「久々に着物を着ようと思ったら虫食い穴があった…。」
「着物が虫食いされていたらどうすれば良いんだろう?」
本記事を開いたあなたは、上記のようにお悩みではないでしょうか。クローゼットから出した着物に虫食い穴があった、というお悩みはよく寄せられます。
そこで本記事では、着物が虫食い被害に遭った際の対処法と予防方法について解説します。
大切な着物を虫食いされてしまった方は、ぜひ参考にしてみてください。
虫食いのある着物はどうしたら良い?
虫食いのある着物を発見したら、どうすれば良いのでしょうか?虫食いの状態や、その着物を今後も着たいかどうかといった意思によって対応方法は以下の通り変わります。
- かけつぎ・かけはぎを依頼する
- 処分する
- 買い取ってもらえるケースもある
それぞれ詳しく説明します。
かけつぎ・かけはぎを依頼する
虫食いが起きた着物をまだ着たい場合は、「かけつぎ」や「かけはぎ」を依頼しましょう。
かけつぎ・かけはぎとは、衣類の穴や傷などを塞ぎ、元に戻す技術のことを指します。
着物の虫食い穴の修復には非常に繊細な技術を要するため、自力で直そうとすることはおすすめできません。かえって穴が広がったり、生地が傷んだりしてしまうリスクがあります。
虫食い穴のある着物をまだ着たいのであれば、まずはかけつぎ・かけはぎ専門店に直してもらえるか問い合わせてみてください。
依頼費用は虫食い穴の大きさや着物の種類によって上下しますが、5,000円~30,000円程度を想定しておくと良いでしょう。
処分する
虫食いが起きた着物をもう着ない場合は、自治体のごみとして処分できます。
何ごみに分類されるかは自治体によって異なりますが、可燃ごみ・資源ごみ・古布のいずれかで対応しているところが多いようです。自身の自治体のルールを確認してみてください。
複数の着物が虫食い被害に遭っている場合は、不用品回収を依頼することも一つの手段です。不用品回収には費用がかかりますが、簡単かつすぐに着物を処分できます。
買い取ってもらえるケースもある
虫食い穴のある着物も、買い取ってもらえる可能性があります。
着物を着ないのであれば、買取業者に問い合わせてみるのもおすすめです。ただし、虫食いが起きているという点で買取価格には期待できません。場合によっては、買取対象外となってしまうケースもあります。
訪問買取で交通費がかかる・宅配買取で郵送代がかかる場合は、かえって余計な費用を支払うことになるリスクがあるので、業者選びは慎重に行いましょう。
また、着物を売る方法としては、買取業者に依頼するほか、リサイクルショップへの持ち込み・フリーマーケットでの販売・インターネット上での出品といった方法もあります。自身に合う方法を選んでみてください。
着物の虫食いを発見した際に行うこと
虫食いを一つでも発見したら、他の着物も同様の被害に遭っている可能性が高いです。以下の手順で着物を一つずつチェックし、再発予防に努めましょう。
- クローゼットからすべての衣類を取り出す
- 衣類とクローゼットの状態を確認する
- 衣類から卵を払い落とす
- 衣類を洗う
- 衣類にアイロンをかける
- クローゼットを掃除する
順番に詳しく解説します。
クローゼットからすべての衣類を取り出す
虫食いされている着物を一着でも見つけたら、まずはクローゼット内の衣類をすべて取り出してください。他の衣類も既に虫食い被害に遭っている、もしくは卵が産み付けられている可能性が高いです。
この際に重要なのが、着物以外の衣類もすべて取り出すことです。洋服や下着などもすべて取り出しましょう。
衣類とクローゼットの状態を確認する
衣類をすべて取り出したら、まずは一着ずつ状態を確認していきます。虫食い穴が空いているもの、卵が産み付けられているもの、被害を受けていないもので分類していきましょう。被害がどこまで広がっているのか確認するのに役立ちます。
また、衣類だけでなくクローゼット自体の確認も欠かせません。クローゼット内に虫や卵がいないかチェックしてください。虫や卵を発見した場合は殺虫剤で駆除します。
衣類から卵を払い落とす
まずはクローゼットから取り出した衣類を着物ブラシや洋服ブラシで衣類をはたき、付着している卵を払い落としましょう。目視で被害を確認できなかったものに関しても、卵を産み付けられている可能性があるので、すべての衣類をはたくようにしてください。
この際、作業は直射日光の当たらない屋外で行ってください。屋内だと虫食い被害が広がってしまい、直射日光のあたる場所だと着物が変色してしまいます。
衣類を洗う
次に、衣類をすべて洗いましょう。洋服はそのまま洗濯機で洗って問題ありません。
洗濯可能な着物は、ネットに入れた上でおしゃれ着用洗剤・中性洗剤を用い、おしゃれ着モードで洗いましょう。洗濯機不可の着物は、手洗いしてください。
