赤ちゃんが生まれたことをお祝いする行事の「お宮参り」。生誕から約1ヶ月前後とバタバタした時期に行うこともあり、不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
また、普段着慣れない着物を着ていくため心配ごとも絶えないでしょう。
そこで本記事では、初めて着物でお宮参りを行うお母さんに向けた基礎知識を分かりやすく解説します。
前半では着物の選び方や注意点・ポイント、後半では赤ちゃんの着る着物について説明していくので、ぜひ最後までお読みください。
お宮参りで母親はどんな着物を着れば良い?
お宮参りで母親が着る着物は、下記の3つが主流です。
- 訪問着
- 付け下げ
- 色無地
お宮参りはフォーマルな場なので、黒留袖や色留袖といった格の高い正装を着ても問題ありませんが、小紋や紬といったカジュアルな着物を選ぶのはNGです。
それでは、上記3つの着物について詳しく解説していきます。
訪問着
訪問着は振袖や留袖の次に格が高い着物で、格としては準礼装にあたります。お宮参りを始めとした、フォーマルな場面でよく着られる着物です。
訪問着の特徴は襟や袖をまたがって柄が続いている点で、さまざまな柄があるので見た目も華やかです。
お宮参りで訪問着を着る場合は、控えめなデザインのものを選ぶことをおすすめします。お宮参りの主役はあくまで赤ちゃんなので、それを引き立てることが推奨されているためです。淡く上品な色合いの訪問着を選ぶと良いでしょう。
付け下げ
付け下げは訪問着よりも格の低い略礼装にあたる着物です。しかし、締める帯によっては準礼装と同等の扱いで着ていくことができます。通常、付け下げは名古屋帯を締めてカジュアルに着ますが、格の高い袋帯を締めると、フォーマルな場にも適した着物になるのです。
見た目の特徴としては、袖や衿の縫い目をまたがずに独立したポイント柄が入っている点が挙げられます。
お宮参りに着ていく着物をこれから購入するのであれば、付け下げを選ぶと良いでしょう。カジュアルからフォーマルまで柔軟に使える着物なので、お宮参りだけでなくさまざまな場面で活躍するはずです。
付け下げを着ていける具体的な場面については以下で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご確認ください。
色無地
色無地はその名の通り、柄が入っていない無地の着物です。見た目がシンプルで控えめなので、赤ちゃんが主役となるお宮参りにはもってこいの着物と言えます。
また、色無地は紋の数によって格が変わります。お宮参りに着ていくのであれば、三つ紋もしくは一つ紋の色無地を選びましょう。格は三つ紋の方が高いため、あわせる帯や小物も、格が高いものを選ぶ必要があります。
三つ紋・一つ紋それぞれの帯や小物の選び方については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
お宮参りの季節によって母親が着るべき着物は変わる
お宮参りを行う季節によって、以下の通り母親が着るべき着物は変わります。
- 単衣(ひとえ)
- 袷(あわせ)
それぞれ詳しく説明します。
単衣(ひとえ)
6月~9月の暑い時期には、単衣と呼ばれる裏地がついていない着物を着ていくのがマナーです。特に7月~8月の盛夏の時期には、単衣の中でも特に生地が薄い「薄物(うすもの)」という着物を着ます。
薄物には絽(ろ)や紗(しゃ)といった素材が用いられることが多く、いずれも通気性が良く、暑い時期に着やすいといった特徴を持っています。
帯や帯締め・帯揚げなどの小物も、袷の着物とは異なるので、しっかりとチェックしておきましょう。以下の記事で詳しく解説しています。
袷(あわせ)
10月~5月の寒い時期にお宮参りを行う場合、裏地のついた「袷」という着物を着ていきましょう。
袷は生地が二枚縫い合わさっているため、単衣よりも暖かく過ごせます。また、単衣と比べて重厚感がある点も特徴です。
このように、季節によってお宮参りで母親が着るべき着物のマナーは定められていますが、必ずしも厳密に守る必要はありません。お宮参りは出産から1ヶ月前後に行われるため、母親の体調も安定していないからです。当日の気候や体調に合わせて、快適に過ごせる着物を選ぶことが何よりも大切です。
お宮参りで母親が着物を着る際の注意点・ポイント
お宮参りで母親が着物を着る場合、いくつか注意点やポイントがあります。今回は、特に気をつけたい5つの注意点・ポイントについて解説します。
- 家族で格を揃える
- 授乳は着付け前に済ませる
- 母親自身の体調を考慮する
- 履き物は歩きやすいものを選ぶ
- 赤ちゃんの吐き戻しに注意する
1点ずつ詳細を解説していきます。
家族で格を揃える
お宮参りの際には、赤ちゃんを基準に服装の格を考えるのが基本です。赤ちゃんと同じ格、もしくは格を下げるのがマナーとされています。
