「着物に関する検定を取得したい」とお考えの方におすすめなのが「きもの文化検定」です。着物の種類や産地・特徴・歴史などを勉強できます。
本記事では、きもの文化検定に合格するメリットや検定の概要・合格率・勉強法などをお伝えします。
きもの文化検定について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
着物の検定は「きもの文化検定」
着物に関する検定として公式に展開されているものは、「きもの文化検定」のみです。着物関連での検定を取りたい方はきもの文化検定を受験しましょう。
そもそも「きもの文化検定」とは?
きもの文化検定は、着物への理解を深めるための検定です。公式サイトでは以下のように説明されています。
「きもの」やその「歴史と文化」について詳しくなれる。
「きもの文化検定」は、きものを学ぶことを通して「きもの文化」への理解を深め、もっと「きもの」に親しんでいただくことを目的としています。
引用:経済産業省・農林水産省・文化庁後援 きもの文化検定
きもの文化検定に合格するメリット
きもの文化検定に合格するメリットは、主に次の3つが挙げられます。
- 着物の価値が分かるようになる
- 交友関係が広がる
- 着物関係の就職で有利に働く
順番に詳しく説明します。
着物の価値が分かるようになる
きもの文化検定に合格する程の知識を身に付けると、着物の価値が分かるようになります。検定では着物の種類や産地・特徴・歴史などが問われるからです。
着物の価値が分かるようになると、コーディネートの幅が広がるためより一層着付けが楽しくなります。素材や産地にこだわって着物を選ぶのはとても楽しいですよ。
良い着物を自分で判断できるようになるため、呉服店などで押し売りされることもなくなります。
また、着物に関する学びを深めると、自然と日本文化についても詳しくなれます。
生活の中で日本文化を感じる機会が増え、より日本への親しみを感じられるようになるのは嬉しいポイントです。
交友関係が広がる
きもの文化検定に合格すると、「合格者表彰式並びに記念パーティー」に参加できます。
テーブルごとに振る舞われる食事を楽しみながら、着物について語り合う時間はプライスレスです。とても楽しく、ここで出会った方が一生の友人となることも少なくありません。
また、本式典には着物姿で参加することになっているので、多くのコーディネートを見ることができるのも非常に楽しいです。コーディネートを褒め合ったり、意見交換をしたりすることで着付けの幅も広がります。
5級から1級までどの級の合格者でも参加できるので、着物友達を増やしたい方にはおすすめです。
着物関係の就職で有利に働く
きもの文化検定の合格は、着物関係の就職で有利に働きます。着物の知識があることの証明になるからです。特に1級の取得は難しく、合格すれば一目置かれます。
着付け師や着付け教室の講師・呉服店の店員などを目指している方は、取っておいて損はありません。
きもの文化検定のメリットを踏まえ、合格を目指したいと感じた方は早速勉強を始めてみましょう。おすすめの勉強方法は、後述するのでぜひ参考にしてください。
きもの文化検定の概要
きもの文化検定の概要を紹介します。
- 検定内容・出題範囲
- 受験資格・受験課程
- 試験方式・合格基準
検定内容・出題範囲
きもの文化検定の内容と出題範囲は、以下の表の通りです。
級 | 内容 | 出題範囲 |
---|---|---|
5級 | 着物に関する一般常識 | 検定公式教本Ⅰの中から90%以上を出題 |
4級 | 着物に関する初級知識 | 検定公式教本Ⅰの中から90%以上を出題 |
3級 | 着物に関する中級知識 | 検定公式教本Ⅰ・Ⅱの中から90%以上を出題 |
準2級・2級 | 着物に関する上級知識 | 検定公式教本Ⅰ・Ⅱの中から70%以上を出題 |
準1級・1級 | 着物に関する専門知識 | 着物に関するすべての範囲から出題 |
出題範囲が明示されているので、対策しやすいです。検定公式教本を網羅すれば、合格は間違いありません。
受験資格・受験課程
きもの文化検定はどなたでも受験可能です。学歴や年齢・性別・国籍などの指定はありません。
受験課程としては、まずは5級・4級の受験が必須です。合格できれば、より上位の級を受験できるようになります。
試験方式・合格基準
きもの文化検定の試験方式と合格基準は、受験する級によって異なります。
級 | 試験方式 | 合格基準 |
---|---|---|
5級 | マークシート方式またはCBT方式による四肢択一方式 60分・100問以内 | 正答率60%以上 |
4級 | マークシート方式またはCBT方式による四肢択一方式 60分・100問以内 | 正答率70%以上 |
3級 | マークシート方式またはCBT方式による四肢択一方式 90分・100問以内 | 正答率70%以上 |
準2級 | 文言選択・記述方式 90分・100問以内 | 正答率60%以上 |
2級 | 文言選択・記述方式 90分・100問以内 | 正答率70%以上 |
準1級 | 文言(語彙)記述・文章記述方式 90分・100問以内 | 正答率60%以上 |
1級 | 文言(語彙)記述・文章記述方式 90分・100問以内 | 正答率70%以上 |
CBT(Computer Based Testing)方式は、コンピュータを用いて受験する方式です。全国47都道府県・約280箇所に設置されているテストセンターと呼ばれる試験会場で、年間を通して自由な時間に受験できます。
きもの文化検定の試験日時・受験地・試験料
令和4年度における、きもの文化検定の試験日時・受験地・試験料を紹介します。
