「着物の袖が邪魔で家事ができない…。」
「袖が汚れたらどうしよう…。」
そんな時に役立つのがたすき掛けです。たすき掛けを行えば袖をスッキリとまとめることができます。使うものは腰紐1本だけで、誰でも簡単に行えます。
しかし、着物初心者の方はたすき掛けの方法が分からない方も多いでしょう。
そこで本記事では、たすき掛けの方法を3つご紹介します。たすき掛けに使う腰紐の選び方や収納方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んで、たすき掛けをマスターしましょう。
たすき掛けとは
たすき掛けとは、腰紐を交差させて着物に掛けることを指します。着物を着て料理や洗濯などの家事をする際、袖が邪魔にならないようにするために行うのが一般的です。
たすき掛けをすると袖をスッキリとまとめられるため、家事をスムーズに進められるだけでなく、着物を汚さずにきれいな状態で保つことができます。
着物を普段着として着る方は必ずできるようになっておきたい技術ですね。
たすき掛けの方法はさまざまで、人によってやり方が異なります。
以下で3つの方法を紹介しますので、記事を読みながら実践し、あなたに合う方法を見つけてみてください。
たすき掛けのやり方①
最初に紹介する方法では、約10秒でたすき掛けが完成します。
初心者の方でも簡単にできるので、ぜひ読みながら実践してみてください。
たすき掛けを外す方法は、蝶々結びをほどくだけです。ほどいた後、結び目と逆の輪を引っ張ると簡単に取り外せます。
たすき掛けのやり方②
次に紹介するたすき掛けは、締め具合を調節しやすい方法です。先ほど紹介した方法よりも少し難しいですが、袖が邪魔になりづらくなります。
より確実に袖を守りたい方・先ほどの方法でうまくいかなかった方は、ぜひ試してみてください。
- 腰紐を首に掛けます。
- 背中側の右脇の下から腰紐を通します。
このとき、腰紐はたもとの対角線上を通るようにします。 - 腰紐を斜め上に向かって引っ張ります。
- ③で腰紐を引っ張ると、振りが後ろに流れます。
- 引っ張った腰紐を右肩に掛け、背中の後ろを通します。
- 背中側の左脇の下から腰紐を通します。
このとき、腰紐はたもとの対角線上を通るようにします。 - ⑥で腰紐を引っ張ると、振りが後ろに流れます。
- 左肩の近くで、腰紐の端と端を蝶々結びします。
- 完成です。
※左右逆でも問題ありません。
腰紐を強めに引っ張るときつく締まりますし、弱めに引っ張ると緩く締まります。あなたに合う締め具合を見つけてみてください。
たすき掛けを外す際は、蝶々結びをほどくだけでOKです。
たすき掛けのやり方③
最後に紹介するたすき掛けは、時代劇などでよく見る方法です。
少々難しいですが、何度か練習すれば10秒足らずで完成できるようになります。
- 腰紐の端を口でくわえます。
- 腰紐を左脇の下に通し、背中側へ回します。
このとき、腰紐はたもとの対角線上を通るようにします。 - 右肩の上から腰紐を持ってきて、右脇の下へ通します。
このとき、腰紐はたもとの対角線上を通るようにします。 - 再び腰紐を背中側へ回します。
- 腰紐を左肩の上から胸のあたりに回します。
- くわえていた腰紐を口から離します。
- 腰紐の端と端を蝶々結びします。
- 完成です。
前述した2つの方法と同じく、たすき掛けを外す際は蝶々結びをほどきます。
たすき掛けに使う腰紐の選び方
たすき掛けに使う腰紐は、以下の2点を基準に選びましょう。
- 素材
- 長さ・幅
1点ずつ詳細を解説します。
素材
腰紐の素材は、以下の5つが主流です。
- モスリン:ウール・毛など。柔らかい。締まりすぎず、緩みづらい。
- 正絹:絹100%で高級。締まりやすく、緩みづらい。
- 化学繊維:ポリエステルなど。安く手に入るが、滑りやすい。
- 麻:夏の素材。固く、シワになりやすい。緩みづらい。
- 綿:柔らかい。シワになりやすい。デザインが豊富。
上記の中でも特に定番なのはモスリンです。生地が柔らかいため着物を傷つけづらいですし、価格が高くないため購入もしやすいです。
たすき掛け用の腰紐を初めて購入する方は、モスリンを選べば間違いないでしょう。
長さ・幅
腰紐の一般的なサイズは、長さ200cm~220cm・幅4cm~5cm程度です。
長尺の腰紐は、長さ220cm~240cm・幅5cm~6cm程度になります。
短尺の腰紐は、長さ180cm~200cm・幅3cm~4cm程度です。
大柄・長身な方には長尺の腰紐を、小柄・華奢な方には短尺の腰紐をおすすめします。
また、腰紐は長い分には調整がきくので、サイズ感が分からない方は大きめサイズを選ぶと安心です。
たすき掛けに使う腰紐の収納方法
