「着物で観劇に行きたいけど、何か決まりはあるのかな?」
「マナーとかルールがあるなら知りたい。」
本記事を開いたあなたは、上記のようにお考えではないでしょうか。
観劇は、着物を気軽に着ていけるシーンなので、着付け初心者の方が着物を楽しむ場としても非常におすすめできます。
しかし、いくつか抑えておきたいマナーやルールがあるのも事実です。知らずに行くとトラブルに発展する可能性もあるため、本記事を通して予習しておきましょう。
観劇におすすめの着物
観劇で着る着物は自由なので、基本的には何を着ていってもOKです。今回は、特におすすめの4種類をピックアップしてご紹介します。
- 訪問着
- 色無地
- 付け下げ
- 小紋
各着物の特徴や選び方について、以下で詳しく説明します。
訪問着
訪問着は、主にフォーマルな場面に着ていく着物です。色・柄の種類が豊富なので、好みのデザインを見つけやすいでしょう。
また、観劇以外にも着ていける場面がたくさんあるため、一着持っておくと便利に活用できます。
訪問着についてより詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事も併せてお読みください。
色無地
色無地は、黒以外の一色で染められた無地の着物を指します。
紋の数によって格が変わる点が特徴で、紋の数が多いほどフォーマルに近づきます。
観劇に適した色無地は「紋なし」です。合わせる帯は名古屋帯が良いでしょう。
色無地の格やコーディネートについてより詳しくは、以下の記事で詳しく解説しています。
付け下げ
付け下げは、格式高いシーンからちょっとしたお出かけまで、さまざまな場面に着ていける着物です。袋帯を締めればフォーマルに、名古屋帯を締めればセミカジュアルな装いになります。
観劇に行く場合は、名古屋帯もしくは洒落袋帯を締めるのがおすすめです。
また、付け下げは訪問着同様、幅広いシーンに着ていけるため、新たに購入する方にもおすすめできます。
付け下げを着ていけるシーンやコーディネートについてより詳しくは、以下の記事を参考にしてみてください。
小紋
小紋はカジュアルに着ることのできる着物です。フォーマルな場には向きません。江戸小紋・加賀小紋・京小紋の3種類が主流で、それぞれ特徴や雰囲気が異なります。
生地全体に柄が入っているためデザイン性の高いものが多いです。
小紋はお食事会をはじめとしたちょっとしたお出かけや街着にも向いているので、これから着物を普段使いしていきたい方は、一着持っておいて損はないでしょう。
小紋の柄や着用シーンについてより詳しく知りたい方は、ぜひ併せて以下の記事もお読みください。
観劇で着物を着る際のマナー
観劇で着物を着る際には、必ず守らなければならないマナーがあります。
- 髪型は後ろの人の邪魔にならないようにする
- 背もたれに寄りかかる
- 音が鳴る履き物はNG
- 着物や帯のニオイに気をつける
それぞれ詳しく解説します。
髪型は後ろの人の邪魔にならないようにする
着物で観劇に行く場合は、ボリュームを抑えた髪型にセットしましょう。
成人式・卒業式のようなイメージの派手なヘアアレンジや、トップが高くなるお団子のヘアスタイルをしてしまうと、後ろの席の人の視界を遮ってしまいます。大きな髪飾りも視界の妨げとなるため、避けるのがマナーです。
他の方の邪魔にならないよう、観劇時の髪型はダウンスタイルにしましょう。
背もたれに寄りかかる
着物で観劇をする際は、必ず背もたれに寄りかかってください。背もたれに寄りかからず、前のめりで見ると後ろや横の席の方の邪魔になってしまいます。
▼前のめりによる視界を検証した様子
「でも、着物で背もたれに寄りかかったら帯が潰れてしまうのでは?」と思われる方も多いでしょう。
たしかに変わり結びで背もたれに寄りかかると大きく形が崩れてしまいますが、お太鼓結びであれば型崩れを最小限に抑えられます。
お太鼓結びで、背もたれを使っても型崩れしない座り方は下記の通りです。
- お太鼓が曲がっていないことを確認する
- タレが返っていないことを確認する
- 姿勢を変えずにそのまま寄りかかる
寄りかかったまま姿勢を変えると、シワがつく原因になるので注意しましょう。
音が鳴る履き物はNG
上演中に音が鳴ると周囲の迷惑になるので、履き物は音のならないものを選びましょう。下駄は歩いている間だけでなく、座っている時でも椅子にあたって音が鳴ることもあります。
よって、観劇に行く際には音の鳴らない草履を履いていきましょう。草履が苦手な方は、スニーカーやブーツを履いても問題ありません。
着物や帯のニオイに気をつける
長い間しまっていた着物や帯には、独特なニオイが付いている場合があります。着物を着慣れている方は気づけないかもしれないので、第三者にニオイを確認してもらってください。
