「娘の七五三の撮影で、妊娠中だけど着物を着たい…。」
「妊娠中なのに、身内の結婚式に着物で参列しなければいけない…。」
上記のようにお悩みの方は多くいらっしゃいます。
そこで本記事では、妊娠中に着物を着る際のポイントや注意点について解説していきます。
基本的に妊娠中の着物は推奨しませんが、もし着る場合には本記事で紹介するポイントを押さえましょう。
妊娠中に着物を着ても大丈夫?
結論、妊娠中の着物はおすすめできません。できれば着用を避けるのが良いでしょう。
しかし、どうしても着物を着なくてはいけない、もしくは着たい場面も少なからずあるでしょう。そういった場合に、着物を着ること自体は可能です。
妊娠中に着物を着る場合は、いくつもの点に注意する必要があります。以下で重要なポイントを解説していくので、着物を着たい方は必ず目を通してください。
妊娠中に着物を着る際のポイント
妊娠中に着物を着る場合は、さまざまなことに気を付けなければいけません。特に重要な7ポイントを、以下にまとめました。
- 体調が気になる場合はすぐに脱ぐ
- 洗える素材の着物を選ぶ
- 転倒しないよう足元に注意する
- 柔らかい帯を使用する
- 帯の結ぶ位置を普段と変える
- ストレッチ素材の足袋を穿く
- 下着はお手洗いに行きやすい形状を選ぶ
それぞれ詳しく説明します。いずれも重要な要素なので、妊娠中に着物を着る予定の方は必ず目を通してください。
体調が気になる場合はすぐに脱ぐ
妊娠中は、つわりや貧血・頻尿など体調のトラブルが起きやすいものです。少しでも体調に異変を感じた場合は、着物をすぐに脱ぎましょう。そのためには、いつでも着物を脱げるよう、楽に過ごせる着替えの用意が欠かせません。
着付け前に体調不良を感じた場合は、そもそも着ない選択をすることも必要です。
妊婦の方自身、そしてお腹の中にいる赤ちゃんの健康が何よりも大切なので、着物を着て無理をするようなことは避けましょう。
洗える素材の着物を選ぶ
妊娠中に着る着物は、洗える素材のものを選びましょう。
突然のつわりによって吐いてしまったり、体調不良によって座り込んでしまったりした場合、着物が汚れてしまう場合があるためです。洗えない着物を汚してしまうと、クリーニングやシミ取りなどに高額な費用がかかってしまいます。
洗える素材として代表的なのが、化学繊維です。自宅の洗濯機で丸洗いできます。その他、ウールや麻・木綿の着物も洗えます。優しく手洗いすることで、素材を傷めることなく綺麗にできます。
一方、正絹の着物は洗えません。専門店へクリーニングに出す必要があります。
よって、妊娠中に着る着物は正絹素材を避けるのが賢明です。
訪問着や付け下げといった格の高い着物も、今では化学繊維で作られているものが増えてきています。デザインが豊富なのでコーディネートも十分に楽しめますし、洗濯機で洗えるので万が一汚れても安心です。お手頃価格で購入できるので、妊娠中用の着物として気に入るものがないか探してみてください。
転倒しないよう足元に注意する
妊娠により体型に変化が起こると、転倒リスクが上がります。妊娠後期になると、足元が見えづらくなり転んでしまうケースもあります。
特に着物を着ると、普段より歩幅が狭くなったり、草履を履いたりといった要因によって、より転倒しやすくなるでしょう。
妊娠中に着物を着る場合は、転倒しないよう足元に十分に気をつけることが大切です。
また、着物で行動する際は必ず同行者に寄り添ってもらいましょう。また、着物を着ていくシーンにもよりますが、草履ではなくスニーカーなど慣れている靴を履くといった対処法もあります。
柔らかい帯を使用する
妊娠中に着物を着る際の帯は、柔らかいものを使用しましょう。固い帯は締めづらいため、自然と締め付けが強くなってしまいます。
締め付けが強くなるとお腹への負担が高くなり、体調にも影響を及ぼしかねません。
帯の結ぶ位置を普段と変える
妊娠後期でお腹が出てきた場合、帯は普段よりも高めの位置で結びましょう。胸の下から、お腹の傾斜に沿って優しく帯を締めるのがおすすめです。
胸下だと苦しく感じる場合は、下腹部で帯を結ぶのも一つの手段です。
あらかじめどちらのパターンも試し、着付け当日には楽な方を選ぶようにしてください。
ストレッチ素材の足袋を穿く
妊娠中は体がむくみやすくなるので、伸縮性のある足袋をおすすめします。
普段穿いている足袋だと、むくみによりサイズが小さく感じられる可能性があります。特に着物を着ている時間が長くなると、後からむくみを感じる場合があるので注意が必要です。
ちょっとした違和感が転倒や体調不良につながってしまうため、たかが足袋と思わずに、妊娠中の体に合うものをきちんと選びましょう。
下着はお手洗いに行きやすい形状を選ぶ
妊娠中は頻尿になるため、お手洗いに行く機会が増えます。着物を着る際は、お手洗いに行きやすい形状の下着を選びましょう。具体的には、股上の浅い下着がおすすめです。
股上の深い下着は、お腹を温めたり守ったりする用途で普段は重宝されますが、着物着用時はお手洗いに行きづらくなってしまいます。
一方、股上の浅い下着は簡単に着脱できるためお手洗いに行きやすく、着崩れも起きづらいためおすすめです。
妊娠中に着物を着る場面とは?
