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着物で運転すると法律違反に?過去の例や注意点を解説

着物 運転

着物で遠出する際、車で移動したいと考える方は多いのではないでしょうか。

しかし、着物で運転して良いものなのかと不安になりますよね。着物での運転が法律違反だったり、事故の原因となったりしては危険です。

本記事では、着物での運転に関する法律を解説します。安全に運転するための方法も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

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着物で運転は法律違反?!

警視庁の道路交通法では、安全運転の義務について以下のとおり定めています。

第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

引用:e-Gov法令検索 道路交通法

着物については触れていない、漠然とした表現です。

また、運転者の遵守事項としては以下を定めています。

第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。

 道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項

引用:e-Gov法令検索 道路交通法

つまり、着物での運転が法律違反となるかどうかは、各都道府県の公安委員会が定める事項によることが分かります。

着物での運転に関する法律

着物での運転に関して、東京都では以下のように定められています。

第8条 (2) 木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物をはいて車両等(軽車両を除く。)を運転しないこと。

引用:東京都道路交通規則

神奈川県の定めるルールは以下の通りです。

第11条 (4) げた、スリッパその他運転を誤るおそれのある履物を履いて車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。

引用:神奈川県道路交通法施行細則

続いて、大阪府ではこのような規則が設けられています。

第13条 (4) げた又は運転を誤るおそれのあるスリッパ等を履いて、車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。

引用:大阪府道路交通規則

いずれも着物がNGだという表記はありませんが、下駄で運転してはいけないことが分かります。このように、多くの都道府県では、履き物に関する規則が細かく定められていますが、服装に関して触れていません。しかし、中には服装に関する規制を設けている都道府県もあります

例えば、岩手県の道路交通法施行細則は以下の通りです。

14条1号 衣服の袖、裾等によって運転の障害となるような和服等を着用して運転することを禁止するものである。 なお、和服であっても、ズボン又はもんぺ等を履き、かつ、たすき掛け等をしている場合は該当しない。

引用:岩手県道路交通法施行細則

着物での運転が明確に禁止されています。その他、秋田県や栃木県でも以下の通り服装が定められています。

第11条(2) 運転操作の妨げとなるような服装をし、又はげた類、木製サンダルその他運転操作の妨げとなるような履物を履いて、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。

引用:秋田県道路交通法施行細則

第13条(1) 自動車又は原動機付自転車を運転するときは、木製サンダル、下駄等を用い、又は運転操作に支障を及ぼすおそれのある姿勢をし、若しくは服装をしないこと。

引用:栃木県道路交通法施行細則

このように、運転時の服装や履き物に関する規則は都道府県ごとに異なります。着物で運転して良いのか不安な方は、居住している都道府県の規則をチェックしてみてください。

過去に検挙された事例がある

ここまでは各都道府県の規則を紹介しましたが、実際に着物で運転し、問題となった事例はあるのでしょうか?結論、あります

2018年9月、福井県の僧侶が僧衣(着物)を着て運転し検挙されました。

当時の福井県の道路交通法施行細則では「下駄(げた)、スリッパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」と定められており、僧侶の服装が運転に支障をきたすものだと判断されたためです。

しかしこの事例では、最終的には「運転者にとって禁止の対象が分かりにくく、違反の立証も難しい」と判断され、送検されることはありませんでした。

また、道路交通法施行細則からも衣服に関する記載は削除される運びとなりました(参考:僧衣運転で波紋、分かりにくい衣服規定を削除 福井県警

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着物で運転する際に邪魔になる要素とその対処法

法律で禁止されていなかったとしても、着物での運転には危険が伴います。着物には、運転するにあたって邪魔になる要素が多くあるのです。具体的には、以下の要素が運転の妨げとなります。

  • 履き物

1点ずつ詳しく説明します。

履き物

着物に合わせる履き物といえば下駄や草履・雪駄ですが、これらを履いたまま運転するのは非常に危険です。

いずれもかかとがない履き物なので、ペダルを踏む際に脱げたり引っかかったりする可能性があるからです。減速や加速に失敗し、事故につながりやすくなってしまいます。

特に下駄の場合は「歯」の部分があることによって、さらに操作性が低くなり、事故のリスクも高まります。

上記の危険性を伴うことから、都道府県別に見てみても、下駄や草履・雪駄での運転は禁止されているケースがほとんどです。禁止されていないとしても、非常に危険なので避けることを強く推奨します。

着物で車を運転する場合は、普段履き慣れている靴に履き替えましょう

着物は袖が長いので、ハンドルやシフトレバーに引っかかってしまう可能性があります。引っかかることによって誤操作をしてしまい、重大な事故につながるリスクがあるので注意が必要です。

