「子供の結婚式で留袖を着ることになったけど、何が必要か分からない!」
こういったお悩みはよく寄せられます。兄弟・姉妹の結婚式で、色留袖の選び方について悩んでいる方も少なくありません。
そこで本記事では、留袖の着付けに必要なものを一覧で紹介していきます。記事後半では着付けの方法や注意点も解説していくので、ぜひ最後までお読みください。
留袖の着付けに必要なもの
留袖の着付けに必要なものは、主に以下の通りです。準備する際にすべて揃っているか確認してみてください。
- 留袖
- 帯
- 長襦袢
- 半襟
- 襟芯
- 肌襦袢
- 腰紐
- 伊達締め
- 帯枕
- 帯板
- 帯揚げ
- 帯締め
- 帯留め
- 草履
- 足袋
- 着物用バッグ
- 末広
それぞれどういったものか、以下で簡単に紹介します。
留袖
留袖には「黒留袖」と「色留袖」の2種類があります。
黒留袖は既婚女性が着る最高格の着物で、和装の第一礼装です。
生地は黒色で、紋は五つ(背に一つ、両袖の後ろ・両胸に一つずつ)入っています。上半身は無地で、裾には絵羽模様が描かれています。
色留袖は、生地が黒色以外で、既婚・未婚問わず着用できる留袖です。黒留袖と同じく、裾のみに絵柄が広がっています。
紋の数は一つ・三つ・五つの3種類があり、それぞれ格の高さが異なります。
- 一つ紋:準礼装
- 三つ紋:準礼装
- 五つ紋:第一礼装
袋帯・丸帯
着物と帯は格を揃える必要があります。
よって、格の高い留袖に合わせる帯は、同格程度の袋帯・丸帯になります。
袋帯を締める場合は、金糸・銀糸を用いたものや、唐織・錦織・綴織といった格の高いものを選びましょう。
帯の柄にもこだわることをおすすめします。吉祥文様・有職文様・正倉院文様といった格の高い柄を選ぶとよりフォーマル感が出ます。
長襦袢
長襦袢は、着物の下に着るインナーのようなものです。袖口や襟元からわずかに見えるのが特徴です。
留袖の下に着る長襦袢は、無地で白色のものと決まっています。淡く色づいたものや、柄の付いたものを選ばないように注意してください。
素材についてのルールはありませんが、格を意識したい方は正絹の長襦袢を選ぶと良いでしょう。
半襟
半襟とは、長襦袢に付ける襟のことを指します。襟元には皮脂汚れが付きやすいため、半襟は着る度に外して洗濯します。
留袖に合わせる半襟は、長襦袢と同じく白色で無地と決まっています。色付き・柄付きの半襟は適していません。
襟芯
襟芯は、長襦袢の襟に差し込む固い板のようなもので、襟の形を整えるために用います。
素材はプラスチック・ナイロン・紙などさまざまあり、どれを選んでも問題ありません。
肌襦袢
肌襦袢は、長襦袢の下に着る肌着です。
上下でつながったワンピース型の「ワンピースタイプ」や、裾よけと一体型の「スリップタイプ」などがあります。上下で分かれている「セパレートタイプ」の肌襦袢を着る場合は、下半身用の肌着である裾除けを合わせて着用する必要があります。
裾除けは、腰に巻く「腰巻タイプ」や、ズボン型の「パンツタイプ」、スカート型の「スカートタイプ」など種類が豊富です。
形状や色・柄・素材のルールはないので、好きなものを選びましょう。
腰紐
腰紐は、着崩れを防ぐための紐で、着物と長襦袢に対して使います。腰部や胸元で締めるのが主な用途です。留袖の着付けには3本程度あれば良いでしょう。
外から見えるものではないので、素材や色・柄の指定はありませんが、気になる方は、正絹素材で白色・無地の腰紐を使うと良いかもしれません。
伊達締め
伊達締めとは、着物や長襦袢のおはしょり・襟合わせのために使う紐のことです。留袖の着付けには2本あれば十分です。
伊達締めには、通常の紐もあれば、端にマジックテープやクリップが付いているタイプもあります。サイズもさまざまで、幅は7~10cm程度、長さは80cm~200cm程度までと幅広いです。
腰紐同様、素材や色・柄の指定はありません。
帯枕
帯枕は、帯結びでお太鼓を形作る際に使うアイテムです。
留袖を着る際には、大きくて集めの帯枕を使うことをおすすめします。サイズの目安としては20cm×8cm×5cm(横幅×縦幅×厚み)が適切です。
大きくて厚い帯枕を使うことで、お太鼓の山がふっくらと仕上がり、豪華な印象になります。
帯板
帯板は、帯の下に入れて使うアイテムです。帯のシワを防ぐ役割を持っています。
素材はプラスチック・ボール紙・レーヨン・ポリエステルなどさまざまあり、それぞれ特徴が異なります。
留袖の着付けに使う帯板は、白色で無地のものを使うのが一般的です。柄や色の付いたものはカジュアル向けなので、留袖の着付けには使いません。
帯揚げ
帯揚げは、帯枕や帯枕の紐を隠すために使う布です。帯の上辺と着物の間からチラリと見えます。
留袖に合う帯揚げは、綸子(りんず)や総絞りです。色は白地で、金糸や銀糸を用いたものを選ぶと格式高い仕上がりになります。
帯締め
帯締めとは、帯の中央で締める紐のことです。帯崩れが起きないように固定する役割を持っています。
