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着物の肌着は「肌襦袢」です。~種類や着方・素材をご紹介~

着物 肌着 肌襦袢

着物の肌着のことを「肌襦袢(はだじゅばん)」といいます。

本記事では、肌襦袢の役割や長襦袢との違い・種類・着方・素材・生地を紹介しています

肌襦袢について詳しく知りたい方はぜひ最後までお読みください。

着物の肌着は「肌襦袢(はだじゅばん)」

着物の下に着る肌着のことを「肌襦袢(はだじゅばん)」といいます

さらしやガーゼなどの汗を吸いやすい生地がよく使われます。

肌着なので、袖口や衿から見えることはありません。洋服でいうキャミソールのような存在です。

肌襦袢の役割3つ

肌襦袢は、以下の3つの役割を果たします。

  • 体を温める
  • 着物をきれいに保つ
  • 着物を快適に着る

1点ずつ詳しく解説します。

体を温める

着物は隙間が多く、外の風が入ってきて体が冷えてしまいます。

例えば、袖口や衣紋(首元)・身八つ口(脇)・足元などです。

肌襦袢を着ることで、その寒さを防ぐことができます

特に寒い時期は、ヒートテックのような温かい素材の肌襦袢を着ると良いでしょう。

着物をきれいに保つ

着物は繊細な衣服なので、着るたびに洗うことはありません。中には洗濯できない種類の着物もあります。

ですから、着物には直接汗ジミや皮脂汚れが付かないようにしなければなりません。その役割を果たすのが肌襦袢というわけです。

肌襦袢は肌に直接着るものなので、かいた汗や皮脂を直接吸収できます。簡単に洗濯し、何度も使えます。着物をキレイに保つために欠かせないアイテムです。

着物を快適に着る

肌襦袢を着ると、不快感を覚えずに着物を着用できます。肌襦袢は、素肌にかいた汗を吸ってくれるからです。

もし肌襦袢なしで着物を着たら、汗がベタベタとまとわりついてしまいます。

脇や脚・首・膝裏・ひじの裏などに汗が溜まり、気持ち悪く感じる方もいるでしょう。

肌襦袢は着物を楽しむための必須アイテムだと言えます。

肌襦袢とよく間違えられる「長襦袢(ながじゅばん)」とは

長襦袢とは、着物の下に着るインナーウェアのことです。肌襦袢と着物の間に着ます。

主な役割は、露出防止やべたつき防止・防寒です。袖口や衿からチラッと見せることで、オシャレさを演出する役割も果たします。肌襦袢とは異なり、他人から見えてもOKということです。

長襦袢の生地には絹や木綿・化学繊維などがよく使われます。

長襦袢についてより詳しくは、「長襦袢とは?肌襦袢との違いや着物に合わせた6つの選び方を解説」の記事をお読みください。

長襦袢 とは 肌襦袢 違い 選び方 合わせ方

肌襦袢と長襦袢の違い~表にまとめました~

肌襦袢と長襦袢の違いを表にまとめるとこのようになります。

肌襦袢長襦袢
着用方法素肌に直接着る着物の下に着る
代表的な生地さらし/ガーゼ/クレープ…など絹/木綿/化学繊維…など
見え方人目に触れない袖口や衿から見えてOK
着る順番

(和装ブラ) → 肌襦袢 → 長襦袢 → 着物

肌襦袢の種類3つ

肌襦袢の種類は次の3つに分けられます。

  • セパレートタイプ
  • スリップタイプ
  • ワンピースタイプ

それぞれの特徴を見ていきましょう。

セパレートタイプ

セパレートタイプは、肌襦袢が上下で分かれているタイプを指します。

上の部分を「肌着」、下の部分を「裾よけ」と呼びます。

セパレートタイプのメリットは、体型に合わせて形を調整しやすい点です。

肌着を着物のように前で合わせて着るので、体型や好みの着心地に合わせて着用できます。

ただし、後述するワンピースタイプやスリップタイプよりも着るのに技術を要するため、初心者にはあまり向いていないかもしれません。

着付けに慣れてきた方はセパレートタイプの肌襦袢に挑戦してみてください。

スリップタイプ

スリップタイプは、肌着と裾よけが一体になったタイプの肌襦袢です。

生地自体はつながっていても、上下で別の素材が使われることもあります。

上から被るか、下から履くように着るのが一般的です。

スリップタイプも、着物のように前で合わせて着用します。

ワンピースタイプ

ワンピースタイプは、その名の通りワンピースの形状をした肌襦袢です。

スリップタイプとは違い、ファスナーやボタンを使って前部を留めます。

3種類の中で一番簡単に着ることができるので、着物初心者の方におすすめです。

ただし、ファスナーやボタンが肌に当たって痛みを感じることもあるので、購入前には一度試着しておくと良いでしょう。

肌襦袢の着方

肌襦袢の着方は肌襦袢のタイプによって異なります。

先ほど紹介した3種類の着方をそれぞれ解説します。

セパレートタイプ

セパレートタイプの肌襦袢は以下のように着付けます。

  1. 裾よけを背中側からお腹側に持ってくる。
  2. 裾線が足袋の上(ふくらはぎとくるぶしの中間)の高さに来るように、裾除けの高さを調整する。
  3. 上前(左手で持っている肌襦袢)を腰の右側に合わせ、身幅を調整する。
  4. 調整したら上前を元の位置に戻し、下前(右手で持っている肌襦袢)を入れ込む。
  5. 上前を下前に被せる。
  6. 紐の付け根部分を折り返す。
  7. 左右両方の紐を背中側からお腹側に回して持ってくる。
  8. お腹側で紐を結ぶ。この際、腰骨の上や体の中心は避けて結ぶようにする。
  9. 背中心を合わせながら、肌着を羽織る。
  10. 肌襦袢の襟を着物の衣紋から見せないようにするために、肌襦袢の襟を後ろに引く。
  11. 下前(自分から見て右側の襟)・下前(自分から見て左側の襟)の順で襟合わせをする。
  12. 襟合わせが深くなりすぎないように、左右のバストの中心で襟を交差させる。
  13. 完了です。

