伊達締めは、着物の着崩れを防ぐために欠かせない着付け小物です。
とても重要な小物であるにもかかわらず、正しい選び方や使い方などを知らない方は意外と多くいらっしゃいます。
そこで本記事では、伊達締めの基本的な知識を網羅しました。伊達締めの役割や種類・素材・使い方・結び方・お手入れ方法・購入場所・代用品を紹介しています。
伊達締めについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
伊達締めとは
伊達締めとは、着物・長襦袢の襟合わせやおはしょりを押さえるための紐のことです。着付けを安定させるために使います。長襦袢の上に1本・着物の上に1本の合計2本を使うのが基本です。
幅は7~10cm程度と広めで、長さは80cm~200cmと種類によって大きく異なります。
このような役割を持つ伊達締めですが、いくつかの種類の中から使いやすい物を選択可能です。どのような種類があるか、以下で紹介します。
伊達締めの種類
伊達締めにはいくつかタイプがあります。
- 通常タイプ
- マジックテープタイプ
- クリップタイプ
各種類の特徴や違いを詳しく見ていきましょう。
通常タイプ
マジックテープやクリップが付いていない、伝統的な伊達締めです。両端を結ぶことで固定します。すべて均一の幅である種類が一般的です。
先端だけ紐のように細くなっているものになっている種類もあります。均一幅のものより結びやすいため、緩みづらいです。背中側で生地が嵩張らない点も評価できます。
また、生地の途中にゴムが入っていて伸縮する種類もあります。キツさを調整しやすいのが特徴です。
このように、通常タイプといっても種類は幅広いです。ご自身に合うタイプを選びましょう。
マジックテープタイプ
マジックテープタイプとは、生地の両端にマジックテープが付いている伊達締めのことです。マジックテープ部分を合わせるだけで簡単に使えます。
結ぶ必要がないので非常に手軽である一方、きつさの調整が難しいといったデメリットもあります。
通常タイプをうまく使いこなせなかった方は、ぜひマジックテープタイプを使用してみてください。
クリップタイプ
クリップタイプとは、クリップが付いた伊達締めのことです。クリップで着物の襟を留めながら結ぶので、緩んだりズレたりしづらい点がメリットです。
装着方法は上2種類よりも難しいため、着付けを簡単に仕上げたい方には向いていません。
伊達締めをなかなか固定できない方におすすめの種類です。
伊達締めの素材
伊達締めの素材は、主に以下の4種類に分けられます。
- 正絹
- 化学繊維
- 綿
- 麻
特徴やメリット・デメリットを、1種類ずつ紹介します。
正絹
正絹の伊達締めは、しっかりと締まりやすく、かつ緩みづらいです。着崩れが起きづらくなります。通気性が良いため、腰回りの不快感も少ないです。
正絹は高級素材なので価格は高いですが、一つ持っていれば長く使い続けられます。安い素材を買って失敗するよりは、一つ高いものを購入した方が結果としてお得です。
化学繊維
化学繊維の伊達締めはとても安いです。ただし、滑りやすいのですぐに緩んでしまいます。また、通気性が悪いため、腰回りに湿気が溜まりやすいです。
このような特徴があるため、着物を長時間着る際には向いていません。扱いが難しいので、着付け初心者の方は選ばない方が良いですね。
綿
綿の伊達締めは締めやすく緩みづらいです。価格も正絹より安く、気軽に購入できます。
ただし、結び目がごわつきやすいため、初心者の方が上手く使いこなすのは難しいかもしれません。着付けに慣れてきたタイミングでの購入をおすすめします。
麻
夏の暑い時期に向いているのが麻の伊達締めです。通気性が良く、洗濯もできるため気持ちよく使えます。シワが付きやすいというデメリットもありますが、伊達締めは外から見えない部分なので、そこまで気にする必要はありません。
伊達締めの使い方・結び方
伊達締めは、以下のようにして使います。長襦袢のときも、着物のときも同じようにして結んでください。
- 伊達締めの中心を体の正面に合わせます。
- 伊達締めの両側を後ろに持って行きます。
- 右手側の生地を上にずらし、左右の生地が重ならないようにします。
- 上にずらした生地を折り下げます。
- 左右の生地を前に持ってきます。
- 左側の生地を上にして、体の正面で左右の生地を2回絡めます。
- 余った生地は伊達締めと着物(長襦袢)の間にしまいます。
ポイントは、③の背中側で生地を上下にずらす点です。ずらさずに交差させると、背中側で生地がモタついてしまいます。
また、⑥で生地を2回絡める点も重要です。1度しか絡めないと、伊達締めが緩みやすくなってしまいます。
伊達締めのお手入れ方法
長時間使った後の伊達締めは湿気を含んでいます。ハンガーに吊して陰干しをし、しっかりと乾かしましょう。基本的なお手入れは干すだけでOKです。
