着物を着る際は、着物に合ったメイクをすることが大切です。普段通りのメイクをすると着物とのバランスが悪くなってしまう可能性があります。
とはいえ、初めて着物メイクをする方は、何に気をつければ良いのかが分からないでしょう。
本記事では、そんな初めて着物メイクをする方に向けて、パーツ別・年齢別のメイクのコツを紹介します。髪の長さ別に最適なヘアメイクも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
着物に合うベースメイク
着物に合うベースメイクのポイントは、次の2つです。
- 立体感を抑える
- 素肌よりもワントーン明るくする
順番に説明します。
立体感を抑える
着物に似合うのは、立体的な顔よりも平面的な顔です。
洋装時のように立体感のあるメイクをすると、顔と着物の両方が主張し合い、バランスが悪くなってしまいます。
ハイライトやシェーディングは控え、全体的に平面に仕上がるように下地を整えましょう。
素肌よりもワントーン明るくする
ファンデーションは、素肌よりもワントーン明るい色を選びましょう。明るくて均一な肌は、着物によく似合います。
ただし、色が白すぎると不自然に見えてしまうので、明るすぎる色を選ばないように注意してください。
シミやニキビが目立つ場合は、コンシーラーでのカバーも忘れてはいけません。
また、顔と首との色の違いが目立たないよう、首やうなじにファンデーションを伸ばすことも重要です。スポンジなどを利用して、色の差が目立たないように馴染ませましょう。
着物に合うメイク~目元編~
目元のメイクのコツを、目と眉毛に分けて紹介します。
目のメイク
着物には切れ長な目が似合います。目尻の流れに沿って、細くアイラインを引きましょう。
アイシャドウは着物の色を取り入れるのがおすすめです。ラメやパールが派手だと浮いてしまうので、落ち着いた色のアイシャドウを控えめに入れるのが無難です。
まつ毛もナチュラルに仕上げましょう。マスカラを濃く塗りすぎないように注意してください。
眉のメイク
着物に似合う眉毛は、笹眉(ささまゆ)です。
笹眉とは、くっきりとした眉山がない、ゆるやかなアーチ状の眉毛を指します。眉頭はブラシでぼかし、眉尻はキリッと細く仕上げるのがポイントです。
着物に合うメイク~口元編~
着物のメイクは全体的に控え目にするのが基本ですが、口元は例外になります。
リップは明るくハッキリとした色を選びましょう。着物と同じ色を使うと自然です。
リップライナーで唇の輪郭を縁取ると、より一層美しく見えます。
ただし、グロスの塗りすぎには注意してください。ギラギラとした口元よりは、マットで落ち着いた口元の方が着物には合います。艶があること自体は問題ないので、うまく加減をすることが重要です。
着物に合うメイク~鼻・頬周り編~
着物の際のチークは、顔色が良く見えるように淡く入れましょう。色は、肌になじみやすいオレンジ色やローズピンク色がおすすめです。
鼻周りにはほとんど手を加えません。ノーズシャドウやハイライトを入れると顔の立体感が出てしまいます。
あえて手を加えないことで、全体のバランスの良さを引き出します。
ここまで紹介したメイクのコツは、着付け教室で教わることもできます。より自分に合う着物メイクを習得したい方は、教室でプロから教わってみてはいかがでしょうか?
着物のメイクのポイントを年代別に解説
着物のメイクのポイントは、年代ごとに変化していきます。
10代・20代・30代・40代・50代以降のそれぞれのメイクのポイントを解説します。
10代
10代の方が着る着物は比較的華やかなデザインが多いため、メイクは普段よりも薄めに仕上げましょう。
着物もメイクも華やかだと、お互いが主張し合ってバランスが悪くなってしまいます。
若々しいメイクというよりは、大人らしいメイクを心がけると良いかもしれません。
薄いメイクだと物足りない方は、濃いリップを使って口元を華やかにしましょう。それでも不足感があれば、アイラインを少し太めに引くなどしても良いです。
ただし、アイシャドウを何重にも塗り重ねたり、派手なチークを塗ったりするメイクは着物には似合わないため、できるだけ避けるのが賢明です。
20代
20代の着物メイクは、10代に引き続き薄めのメイクを心がけましょう。
ただし、成人式や卒業式に限っては、あなた自身が満足できるメイクをすることをおすすめします。
着物に似合うメイクの方法は冒頭で説明した通りですが、必ずしもそれを守る必要はありません。
着物に似合うメイクをしても、あなた自身が満足できなければ、成人式や卒業式が楽しい思い出として残らないでしょう。
写真や動画もたくさん撮るでしょうから、満足できるメイクを第一に優先することが大切です。
30代
30代では、洗練された着物メイクをして大人の女性を印象付けたいところです。
まずは、シミやくすみをコントロールカラーでしっかりと整え、均一な肌を作り上げましょう。そうすることで、他のメイクが際立って美しく見えます。