また、赤ちゃんを除いた家族間で格に違いが生じることは好ましくありません。母親が訪問着なのに父親がカジュアルな洋装、といった事態は避けるようにしてください。
特に祖父母も参加する場合は、あらかじめ服装について伝えておく必要が生じるので、事前に準備しておきましょう。
授乳は着付け前に済ませる
原則、お宮参り中に授乳はできないと考えておきましょう。授乳自体は、身八つ口と呼ばれる脇の隙間や、着物の前を開いたところからできるのですが、大きく着崩れてしまいます。自分で着付けができる方は良いですが、そうでない方には推奨できません。
よってお宮参り当日は、着付け前に授乳を済ませておく必要があります。
しかし、お宮参りで参拝以外祈祷や撮影なども実施する場合、半日から一日がかりになるケースもあります。そういった場合は、哺乳類での授乳も検討してみてください。事前に哺乳類に慣れさせておくことも大切です。
母親自身の体調を考慮する
お宮参りは産後1ヶ月前後に行うのが一般的ですが、絶対的な日程が決まっているわけではありません。よって母親の体調が安定しない場合は、お宮参りの日程を後ろ倒しにしても問題ありません。
また、着物を着ると締め付けられ、体調に影響を及ぼす可能性がある点にも注意が必要です。ゆるめに着付けをしてもらうよう、着付師さんにお願いしておきましょう。
着物の苦しさが不安な場合は、洋装も視野に入れると良いでしょう。
履き物は歩きやすいものを選ぶ
神社の参道には砂利や石畳などがあり、足元が不安定になりやすいです。また、階段も多いため疲れやすくなっています。
そのため、履き物は歩きやすい草履を選ぶことをおすすめします。
通常、フォーマルな場ではかかとの高い草履を履くのがマナーですが、お宮参りの場合は歩きやすさを優先して構いません。歩きやすい草履を選びましょう。靴擦れしたときに備えて絆創膏を持ち歩くと安心です。
また、草履は初めて履くと足を痛めやすいため、当日の負担を少しでも減らすために、あらかじめ歩く練習をしておくのもおすすめです。
赤ちゃんの吐き戻しに注意する
お宮参り中に、赤ちゃんが吐き戻しをしてしまう可能性は大いにあります。
赤ちゃん自身の祝い着や母親の着物が汚れてしまわないよう注意してください。よだれかけを着けておいたり、すぐに拭けるようタオルを持ち歩いたりすると良いでしょう。
お宮参りで赤ちゃんは着物を着る?
お宮参りの服装について、母親が着物を選んだ場合、赤ちゃんも着物で揃えるケースがほとんどです。
ということでここからは、お宮参りで赤ちゃんが着物を着る際に必要となるアイテムを紹介します。
- 産着
- 白羽二重
- よだれかけ
- 帽子
- のし扇子
- 犬張子
- でんでん太鼓
それぞれ詳しく説明します。
産着
産着とは、赤ちゃんがお宮参りで着る着物のことです。
赤ちゃんを抱っこしている人の上から被せ、肩の後ろで蝶々結びをするようにして着ます。
白羽二重
白羽二重は、産着の下に着る内着です。白絹という非常に高級な素材で仕立てられています。柔らかく肌に優しい素材なので赤ちゃんにぴったりです。
ただし、白羽二重は価格が高く手を出しづらいため、代わりにベビードレスを内着とする人も多くなっています。
よだれかけ
お宮参りには、赤ちゃんのよだれを受け止める「よだれかけ」も必要です。
上品な白地の素材に、重厚感のある刺繍が施されています。
帽子
赤ちゃんを日差しや風から守るため、帽子も被ることが推奨されています。必須ではないですが、多くの場合よだれかけとセットで販売されているため、併せて買っておくと良いでしょう。
デザインはよだれかけと同じく、白地の素材に刺繍がされているものが多くなっています。
のし扇子
のし扇子とは、のし袋に入った扇子のことです。「人生が末広がりで幸せになりますように」という願いが込められています。
扇子には赤ちゃんの名前と生年月日を書き、のし袋に入れたら産着に結びつけて使います。
犬張子
犬張子とは、その名の通り犬の形をした張子人形を指します。厄除けのお守りとして、お宮参りの際は赤ちゃんのそばに置いておくのが一般的です。
でんでん太鼓
でんでん太鼓は、柄のついた太鼓に、2つの玉が紐でつながっているおもちゃです。柄を回すと玉が太鼓に当たり、音が鳴ります。
お宮参りにおいては、でんでん太鼓は縁起物です。太鼓や玉が丸いことから、「角がなく穏やかに成長しますように」という願いが込められていると言われています。
まとめ
本記事では、お宮参りで母親が着る着物の選び方や、注意点・ポイントについて解説してきました。
訪問着・付け下げ・色無地のどれを着てお宮参りをするか決められたでしょうか?
また記事内でもお伝えしましたが、お宮参りでは母親自身の体調を考慮することが非常に大切です。時期についても慎重に検討し、お宮参りを楽しい思い出にできるよう準備を進めましょう。
この記事が、お宮参りでの着物の選び方を迷っているお母さんの参考になっていれば幸いです。