試験日程(令和6年度の試験日程は未発表)
令和5年度における、きもの文化検定の試験日程は以下の通りです。
(※令和5年度の試験日程は未発表です。発表され次第更新します。)
令和5年10月29日(日)
級 | 時間 | 内容 |
---|---|---|
5・4級 | 10:50~11:10 | 試験説明(20分) |
11:10~12:10 | 試験(60分) | |
準2級・2級 | 10:50~11:10 | 試験説明(20分) |
11:10~12:40 | 試験(90分) | |
3級・準1級・1級 | 13:40~14:00 | 試験説明(20分) |
14:00~15:30 | 試験(90分) |
(※令和6年度の試験日程は未発表です。発表され次第更新します。)
CBT方式の場合
CBT方式の場合は、随時受験できます。
受験地(令和6年度の受験地は未発表)
きもの文化検定は、自身が希望する地域で受験できます。令和5年度における受験地は以下の通りです。
受験地 | 受験会場 |
---|---|
東京都 | 昭和女子大学(世田谷区太子堂) |
新潟県 | 新潟日報メディアシップ(新潟市中央区) |
愛知県 | 安保ホール(名古屋市中村区) |
京都府 | 京都経済センター(京都市下京区) |
大阪府 | 大阪文化服装学院(大阪市淀川区) |
奈良県 | 大原和服専門学園(奈良市富雄本町) |
広島県 | ホテルチューリッヒ東方2001(広島市東区) |
福岡県 | 福岡女子短期大学(太宰府市五条) |
沖縄県 | 沖縄県男女協同参画センター(那覇市西) |
(※令和6年度の受験地は未発表です。発表され次第更新します。)
試験料
きもの文化検定の試験料はこちらの表の通りです。
級 | 試験料 |
---|---|
5級 | 5,500円 |
4級 | 5,500円 |
3級 | 6,500円 |
準2級・2級 | 9,500円 |
準1級・1級 | 11,000円 |
5・4級と3級を併願した場合、試験料は12,000円となります。
ただし、5級・4級の結果が不合格となった場合、3級の受験は完全に無効となるので注意してください。試験料も返却されません。
きもの文化検定の合格率
令和5年度における、きもの文化検定の合格率は以下の通りとなっています。
級 | 合格率 | 合格者 | 受験者 |
---|---|---|---|
5級 | 89% | 151人 | 170人 |
4級 | 78% | 133人 | 170人 |
3級 | 45% | 62人 | 138人 |
準2級 | 67% | 140人 | 204人 |
2級 | 46% | 93人 | 204人 |
準1級 | 33% | 66人 | 199人 |
1級 | 13% | 26人 | 199人 |
1級の合格率は13%と低めですが、それ以下の級は33~89%と高く、比較的簡単に合格可能です。
出題範囲が明確に発表されているため、きちんと対策さえすれば合格できる仕組みになっています。
きもの文化検定に合格する方法
きもの文化検定の合格率は高いことが分かりましたが、合格をより確実なものにするためには何を行うべきなのでしょうか。具体的な対策方法は以下の3つです。
- 検定公式教本で勉強する
- 合格対策セミナーを受講する
- 模擬問題を解く
- 着付け教室に通う
それぞれ詳しく解説します。
検定公式教本で勉強する
きもの文化検定の5級~2級は、設問の大半が検定公式教本の中から出題されます。
検定公式教本をマスターすれば合格間違いなしです。
5級・4級は検定公式教本Ⅰから、3級・準2級・2級は検定公式教本ⅠとⅡの両方から出題されます。受験する級に合わせて勉強を進めましょう。
合格対策セミナーを受講する
確実に合格を勝ち取りたい方は、合格対策セミナーを受講しましょう。出題が予測される問題を中心に講義が行われます。特に1級は全範囲から出題されるため、セミナーでの対策がとても重要です。
3級から1級までは講義の日時・会場が指定されているため、受講しそびれないように注意してください。
5級~3級については、上記とは別の合格対策Webセミナーを受講できます。こちらは日時・場所問わず受講可能です。独学での勉強が不安な方には受講をおすすめします。
模擬問題を解く
きもの文化検定の公式サイトには、2級・1級の模擬問題が掲載されています。
一通り勉強し終えたら、掲載されている模擬問題を解いてみましょう。足りない知識が明確になるため、効率的におさらいを進められます。
また、模擬問題を通して出題の傾向を把握することも可能です。傾向を基に、対策を練りながら勉強を進めれば合格に近づきます。
着付け教室に通う
教本やセミナー・模擬問題などの座学に加えて、実技で学習するとより知識が定着しやすくなります。実際に着付けをしてみたり、道具を手に取って使ってみたりしましょう。
着付け教室では、着付けの方法や着物に関する知識を実践的に教わることができます。1レッスン500円程度のお手頃価格で通えるところも増えてきているので、一度試してみると良いかもしれません。
おわりに
きもの文化検定に合格すれば、着物の価値が分かるようになるだけでなく、交友関係が広がったり、着物関係の就職で有利に働いたりします。
受験する目的はさまざまかと思いますが、着物が好きな方は合格しておいて損はないです。
記事内で紹介した方法で勉強を行い、ぜひ今年度のきもの文化検定を受検してみてください。
また、きもの文化検定で学んだ知識をただの知識に留めず、より生きたものにするためには、着付け教室に通うのもおすすめです。
実際に手を動かして着付けを学ぶことで、勉強した知識を自分のものにできます。