カジュアルな帯の代表格である半幅帯ですが、着物を普段使いしない方にとっては馴染みが薄く、どのような帯なのか分からない方も多いでしょう。
そこで本記事では、半幅帯とは何かについて解説します。結び方5種類や素材も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
半幅帯とは
半幅帯とは、幅約15cm×長さ約330~360cmの細いサイズの帯のことです。袋帯や名古屋帯と比べて帯幅が約半分となっているため、このように呼ばれています。
半幅帯は格が低いカジュアルな帯なので、小紋や紬・浴衣などの普段着着物に締めるのがマナーです。留袖や訪問着などのフォーマルな着物に半幅帯を締めることはありません。
また、半幅帯は細分化すると「小袋帯(こぶくろおび)」と「単衣帯(ひとえおび)」の2種類に分けられます。以下で、それぞれの特徴を見ていきましょう。
小袋帯とは
小袋帯は、二枚の生地の端を縫い合わせて袋状にしている半幅帯です。
表地と裏地で柄が異なるリバーシブルになっていることが多く、デザイン性に富んでいます。
なかには長さが4mを超える長尺のものもあり、華やかな帯結びをすることが可能です。
単衣帯とは
単衣帯とは、一枚仕立ての半幅帯を指します。薄手なので夏に使用されることが多いです。
浴衣に合わせる半幅帯のほとんどが単衣帯となっています。夏祭りや花火大会などで使用した経験がある方も多いのではないでしょうか。
半幅帯とその他の帯の違い
半幅帯とその他の帯の違いを、一覧表でまとめました。
帯の種類 | サイズ(幅×長さ) | 着用シーン | 合う着物 |
---|---|---|---|
半幅帯 | 約15cm×約330~360cm | カジュアル | 小紋/紬/浴衣など |
名古屋帯 | 約30cm×約330~360cm | カジュアル~セミフォーマル | 付け下げ/色無地(紋無し)/小紋/紬/御召など |
袋帯 | 約30cm×約400~450cm | セミフォーマル~フォーマル | 黒留袖/色留袖/訪問着/色無地/付け下げ/振袖など |
丸帯 | 約30~32cm(約60~64cm)×約400~450cm | フォーマル | 白無垢/色打掛/黒留袖など |
半幅帯の結び方
半幅帯の結び方は多種多様です。なかでも有名な結び方を5つご紹介します。
- 文庫結び
- リボン結び
- 片流し
- 貝の口結び
- カルタ結び
文庫結び
半幅帯の最も主流な結び方は「文庫結び」です。結び方の手順を解説します。
- 帯の端から約50cmを手先として取り、右肩に掛けて固定します。
- 腹部の中心で帯を開き、体の周りを2周させます。
- 2周させたら1周目の下の帯を持ち、帯をグッと締めます。
- 前に持ってきた帯を半分に折り上げます。
- 右肩に掛けていた手先をおろします。
- 手先が上になるよう、帯をひと結びします。
- 手先を再び右肩に掛けます。
- たれ先を手に持ち、肩幅の長さで帯を内側に折りたたんで羽根を作ります。
- 羽根の中心を結び目にあて、谷折りします。
- 谷折りした上部と下部をそれぞれ山折りにします。
- 右肩に掛けていた手先を、羽根の上におろします。
- 手先を結び目の下に通し、持ち上げます。
- 持ち上げた手先をもう1周巻き付けます。
- 手先を帯と伊達締めの間に入れ、下から引っ張ります。
- 余った手先は折りたたんで帯の中にしまいます。
- 羽根の形を整え、帯を時計回りに半周させます。
- 帯の1周目と2周目の間に帯板を入れます。
- 完成です。
リボン結び
「リボン結び」は、その名の通りかわいいらしいリボン型をしています。
リボン結びの手順はステップ7まで文庫結びと一緒なので、その続きから解説していきます。
- たれ先を手に持ち、肩幅の長さで帯を蛇腹に折りたたんでリボンの羽根を作ります。
- 羽根の中心を結び目にあて、山折りします。
- 谷折りした上部と下部をそれぞれ谷折りにします。
- 右肩に掛けていた手先を、羽根の上におろします。
- 手先を結び目の下に通し、持ち上げます。
- 持ち上げた手先をもう1周巻き付けます。
- 手先を帯と伊達締めの間に入れ、下から引っ張ります。
- 余った手先は折りたたんで帯の中にしまいます。
- リボンの形を整え、帯を時計回りに半周させます。
- 帯の1周目と2周目の間に帯板を入れます。
- 完成です。
片流し
羽根の片側だけ流した「片流し」は、アシンメトリーでお洒落な結び方です。
片流しの手順はステップ7まで文庫結びと一緒なので、その続きから解説していきます。
- たれを右に倒し、右肩の手前までの長さで折り返します。
- 左胸の前までの長さで折り返して羽根を作ります。
- 再度、右肩の手前までの長さで折り返します。
- 羽根の中心を結び目にあて、山折りします。
- 谷折りした上部と下部をそれぞれ谷折りにします。
- 右肩に掛けていた手先を、羽根の上におろします。
- 手先を結び目の下に通し、持ち上げます。
- 持ち上げた手先をもう1周巻き付けます。