妊娠中に着物を着る具体的な場面としては、どういったシーンが挙げられるでしょうか?以下にまとめました。
- 七五三
- 入園式・卒園式
- 友人・親族の結婚式
- 自身の結婚式
- 不祝儀
各場面において、どのような着物が適しているのか詳しく解説していきます。
七五三
娘さんや息子さんが七五三を迎える場合は、妊娠中であっても着物を着て写真撮影や参拝を行う可能性が高いでしょう。もちろん、体調や妊娠期に合わせて洋服を選んでもまったく問題ありませんが、ここでは着物を着る場合の選び方について解説します。
七五三で母親が着る着物は、訪問着・付け下げ・色無地のいずれかがおすすめです。七五三は格式高い場面なので、着物もフォーマルなものを選ぶのが基本です。
参拝と写真撮影を同じ日に行う場合、一日中着物を着ることになるかもしれません。参拝は洋服で行う・すぐに着物を脱げるよう別の衣類を用意するなど、体調の変化に対応できる準備をしておきましょう。
入園式・卒園式
お子さんの入園式・卒園式にも着物を着ていけます。入園式・卒園式に適した着物としては、色留袖・訪問着・付け下げ・色無地が挙げられます。
どれを選んでも問題ないですが、地域によってはマナーやルールが存在する場合もあるので、あらかじめ周囲に相談しておくと安心です。小学校や中学校の入学式・卒業式の場合も同様です。
友人・親族の結婚式
結婚式に参列する際の着物の選び方は、立場によって異なります。
友人の結婚式に着物を着ていく場合は、紋の入っていない訪問着を選びましょう。着物の格が親族の方より高いとマナー違反になるので注意が必要です。ただし、仲人の方は例外として、最高格である黒留袖を着るのが一般的となっています。
いとこや叔父・叔母といった親族の結婚式に参列する際は、紋の入った訪問着を着るのが適しています。
姉妹や兄弟の結婚式であれば、黒留袖もしくは五つ紋・三つ紋の色留袖がおすすめです。
披露宴まで含めると結婚式の所要時間は長いため、無理をして着物を着る必要はありません。特に留袖は高級な素材を用いているものが多く、体調不良によって汚してしまう不安も残ります。着物を着るべきかどうかは、体調とよく相談しましょう。
自身の結婚式
「和装での結婚式をプランニングしていたが、準備期間中に妊娠してしまった」という例は少なくありません。結婚式は1年~半年前から準備する方が多いので、途中で妊娠が発覚することもあります。
自身の結婚式では、白無垢や打掛を着用する方がほとんどです。しかし、いずれも体への負担が大きい着物であるため、可能であれば結婚式のプランを変更するか、時期を延期することをおすすめします。
不祝儀
不祝儀の際に着る着物は黒紋付です。不祝儀は半日から一日かけて行われるので、体調も考慮すると洋装の喪服で参加するのが一番ですが、親族や地域のマナーで着物を着なければならない方もいるでしょう。
まずは洋装で参列して問題ないか確認を取った上で、難しければ本記事内で紹介したポイントに沿って着付けを行ってください。
妊娠中の着物体験談
ここでは、妊娠中に着物を着た方の体験談を紹介していきます。
X(旧:Twitter)やInstagram・Yahoo!知恵袋で調査しました。
長女の七五三の時下の子妊娠6ヶ月くらいで着物着ました。
とりあえず、着ること自体は問題ないです。お腹は締めませんので。
事前に伝えておけば苦しくないよう緩めに着付けてくれます。
ただ正直着付け次第なところはあります。妊娠中だって伝えればベテランさんが対応してくれるとは思いますけど。私は全く問題なく過ごせました。
引用:Yahoo!知恵袋
着物を問題なく楽しめた方から、締め付けやつわりによる体調不良が起き後悔している方まで、さまざまな体験談が見つけられました。
着物を着るかどうかは、自身の体調と相談するのが一番です。少しでも不安が残る場合は、別の服装を検討し直すことをおすすめします。
まとめ
本記事では、妊娠中に着物を着る際のポイントや注意点について解説してきました。
記事を通して、着物を着るかどうかの判断はついたでしょうか。着物を着る場合は、今回紹介したポイントを必ず押さえた上で過ごすようにしましょう。
妊娠中は、妊婦の方自身とお腹の中にいる赤ちゃんの健康が何より大切です。少しでも体調不良がある場合は無理せず着物以外の服装を選択しましょう。
この記事が、妊娠中の着物について知りたい方の参考になれば幸いです。