留袖には、金糸や銀糸で組んだ帯締めを使いましょう。幅の広い平組(平打ち)や丸組を選ぶのがおすすめです。
帯留め
帯留めは、帯締めに付けるアクセサリーです。あくまで装飾品なので、必ず使わなければいけないものではありません。
さまざまなデザインがありますが、留袖に使う際はシンプルで上品なものを選ぶと良いでしょう。派手すぎる帯留めを付けると、悪目立ちしてしまう可能性があります。
草履
草履は着物に合わせる履き物です。留袖を着る際に履くのは、高さ5cm以上で金色・銀色・白色をベースとした草履になります。高さの低いものや、色の付いたものはカジュアル向けの草履なので留袖には合いません。
素材は佐賀錦がおすすめですが、指定があるわけではないので、好きなものを選んでOKです。
足袋
足袋は、草履の下に穿く靴下です。留袖には白色で無地の足袋を合わせましょう。素材は自由ですが、格式高い正絹がおすすめです。
着物用バッグ
留袖に合わせる着物用バッグは、白・金・銀色をベースとした礼装用のものを選びましょう。クラッチバッグ・ビーズバッグ・利休バッグなどがおすすめです。
留袖で結婚式に参列する場合、殺生を連想させる革素材のバッグは避けてください。バッグの素材やデザインは草履と揃えるのが一般的です。
末広
末広とは、留袖を着用する際に必ず携帯する扇子のことを指します。留袖を着る際には、骨が黒色で扇面が金色・銀色の末広を、帯の左胸に挿しておきます。
留袖の着付け方法
留袖の着付け方法は、「自分で着る」と「着付け師に着せてもらう」の2パターンに分けられます。
自分で着る場合は、着付けの方法を習得する必要があります。独学もしくは教室で講師から習い、スキルを身につけましょう。慣れれば20~30分程度で着られるようになります。
着付け師に着せてもらう場合は、依頼先を見つけるところから始めましょう。結婚式のプランに付属している場合もあるので確認してみてください。具体的な費用については以下で詳しく解説していきます。
留袖を着付けしてもらう場合の費用
留袖の着付けは、結婚式場やホテルなどで行われることがほとんどです。美容室で行うケースも一定数あります。
いずれの場合も、プロの着付け師さんが、ヘアセットやメイクから着付けまでまるっと担当してくれるプランが一般的です。
結婚式場やホテルでヘアセット・メイク・着付けをまとめて依頼した場合の費用は、4,000円~20,000円程度が相場です。
自前ではなくレンタルの留袖を着付けしてもらう場合は、追加でレンタル費用もかかるケースがあるので、依頼時に内訳をチェックしておきましょう。
美容室でヘアセット・メイク・着付けを依頼する場合の費用相場は5,000円~15,000円程度です。ヘアセットとメイクのみを頼む場合の費用は3,000円~10,000円程度になります。
留袖の着付けで注意したいポイント
ここまでは、留袖の着付けに必要なものや手順・費用などを紹介してきました。ここからは、留袖を着る際に注意したいポイントを2つ解説していきます。
- 留袖の柄は年代に合わせて選ぶ
- 末広を正しく使用する
それぞれ詳しく説明します。
留袖の柄は年代に合わせて選ぶ
黒留袖にはさまざまな柄がありますが、絵羽模様の面積は広いほど若者向けで、狭いほど年配の方向けとされています。
結婚式に母親として参列する場合は、年齢に合わせて絵羽模様の面積が狭い黒留袖を着ていきましょう。20代~30代で、仲人として結婚式に参列する場合は、絵羽模様の面積が広い黒留袖を着ると年齢にふさわしい装いとなります。
新郎新婦の姉妹として色留袖を着ていく場合、柄に関するマナーは特に気にする必要はありません。ただし、派手すぎる色味やデザインの色留袖を選ぶと、新婦よりも目立つ可能性があり、マナー違反となってしまうので注意してください。
末広を正しく使用する
留袖を着る際に欠かせない小物の末広ですが、使う機会が少ないことから使用方法を知らない方も多いのではないでしょうか。以下に、末広の正しい使用方法を示すのでチェックしていきましょう。
- 開く方を上にして、末広の扇面が前を向くようにする
- 帯と帯揚げの間の、左胸に挿す
- 立礼をする際は末広を取り出し、右手で根元を包み込むようにして持つ
- 開いたり仰いだりしてはいけない
上記は、末広を使う際に必ず守りたいルールです。しっかりと覚えておきましょう。
まとめ
今回は、留袖の着付けに必要なものや方法を紹介し、注意したいポイントについて解説してきました。留袖は着る機会が少ないですが、重要な場面で着ることになるからこそ、基礎はしっかりと理解しておきたいところです。
記事の内容よりもより詳しく学んでおきたい方は、着付け教室でプロから学んでみてはいかがでしょうか。以下の記事で、初心者でも通いやすいおすすめの着付け教室を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。