袖のトラブルを防ぐ方法は、「袖を一つにまとめる」「たすき掛けをする」の2つをおすすめします。

袖を一つにまとめる

袖を一つにまとめることで、誤操作のリスクを大幅に低減できます。

袖のまとめ方は、主に以下の3つの方法があります。

  • 袖同士を胸の前で結ぶ
  • 袖を帯締めに挟む
  • 袖を胸の前まで持ってきて、大きめのクリップで帯に留める

どの方法でも問題ないので、あなたに合うまとめ方を見つけてみてください。

たすき掛けをする

たすき掛けとは、腰紐を背中で交差させて袖をまとめるテクニックで、長く垂れ下がった袖をすっきりと収めることができます。以下の手順で実践してみてください。10秒程度で完成します。

  1. 腰紐を半分に折ります。
  2. 腰紐の端と端を、蝶々結びで結びます。
  3. 左腕に腰紐を掛けます。
  4. 腰紐をクロスさせ、右腕に掛けます。このとき、腰紐は8の字になっています。
  5. 8の字になった腰紐を、背中に回します。
  6. 腰紐を両肩に掛けます。
  7. 完成です。

※左右逆でも問題ありません。

たすき掛けのやり方は他にもあります。「着物のたすき掛けの方法3選~初心者の方でも簡単にできます~」の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

着物で運転席に座ると、まず気付くのが「窮屈感」です。洋服のときと比べて、帯のお太鼓の分だけ浅めに座らなければならず、かなり窮屈な姿勢になってしまいます。

シートを下げることで窮屈感は解消されますが、その分、足先とペダルの距離が遠くなり、運転しづらく感じるかもしれません。

よって、着物で運転席に座る際は、シートを下げるのではなく、リクライニングを倒すことをおすすめします。そうすることで余裕を持って運転できるようになります。

着物は裾が広がらないように着付けをするので、運転の際は不便になります。洋服の時と違って、脚を広げたり自由に動かしたりしづらいからです。咄嗟の時に反応しづらく、危険を伴います。

思い切って脚を広げても良いですが、着崩れの原因となるためおすすめしません。

また、長時間運転すると裾がずれて床につき、汚れてしまうデメリットもあります。

着物で運転する際は、脚を自由に動かせるよう、もんぺや股引・サルエルパンツ等を穿くと安全です。

着物で着崩れせずに運転する方法

着物での運転は危険を伴うだけでなく、着崩れの原因にもなります。

着崩れしないためには、乗車時・乗車中・降車時のすべてのタイミングで注意すべきポイントがあります。各タイミングでのポイントを見ていきましょう。

乗り方

いつも通り車に乗ると脚を開かなければならず、裾が広がってしまいます。着物時は、お尻から車に入りましょう。

車の乗り方
  1. 車の入り口に背を向けて立ちます。
  2. 右手で上前を軽く引き上げながら、車の座席に腰を下ろします。
  3. 両足を揃えて地面から上げ、お尻を軸に体を90度回転させます。
  4. 足が車の中に入れば完了です。

なお、もんぺや股引・サルエルパンツ等を穿いている場合は、普段通り乗車して問題ありません。

運転中

運転中に着崩れが起きやすいのは帯部分です。

背もたれに体重を預けると帯のお太鼓が潰れ、着崩れしてしまいます。背もたれには寄りかからず、姿勢を正して運転しましょう。

降り方

車を降りる際も、裾の着崩れに注意しなければなりません。以下の通り降車しましょう。

車の降り方
  1. 座席に浅く座り直します。
  2. 両足を揃えて地面から上げ、お尻を軸に体を90度回転させます。
  3. 右手で上前を軽く引き上げながら、足を外に出して地面に付けます。
  4. 腰を浮かせて、体ごと車の外に出ます。

乗車時と同様、もんぺや股引・サルエルパンツ等を穿いていれば普段通り降りてOKです。

まとめ

本記事の内容をまとめると、以下のようになります。

  • 道路交通法では、着物での運転について明確な表記がない
  • 着物での運転についての法律は、各都道府県の公安委員会が定めている
  • 過去に、着物で運転し検挙された事例はある
  • 法律違反ではないとしても、着物での運転は危険
  • 着物で運転する際は、履き物・袖・帯・裾の4点に注意する必要がある
  • 着物での運転は危険なだけでなく、着崩れの原因にもなる

着物での運転は危険な点が多く、都道府県によっては法律違反にあたる可能性もあります。

着物で移動する際は、なるべく運転を避けるのが賢明と言えるでしょう。どうしても運転しなければならない場合は、記事内で紹介したポイントに注意し、安全運転を心がけてください。

この記事が、着物での運転について知りたい方の参考になれば幸いです。

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