スリップタイプ

スリップタイプの肌襦袢の着方を紹介します。

  1. 背中心を合わせながら、肌襦袢を羽織る。
  2. 肌襦袢の襟を着物の衣紋から見せないようにするために、肌襦袢の襟を後ろに引く。
  3. 下前(自分から見て右側の襟)を合わせ、肌襦袢の穴に紐を通して背中側に回す。
  4. 上前(自分から見て左側の襟)を上から合わせ、紐を背中側に回す。
  5. 襟合わせが深くなりすぎないように、左右のバストの中心で襟が交差するように調整する。
  6. 3・4で背中側に持ってきた紐を背中の輪を通し、お腹側に持ってくる。
  7. お腹側で紐を結ぶ。この際、腰骨の上や体の中心は避けて結ぶようにする。
  8. 完了です。

ワンピースタイプ

ワンピースタイプの肌襦袢は非常に簡単に着ることができます。

手順を見ていきましょう。

  1. 肌襦袢を上から被る、もしくは下から履くようにして腕を通す。
  2. ファスナーやボタンをしめる。
  3. 完了です。

肌襦袢の素材の種類

肌襦袢によく使われる素材は以下の4種類です。

  • 綿
  • 化学繊維

1種類ずつ特徴を紹介します。

綿

綿は、植物のワタの種子から取れる繊維を使った生地素材です。肌襦袢の中で最もよく使われます。

繊維が太く丈夫で、吸湿性・通気性ともに優れているのが特徴です。

ただし、綿は放湿性に欠けるため、夏に着る場合はクレープなどの涼しげな織り方の生地を選ぶ必要があります。

麻は、植物の麻から作られた生地素材です。薄手で肌にまとわりつかないため、盛夏に向いています。

通気性・吸湿性・放湿性に優れているため汗のベタつきを感じることはほとんどないでしょう

しかし、麻にはゴワつきやすいといったデメリットもあります。初めは肌触りがゴワゴワとしており、違和感を覚えるかもしれません、次第に柔らかくなり肌になじむため、そこまで気にする必要はないですよ。

絹とは、絹糸(きぬいと)で織られた生地素材です。

生地素材の中で最高級の質を誇り、高価格です。肌触りが柔らかで、通気性が良い点が特徴となっています。

ただし、絹は洗濯すると縮んでしまうものが多いため、縮まない商品を選ぶか、毎回専門店へクリーニングを依頼するなどの工夫をしなければなりません。

使い勝手の良さよりも高級感にこだわりたい方におすすめします。

化学繊維

化学繊維とは、ポリエステルやナイロン・レーヨン等の生地素材を指します。安く手に入る点が最大のメリットです

通気性や吸湿性が悪いため、夏場は不快に感じることがあります。

着物初心者で、なるべく安い肌襦袢を探している方におすすめです。

肌襦袢の生地の種類

肌襦袢の生地は、次の3種類が主流です。

  • さらし
  • ガーゼ
  • クレープ

1種類ずつ詳しく見ていきましょう。

さらし

さらしとは、織物から色素や不純物を抜いた生地のことです。

積もった雪の上に織物を置き日光に晒す「雪晒し(ゆきざらし)」や、日光の元で草原の上に織物を置き定期的に水をかける「天日晒し(てんぴざらし)」等の手法がとられます。過酸化水素水を用いた化学的な手法が取られることもあります。

さらしには綿や麻の素材が使われることが多いです。

通気性が良く吸湿性が高いので、さらりとした着心地を楽しめます

ガーゼ

ガーゼとは、軽く撚りをかけた糸を平織した生地のことです。素材には、よく綿や麻・絹が使われます。

肌触りが柔らかく、軽いのが特徴です。吸湿性が高いので、よく汗を吸います

ただし、放湿性が高いわけではないので盛夏での着用は避けるのが賢明でしょう。

クレープ

クレープとは、表面にシボが出ている生地のことです。シボとは生地表面の凹凸のことです。強い撚りをかけた糸が元に戻ろうとすることでシボが出ます。

素材には綿や化学繊維が使われることが多いです。

吸湿性・放湿性に優れており、汗がすぐに乾くのが特徴です。

夏の暑い時期はクレープの肌襦袢をおすすめします。

まとめ

本記事の内容をまとめるとこのようになります。

  • 着物の下に着る肌着を肌襦袢という
  • 肌襦袢の役割は「体を温める」「着物をきれいに保つ」「着物を快適に着る」の3つ
  • 「セパレートタイプ」は、上下に分かれている肌襦袢のこと
  • 「スリップタイプ」は、肌着と裾よけが一体になっている肌襦袢のこと
  • 「ワンピースタイプ」は、ワンピースの形状をした肌襦袢のこと
  • 肌襦袢にはさまざまな素材や生地が使われており、それぞれ特徴が異なる

本記事の内容をもとに、あなたに合う肌襦袢を見つけてみてください。

この記事が、着物の肌着「肌襦袢」について知りたい方の参考になれば幸いです。