アイシャドウは、帯や着物の柄から一色だけを抽出して取り入れるのが落ち着いていておしゃれです。
リップの色も控えめに。明るめのオレンジやピンクというよりは、落ち着いたワインレッドやピンクベージュなどが似合います。
40代
40代の方は、上品な色・柄の着物を着る機会が増えます。着物の変化に合わせて、メイクも上品に仕上げましょう。
リップの色はベージュ系、アイシャドウの色はブラウン系がおすすめです。
ただし、色味が落ち着いていると、その分全体がぼやけた印象になってしまいかねません。
リップの輪郭をしっかりと縁取る・アイラインをしっかりと引くなどし、落ち着いていながらもはっきりとしたメイクを心がけましょう。
50代以降
50代以降になると、若々しく見せるメイクが重要になります。年齢や着物に合わせて落ち着いたメイクをすると、老け込んだ印象になってしまうからです。
メイクの前には必ずパックをし、シワが目立たないように肌を整えましょう。
また、厚塗りのファンデーションやパール系のアイシャドウは、シワを強調してしまうため避けるのが賢明です。
その他のメイクについては、40代とほとんど同じです。
リップの色に関しては、落ち着いたベージュ系だけでなく、オレンジやピンク系の明るい色を使うのもおすすめです。くすみ感を消し、肌のトーンを明るく見せてくれます。
着物に合うヘアメイク
着物に合うヘアメイクを、髪の長さ別に紹介します。
髪型で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ショートヘア
ショートヘアをアレンジせずにそのまま活かし、横に大きな髪飾りを合わせるスタイルです。
合わせる髪飾りを変えるだけで、与える印象を大きく変えられます。
あまり派手にヘアメイクをしたくない方におすすめの髪型です。
ハッキリとした七三分けです。硬めのジェルワックスで固めることで、格好良くおしゃれな印象を残せます。
このままでも良いですが、耳元にピンを付けると更におしゃれに仕上がります。
この他にも、クールにまとめたオールバックや、前髪を編み込んだかわいらしい印象の髪型、トップにボリュームを持たせた髪形など、ショートヘアのアレンジは多彩です。
ボブ
髪をきちんとまとめたスタイルです。キリッとしていて大人な印象ですね。トップにボリュームを出しつつも、全体的にスッキリと仕上げるのがポイントです。
お子さまの卒業式・入学式や親族の結婚式など、フォーマルな場面に向いています。
かんざしを挿すと、ワンポイントのおしゃれなアクセントになるでしょう。
ボブの長さを活かした、ダウンスタイルの巻き髪です。横に大きな髪飾りをつけることで華やかさを演出できます。編み込みを入れるのも良いでしょう。
シンプルで目立ち過ぎない髪型なので、着物のデザインが派手な場合に向いています。
ボブは、ハーフアップやサイドアップなどにもアレンジ可能です。
ミディアムヘア
ミディアムヘアで多いのは、このように編み込んだアップスタイルの髪型です。
すっきりとしているのはもちろん、ボリュームがあるため豪華な印象を与えられます。
慶事の際などには最適です。
シャープにまとめたお団子ヘアは、聡明で大人らしい雰囲気があります。
あえて髪飾りをつけたり前髪で遊んだりせず、髪を一つにまとめるのがポイントです。後れ毛が気になる場合は、ヘアスプレーで固めましょう。
ミディアムヘアは、これ以外にもポニーテールや編み下ろし・ハーフアップなどにアレンジできます。髪が長い分アレンジの幅も広がるので、さまざまな髪型を楽しめます。
ロングヘア
ロングヘアの定番といえばこちらの髪型です。三つ編みを3~5個作り、頭の後ろでまとめています。
編み込み部分がボリューミーで華やかですが、前から見るとスッキリまとまっていて美しいのが特徴です。落ち着いた印象を残すことができます。
ハーフアップもロングヘアの方に人気の髪型です。写真にある通り、髪はふんわりと巻いておきましょう。結び目にリボンや花の髪飾りを付けると全体の印象が引き締まります。
卒業式の袴によく似合うスタイルです。
ロングヘアは、さまざまな髪型ができるからこそどれを選ぶか迷ってしまうかもしれません。なりたいイメージに合わせて髪型を絞っていきましょう。
「キュートな印象」ならふんわりとした巻き髪・「クールな印象」ならまとめ髪、「元気な印象」なら髪を高い位置で結ぶ・「落ち着いた印象」なら髪を低い位置で結ぶ、といった風に絞り込んでいけます。
まとめ
本記事では、パーツ別・年齢別のメイクのコツと、髪の長さ別のヘアメイクのコツを紹介しました。
着物を着たときにどんなメイクをすれば良いか、想像がついたのではないでしょうか。
普段とは違うメイク・髪型になる方が多いでしょうから、着物を着る当日までに何度か練習しておくと良いでしょう。
この記事が、着物のメイクについて知りたい方の参考になれば幸いです。