着物や帯のニオイがきつい場合は、1~2日間陰干しして消臭する必要があるので、観劇の1週間前程度から確認しておくことをおすすめします。
また、陰干ししてもニオイが消えなければ、クリーニングに出すことも視野に入れましょう。
観劇の基本マナー
ここまでは、着物で観劇する際のマナーについて触れてきました。ここからは、観劇自体の基本マナーについて紹介していきます。
- 劇場内の飲食は禁止
- スマートフォンの電源は切る
- 途中入場・退出はタブー
- 写真・動画撮影はNG
- 公演中に物音をたてない
観劇に行き慣れていない方は、一つずつしっかりと確認しておきましょう。
劇場内の飲食は禁止
観劇の場合、映画とは異なり劇場内での飲食は禁止されています。
飲食による咀嚼音や袋のガサガサ音などが公演の妨げとなるためです。また、こぼしてしまった場合シートが汚れる・臭う等の問題も発生します。
そのため、観劇に行く際はロビーで飲食を済ませておきましょう。
ただし場合によっては、上演中でなければ飲食可能な場合もあるので、あらかじめチェックしておくと安心です。
スマートフォンの電源は切る
当然ですが、劇場内ではスマートフォンの電源を切りましょう。マナーモードであっても、バイブ音は上演中だとかなり大きく聞こえます。また機内モードに設定したとしても、スマートフォンの画面の光が目立ってしまいます。
観客全員が公演を楽しめるよう、スマートフォンの電源は切り、さらに可能であればカバンの中にしまっておきましょう。
途中入場・退出はタブー
観劇において、途中入場・退出はタブーとされています。上演中に立ち上がると視界の妨げになるだけでなく、物音が舞台の雰囲気を壊したり、役者のセリフを遮ったりしてしまう可能性があるためです。
どうしても用事がある場合は仕方ないですが、観劇に行く際は、できるだけ前後に予定を入れないようにしましょう。
写真・動画撮影はNG
観劇のルールとして、「写真・動画撮影はNG」というものがあります。公演の動画・写真撮影がダメなことはもちろん、演目前後の時間に舞台を撮影することもいけません。
また、トラブルに発展することを避けるため、劇場内での自撮りも避けるのが賢明です。
稀に舞台の撮影がOKなケースもありますが、そういった場合は必ず案内があるので、アナウンスがない限りは撮影しないようにしてください。
公演中に物音をたてない
映画やミュージカルと同じように、観劇も公演中に物音を立ててはいけません。友人との楽しい会話も、他の観客からすると邪魔な物音です。上演中にカバンの中身をごそごそと漁るような音も、周囲からは気にされる場合があります。
咳やくしゃみといった生理現象は仕方ないですが、自身で制御できる物音は最大限抑えるよう心がけましょう。
観劇におすすめの着物コーデ
ここからは、観劇におすすめの着物コーディネートを3つ紹介します。
どのような着物で行くか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
演目の内容に合わせたコーディネート
こちらは、演目の内容とリンクさせたコーディネートです。アクリルスタンドを帯締めに挟むなど、かわいらしいアレンジが目を惹きます。
帯はコンパクトなお太鼓結びにされており、背もたれに寄りかかりやすい工夫がされています。
大人らしい印象の小紋コーディネート
モンステラ柄の小紋のコーディネートです。黒の小紋に金の帯という組み合わせに重厚感があり、全体的に大人らしい印象に仕上がっています。
またこの方のように、着物は観劇だけでなく、ショーやステージといった場面にも着ていけます。気軽にいろいろな場面に着ていきましょう。
可愛さが目立つ大小の小紋コーディネート
左の方は大ぶりな柄の小紋を、右の方は小ぶりな柄の小紋を着ています。どちらも色合い・柄ともにかわいらしい印象です。
また、それぞれの着物の色を帯揚げに取り入れていることで、お互いのコーディネートがリンクしているように見えるのもお洒落なポイントです。
まとめ
本記事では、観劇に行く際の着物の選び方や、注意点・ポイントについて解説してきました。改めて内容をまとめます。
- 観劇におすすめの着物は、訪問着・色無地・付け下げ・小紋の4種類
- 髪型はタイトにまとめ、周囲の視界を妨げないようにする
- 背もたれに寄りかかるのがマナーなので、コンパクトなお太鼓結びがおすすめ
- 音の鳴らない草履やスニーカー・ブーツを履いていくのがマナー
- 着物や帯のニオイは、観劇に行く1週間前程度にチェックしておく
その他にも、観劇の基本マナーやおすすめのコーディネートなども紹介しました。
本記事を参考に、観劇当日は着物を楽しんでみてください。
この記事が、観劇時の着物について知りたい方の参考になれば幸いです。