引き締まって見えます。また、袖口の裏地の赤色と半幅帯の赤色が揃っており、差し色としてアクセントになっている点も見どころです。

まとめ

本記事では、着物の紅型について詳しく解説してきました。あらためて、以下に記事の内容をまとめます。

  • 紅型とは、沖縄の伝統的な染色技法・染め物のこと
  • 紅型は、染色の技法によって「紅型」と「藍型」に種類が分けられる
  • 紅型は、製造場所ごとに「琉球紅型」「京紅型」「江戸紅型」の種類がある
  • 紅型はかつて「首里型」「那覇型」と階級が分けられていた
  • 紅型は、型彫り→型附け→色差し→隈取り→糊伏せ→地染め→水洗といった工程で製造されている
  • 紅型が発祥したのは14~15世紀で、今でも伝統を守る働きかけが盛んに行われている

本記事を通して、着物の紅型に関する理解は深まったでしょうか。

紅型ならではの鮮やかな色彩と、大胆で力強い柄を身にまとい、これまでにはない新たなコーディネートに挑戦してみてください。 

なお、紅型のコーディネートについて詳しく学びたい場合は、着付け教室に通うのも一つの選択肢です。着物に精通したプロから、紅型ならではの着付け方法やコーディネートを学べます。

以下ページでおすすめの着付け教室を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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