着物の下に着る「長襦袢」。
なんとなく名前は聞いたことがあっても、役割や必要性が分からない方は多いかと思います。
そこで本記事では、そもそも長襦袢とは何なのかや肌襦袢との違い、役割を初心者向けに分かりやすく解説します。
着物の種類に合わせた選び方も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
長襦袢とは
長襦袢とは、着物の下に着るインナーウェアのことです。
主に露出防止やべたつき防止・防寒の役割を持ちます。
着物の下から少し覗かせることでオシャレさの演出もできます。
肌襦袢と似ており間違えられることが多いですが、長襦袢と肌襦袢にはたくさんの違いがあります。
以下でチェックしていきましょう。
長襦袢と肌襦袢の違い
長襦袢と肌襦袢の違いを簡単に表にまとめました。
長襦袢 | 肌襦袢 | |
---|---|---|
着用方法 | 着物の下に着る | 素肌に直接着る |
代表的な生地 | 絹/木綿/ポリエステル…など | ガーゼ/綿/さらし…など |
見え方 | 袖口や衿から見えてOK | 人目に触れない |
このように長襦袢と肌襦袢は全くの別物なので、どちらも必ず着用する必要があります。
肌襦袢についてより詳しくは「着物の肌着は「肌襦袢」です。~種類や着方・素材をご紹介~」の記事で解説しています。あわせてご参考にしてください。
長襦袢の役割
長襦袢には主に下記5つの役割があります。
- 着物を清潔に保つ
- 露出防止
- 防寒
- ベタつき防止
- おしゃれを楽しむ
1点ずつ紹介します。
着物を清潔に保つ
長襦袢は、汗・皮脂汚れから着物を守る役割を果たします。
着物はしょっちゅう洗うものではありません。ですから、長襦袢なしで直接着つづけると汚れや臭いが染みついてしまう恐れがあります。
着物をキレイに保つためにも、長襦袢で汚れを受け止め、着物を清潔に保つことが大切です。
露出防止
長襦袢なしで着物を着ると、素肌の露出が多くなってしまいます。
- 袖口から腕や脇が見える
- 身八つ口から脇が見える
- 裾の間から脚が見える
- 襟の間から胸元が見える…など
長襦袢には、上記のような露出を控えるという重要な役割があります。
防寒
長襦袢は冬の寒さ対策にも有効です。
中でもウール・絹素材の長襦袢は保温効果が高いため、防寒用におすすめします。
ベタつき防止
長襦袢なしで着物を着ると、汗で着物が体にまとわりつきます。着物が体にまとわりつくととても動きづらいです。
長襦袢はベタつきづらい素材でできているため、着るだけで動きづらさを解消できます。
おしゃれを楽しむ
長襦袢を振り口や袖口などからチラっと見せればおしゃれさをアピールできます。
さまざまな色や柄があるので、着物を着る目的やシーンに合わせてコーディネートを楽しみましょう。
長襦袢の色・柄の選び方
~着物の種類別~
長襦袢はただのインナーウェアではありません。着物の隙間から人の目に入ります。
ですから、着物の種類に合った長襦袢を選ばなければなりません。
本記事では次の6種類に合わせた長襦袢の選び方を解説します。
- 振袖
- 留袖
- 訪問着
- おしゃれ着(小紋・紬)
- 夏用着物
- 喪服着物
1つずつ見ていきましょう。
振袖
成人式で着る振袖に合わせる長襦袢の色は好みの色を選んで問題ありません。
ご自身で納得のいく色を選んでください。相性が良いのは同色系だとされています。
柄は地紋(織模様)がおすすめです。無地を選ぶ方も多いです。
留袖
留袖は最も格の高い着物です。親族の結婚式など格式高いシーンに着ます。
留袖に合わせる長襦袢の色は白色と決まっています。柄も地紋(織模様)に限定されています。
訪問着
訪問着は留袖の次に格が高い着物です。子どもの式典などで着ることが多いです。
訪問着に合わせる長襦袢の色は淡い上品な色が好ましいです。クリーム色や薄緑・淡い水色などですね。
柄は地紋(織模様)を選ぶと無難です。
おしゃれ着(小紋・紬)
おしゃれ着(小紋・紬)は普段使いする着物です。フォーマルな場面で着ることはありません。
ですから、おしゃれ着に合わせる長襦袢の色・柄は何でもOKです。
季節に合わせたコーディネートを目いっぱい楽しめます。
夏用着物
夏用着物に合わせる長襦袢は涼しげな色や柄が暑い夏にぴったりです。
寒色系の水色・黄緑色、葉や花の柄を選ぶと良いかもしれませんね。
喪服着物
喪服着物に合わせる長襦袢の色は白色と決まっています。
柄は無地が好ましいです。地紋(織模様)でも良いですが、おめでたい柄を選ばないよう注意してください。
まとめ
本記事では長襦袢の機能性や審美性について解説してきました。
季節や場面に応じて正しく着分けましょう。
カジュアルな場面では、好みの柄でおしゃれを楽しむのもおすすめですよ。
この記事が、長襦袢について知りたい方の参考になれば幸いです。
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