夏に大量の汗をかいた場合や、汚れが気になる場合などはぬるま湯で手洗いしてください。なかには洗えない素材もあるので、洗濯表示はチェック必須です。洗えない素材であれば、クリーニングに出すことも検討しましょう。
お手入れが終わった後の伊達締めは、クルクルと丸めて収納します。着付け小物の収納場所に、一緒にしまってください。
伊達締めが売っている場所
伊達締めが売っている場所は、以下が主流です。
- Amazon・楽天
- メルカリ・ヤフオク
- 着物専門店・呉服店
各販売店の特徴や、価格の相場を詳しく解説します。
Amazon・楽天
伊達締めは、ネットショップのAmazonや楽天で購入できます。販売価格はおよそ1,000円~3,000円です。
普段からネットショッピングをする方は、気軽に購入できる点が嬉しいですね。実店舗で購入するよりも安いので、お財布にも優しいです。
しかし、実物は手元に届くまで見ることができません。「想像していたデザイン・質感と違った」なんて事態は少なくないので、その点のみ注意が必要です。
信頼できるショップを選んで、伊達締め選びで失敗しないようにしましょう。
メルカリ・ヤフオク
フリマアプリのメルカリや、ネットオークションのヤフオクに伊達締めが出品されているケースもあります。出品価格は500円~1,500円程度が相場です。
価格の安さは非常に魅力的ですが、出品されている伊達締めの多くは中古品なので、新品が欲しい方には向いていません。
色落ちや臭い・汚れなどが気にならない方は、メルカリやヤフオクで安く伊達締めを手に入れてみてください。
着物専門店・呉服店
伊達締め選びで失敗したくない方は、着物専門店や呉服店での購入をおすすめします。価格は約1,500円~5,000円と他よりも高いですが、着物に精通している店員さんと一緒に商品を選ぶことが可能です。
また、手に取って触り心地を確かめられたり、柄などを目で見て選べたりするため、イメージと異なるものを購入してしまうリスクもほとんどありません。
着付け初心者の方は、着物専門店や呉服店で伊達締めを購入すると良いでしょう。
ダイソー・セリアなどの100円均一ショップでは売っていない
本記事をお読みの方の中には、「伊達締めを100均で買いたい!」「ダイソーやセリアには売っていないのかな?」とお考えの方もいるかもしれません。
結論から言うと、ダイソーやセリアなどの100円均一ショップに伊達締めはありません。
伊達締めを安く購入したい方は、友人・知人から譲ってもらうか、以下で紹介する代用品を使用するのがおすすめです。ただし、代用品は本物の伊達締めよりも質が下がるため注意してください。
伊達締めの代用品
伊達締めの代用品となるものは案外多いです。
- 腰紐
- ストッキング
- 包帯
- ビニール紐
それぞれの使い方を詳しく説明します。
腰紐
伊達締めがないときは、まずは同じ着付け小物である「腰紐」の余りがないかチェックしましょう。腰紐の余りがあれば、それを使用するのが一番です。
使い方は伊達締めと同じで、腰紐が丸まらないようにだけ注意してください。
腰紐が余っていない方は、以下で紹介する代用品を使いましょう。
ストッキング
意外ですが、ストッキングは伊達締めの代用品になるんです。付け根部分を切断すると、伊達締め2本分になります。使い方はいつも通りです。
伸縮性があるので、苦しくなりづらいですよ。また、通気性が良いので不快感もありません。
ストッキングは、コンビニエンスストアや100円均一ショップに売っているので、忘れてもすぐに購入できて便利です。
包帯
伊達締めの代用品として、包帯を使うことも出来ます。着る場所によって自由に長さを変えられるので、丁度良い長さに調整できるのが便利です。
ご自宅に包帯がある方は、ぜひ活用してみてください。ない場合は、ドラッグストアやコンビニエンスストアで安く購入できます。
ビニール紐
ビニール紐とは、段ボールや新聞紙をまとめる際に使うアイテムのことです。これが伊達締め代わりになります。
伸縮性がなく通気性悪いため、長時間着物を着る場合にはおすすめできません。ビニール紐を使うのは、自宅で着物を着る際や、ちょっとしたお出かけ際のみに留めておきましょう。
まとめ
本記事の内容をまとめると、以下のようになります。
- 伊達締めとは、着物・長襦袢の襟合わせやおはしょりを押さえるための紐のこと
- 通常タイプ・マジックテープタイプ・クリップタイプの3種類に分けられる
- 素材は正絹・化学繊維・綿・麻の4つが主流
- 伊達締めを使い終わった後は、ハンガーに吊して陰干しをする
- 汗や汚れが気になる場合は、洗濯表示を確認し、正しい方法で洗う
- 伊達締めは、ネットショップや着物販売店などで購入できる
- 伊達締めがないときは、腰紐・ストッキング・包帯・ビニール紐などで代用できる
今回の記事の内容を基に、伊達締めを活用してみてください。この記事が、伊達締めについて知りたい方の参考になれば幸いです。