たすき掛けをしない時は、腰紐を収納する必要があります。主な収納方法は下記の3つです。
- ハンガーに掛ける
- 畳む
- 丸める
順番に詳しく説明します。
ハンガーに掛ける
着物を普段使いする方は、腰紐をハンガーに掛けておくと便利です。
使うときはすぐに手に取りやすいですし、外した後もすぐに片付けられます。
ただし、頻繫に着物を着ない方はこの方法だと邪魔になってしまいます。以下で小さく収納する方法を紹介しますので、そちらを実践してみてください。
畳む
腰紐は、五角形に畳むことでコンパクトに収納できます。また、シワを伸ばせるためアイロンを掛ける手間も省けます。
五角形に畳む方法は以下の通りです。
- 腰紐を半分に折ります。
- 端と端が重なった部分を持ちます。
- 腰紐の先端が、長辺に重なるように折ります。
このとき、折り重なった部分は三角形になっています。 - 三角形の先端が腰紐の幅の中心に来るように折ります。
- ④を繰り返します。
- 折り進めていくと、五角形があらわれます。
- 五角形ができたら、辺に沿って折り進めます。
- 最後は、腰紐の端を五角形の中に入れ込みます。
- 完成です。
生地をピンと張って折り進めると、腰紐のシワを伸ばせます。反対に、緩いまま折り進めるとシワの跡がつきやすくなります。次に使いやすくするためには、シワを伸ばしながらたたみましょう。
最初は難しいですが、慣れれば無心でたためるようになりますよ。
丸める
畳むのが難しい・面倒な方は、丸めて収納するのも一つの手段です。
腰紐の丸め方は次の通りです。
- 腰紐を半分に折ります。
- 人差し指・中指の2本に、腰紐を巻き付けます。
- 残りが10cm程度になったら、腰紐を直角に折り、中心に挿し込みます。
- 完成です。
腰紐を巻き付ける際は、指がきつく感じる程度まで腰紐をピンと張りましょう。そうすることで、余計なシワがつかずに済みます。
たすき掛け以外の方法
着物の袖が邪魔にならない方法は、たすき掛け以外にもあります。
- コーリンベルト
- たもとクリップ
- 割烹着
それぞれ詳しく説明します。
コーリンベルト
コーリンベルトとは、ゴム製のベルトのことです。通常は胸紐の代わりに使うアイテムですが、袖をスッキリさせるためにも活用できます。
活用方法は以下の通りです。
- コーリンベルトのクリップで、左袖のたもとを留めます。
- 背中側に回し、お太鼓の中(or帯の上)を通します。
- 反対側のクリップで、右袖のたもとを留めます。
- 完成です。
※左右逆でも問題ありません。
たもとをクリップで留めるだけなので、いつでもどこでもすぐに実践できます。
外出時には最適でしょう。普段から一本持ち歩いておくと便利です。
たもとクリップ
たもとを押さえる専用のクリップとして「たもとクリップ」というアイテムがあります。ゴム製の紐の両端にクリップがついています。
また、たもとクリップには玉飾りなどがついており、コーリンベルトよりもデザイン性が高い点が特徴です。
使い方は以下の通りです。
- 片側のクリップで、左袖のたもとを留めます。
- 背中側に回し、お太鼓の中(or帯の上)を通します。
- 反対側のクリップで、右袖のたもとを留めます。
- 完成です。
※左右逆でも問題ありません。
おしゃれに身につけられるので、お食事会などで活躍します。着物でのお出かけが多い方は、ぜひ持っておきたい一品です。
割烹着
家で着物を着る場合、割烹着を使うのも一つの手段です。
割烹着とは袖付きのエプロンのことで、着物の袖を覆うことができます。袖が落ちてきたり、汚れが跳ねたりして着物が汚れる事態を防げます。
腕を通して着るだけなので、初心者の方でも簡単に使えますよ。
着物時だけでなく、洋装時にも使える便利なアイテムです。
まとめ
本記事についてまとめると、以下のようになります。
- たすき掛けとは、腰紐を交差させて着物に掛けること
- 着物時に家事などを行う際、袖が邪魔にならないようにするために行う
- たすき掛けの方法は主に3種類あり、どの方法を選んでも良い
- たすき掛けに使う腰紐の素材は、モスリンが主流
- 大柄・長身な方は長めの腰紐を、小柄・華奢な方は短めの腰紐を使うと良い
- たすき掛けをしないときは、腰紐を「ハンガーに掛ける」「畳む」「丸める」のいずれかの方法で収納する
- たすき掛け以外にも、「コーリンベルト」「たもとクリップ」「割烹着」を使えば着物の袖を守ることができる
本記事の内容を基に、たすき掛けに挑戦してみてください。たすき掛けができるようになれば、着物の着用シーンの幅も広がります。
繰り返し練習し、着物を普段使いできるようになりましょう。
この記事が、着物のたすき掛けについて知りたい方の参考になれば幸いです。
※左右逆でも問題ありません。