- 手先を帯と伊達締めの間に入れ、下から引っ張ります。
- 余った手先は折りたたんで帯の中にしまいます。
- リボンの形を整え、帯を時計回りに半周させます。
- 帯の1周目と2周目の間に帯板を入れます。
- 完成です。
貝の口結び
貝の口結びは見た目がすっきりとまとまっており、落ち着いた印象があります。
結び方の手順は上記3つとは少し違うので、しっかりと確認しておきましょう。
- 帯幅から3個半分の長さを手先として取り、右肩に掛けて固定します。
- 腹部の中心で帯を開き、体の周りを2周させます。
- 2周させたら1周目の下の帯を持ち、帯をグッと締めます。
- 右肩に掛けていた手先を下ろします。
- 手先とたれが同じ長さになるよう、たれを内側に折り畳みます。
- もう一度帯をグッと締め直します。
- 体の中心で、たれが上になるように帯をひと結びします。
- たれを真下に下ろし、手先と同じ方向に折り上げます。
- 手先を輪の中に通し、形を整えたら帯を時計回りに半周させます。
- 帯の1周目と2周目の間に帯板を入れます。
- 完成です。
ステップ5で手先とたれの長さを丁寧に調整することが美しく仕上げるポイントです。
カルタ結び
カルタ結びはとても簡単なので、慣れれば1~2分程度で完成させることができます。また、短い半幅帯でもできる便利な結び方です。
具体的な手順を見ていきましょう。
- 帯を右肩に掛けます。
- 体の前面にある方の帯(手先)が、膝下くらいの長さになるよう調整します。
- 腹部の中心で帯を固定し、背中側の帯(たれ)を前におろします。
- たれを体の周りに2周させます。
- 手先を下から持ち上げ、帯と伊達締めの間に通して下から引っ張ります。
- たれを右側に引っ張り、腰幅で折り返します。
- 左側も同様、腰幅で折り返します。
- 再度右側の腰幅で折り返し、余った手先は内側に折りたたみます。
- たれを下から持ち上げ、帯と伊達締めの間に通して下から引っ張ります。
- 余ったたれは出したままでも良いですし、畳んで帯の下に入れ込んでも良いです。
- 形を整えたら帯を時計回りに半周させます。
- 完成です。
カルタ結びは帯の1周目と2周目の間に帯板を入れるのが難しいので、ベルト付きタイプを使ってあらかじめ装着しておくことをおすすめします。
半幅帯の素材
半幅帯の素材は、主に下記の5種類があります。
- 正絹
- ポリエステル
- 木綿
- 麻
- ウール
各素材の特徴やメリット・デメリットを紹介します。
正絹
絹100%でできた正絹の半幅帯は、締めやすく緩みづらいです。高級素材なので価格は高めですが、耐久性があるため長く使い続けられます。
正絹は通気性が良く保湿性も高いため、年中快適に使用できる点もメリットです。
また、正絹には特有の美しい光沢があり、肌触りもしなやかで高級感があります。
ポリエステル
ポリエステルの半幅帯はとにかく安く購入できます。安さ重視で半幅帯を探している方におすすめです。また、デザインも豊富なので好みの半幅帯を見つけやすいでしょう。
しかし、ポリエステルの半幅帯は非常に滑りやすいため、初心者の方が締めるのは難しいかもしれません。通気性が悪く蒸れやすいといったデメリットもあります。
木綿
木綿の半幅帯は安くて丈夫です。締まりやすく緩みにくい点もメリットとして挙げられます。
一方で、結び目がごわつきやすいというデメリットもあるため、初心者の方が使いこなすのは少々難しいでしょう。
木綿素材の半幅帯は、ある程度帯結びになれてきたタイミングで購入することをおすすめします。
麻
麻の半幅帯は夏向きです。肌触りがひんやりとしており、通気性も良いため、暑い夏でも涼しく過ごせます。
ただし、麻の半幅帯はシワがつきやすいため保管方法に注意が必要です。シワがついたまま使うと不格好に見えてしまいます。
ウール
羊毛からできたウールの半幅帯はとても暖かく、冬に向いています。また、締め心地も良く、シワもつきづらいです。
分厚くて保温性が高いため、暖かい気候の日には向いていません。寒い冬の日に活用してみてください。
半幅帯の長さが足りないときはどうしたら良い?
半幅帯が短いときは、長さが必要ない結び方に変えるのが最も手っ取り早いです。例えば貝の口結びやカルタ結び・矢の字結びなどは、帯が短くても簡単に結べます。
結び方を変えたくない場合は、二枚の半幅帯を組み合わせて使うこともできます。
一枚の半幅帯のみで完結させたいのであれば、帯を継ぎ足すのも一つの手段です。仕立て業者に依頼すると、別布を継ぎ足して帯を長くリメイクしてもらえます。緊急の場合には向いていませんが、時間に余裕があるときにはぜひ検討してみてください。
まとめ
本記事では、半幅帯とは何かについて解説しました。気になる結び方や素材は見つかったでしょうか。
結び方や素材によって印象が大きく変わるのが半幅帯の特徴です。今回紹介した他にも、半幅帯の結び方や素材は多々あるので、色々なものを試してみてください。小紋や紬などの普段着着物をより楽しめるようになるはずです。
この記事を通して半幅帯をより身近に感じていただければ幸いです。