着物を洗った後は、10秒程度脱水した上でハンガーに掛けて陰干しします。乾燥機を使用するとシワや縮みの原因となってしまうので注意してください。
衣類にアイロンをかける
着物やその他の衣類がすべて乾いたらアイロンをかけましょう。
60℃以上の温度で、じっくりとアイロンをかけることで虫の卵を死滅させることができます。
ただし、高温のアイロンを着物や衣類にあてると変色を起こしてしまう可能性があります。自身でアイロンをかけるのが不安な場合は、専門業者への依頼がおすすめです。アイロンだけでなく、洗いやクリーニングから対応してもらうこともできます。
クローゼットを掃除する
着物を洗っている間に、クローゼットの掃除も行いましょう。
まずはクローゼット内に殺虫剤を撒き、虫や卵を駆除してください。
次に、死滅した虫や卵をほうきで掃いて綺麗にしたら、拭き掃除をします。住宅用洗剤を使うのがおすすめです。
最後に、クローゼットを十分に換気し湿度を下げましょう。湿度を低く保つことで虫食いの再発を防げます。
なお、クローゼットの掃除に関して不安が残る場合は、害虫駆除業者を利用するのも一つの手段です。プロに任せることで、クローゼット内に虫や卵が残ってしまうリスクを低減できます。
虫食いを防ぐ着物の保管方法
ここまでは、虫食いが起きた際の対処方法を解説してきましたが、そもそも虫食いを防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。虫食いを防ぐ着物の保管方法は以下の通りです。
- 防虫剤と一緒に保管する
- 定期的に虫干しを行う
- 着物をぎゅうぎゅうに詰め込まない
各方法について、詳しく解説していきます。
防虫剤と一緒に保管する
防虫剤と一緒に保管するだけで、着物の虫食いリスクは大幅に減少します。クローゼット内には、着物と一緒に防虫剤を入れておきましょう。
ただし、防虫剤は着物に直接触れないようにしてください。たとう紙の中に入れてはいけません。防虫剤が着物に触れるとシミや変色の原因となってしまいます。
また、複数の防虫剤を併用したり、除湿剤を一緒に入れたりすると、同様にシミや変色の原因となってしまいます。クローゼットに防虫剤を入れる際は、必ず同じ商品を使うようにしてください。
定期的に虫干しを行う
着物の虫食いを防ぐためには、半年に一度「虫干し」を行いましょう。
虫干しとは、着物をクローゼットから取り出して風を通すメンテナンス方法です。
虫干しは、からっと晴れた天候の日に、以下の手順で行います。
- 着物を一着ずつハンガーにかける
- 太陽光が当たらない風通しの良い部屋の窓を開ける
- ②の部屋で、ハンガーにかけた着物を午前10時~午後2時まで陰干しする
- 着物を干している間にクローゼットの中を掃除し、全開にして乾燥させる
- たとう紙が汚れていたら、取り替える
たとう紙については、黄ばみや斑点が見えてきたタイミングで取り替えるのがベストです。虫干しを行う際には、着物だけでなくたとう紙の状態もチェックしましょう。
着物をぎゅうぎゅうに詰め込まない
虫は湿度の高いところに好んで生息します。着物をぎゅうぎゅうに詰め込むと、クローゼット内の湿度が高くなり、虫食いのリスクが高まるので注意してください。
また、湿度が高まると虫食いだけでなく、カビの発生リスクも高まります。さらに型崩れやシワなどの原因にも繋がります。
着物をクローゼットに収納する際は、幅・高さともに2~3cmの余裕を持たせましょう。
虫食いが発生しやすい着物とは?
ウールの着物は、特に虫食いが発生しやすいです。虫食いの原因となる「ヒメマルカツオブシムシ」という虫は、特にウールを好んで食べることで知られています。
ウールの着物は虫干しを3ヶ月に1回行う・たとう紙を半年に一度変えるなど、メンテナンスの頻度を上げ、虫食い被害を防ぎましょう。
また、ウールの着物は他の素材の着物と一緒に保管しないことをおすすめします。ウールの着物に集まった虫が他の着物も食べてしまう可能性があるためです。
虫食い被害を必要以上に広げないためにも、ウールの着物は他と別で保管し、メンテナンスもこまめに行うようにしましょう。
まとめ
本記事では、着物が虫食いされたときの対処法や予防法などについて詳しく解説してきました。
着物の虫食いは広がりやすく再発しやすいため、発見したらすぐに正しく対処することが重要です。
そして虫食いを防ぐためには、虫の発生しづらい環境作りや定期的なメンテナンスが欠かせません。防虫剤の使用や虫干しといった対策を実施しましょう。
また、虫食い穴のある着物も、かけつぎやかけはぎを依頼することでまた着られるようになる可能性があります。大切な着物が虫食い被害に遭ってしまった方は、ぜひ専門店に相談してみてください。
この記事が、着物の虫食いで悩んでいる方の参考になっていれば幸いです。