「結婚後は振袖を着てはいけない」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。これから成人式や卒業式を迎える方は特に気になるかもしれません。
そこで本記事では、結婚後の振袖の可否について、世間の声も含めて詳しく解説します。
記事後半では、結婚後に振袖を着る機会がない方向けに、おすすめの活用方法4選も紹介しています。ぜひ最後までお読みください。
女性は結婚後に振袖を着られないって本当?
「女性は結婚後に振袖を着られない」という話はよく耳にしますが、果たして本当なのでしょうか?振袖を着る、最も主流な3つの場面に分けて解説します。
- 成人式の場合
- 卒業式の場合
- 結婚式に参列する場合
1場面ずつ見ていきましょう。
成人式の場合
成人式の場合、既婚者が振袖を着ても問題ありません。振袖は20歳という人生の節目に着る晴れ着なので、成人式においては既婚者であるかどうかは重要視されません。思いきり振袖を楽しみましょう。
卒業式の場合
大学の卒業式で袴を着る方は多いでしょう。
袴の下には振袖を着るので、「結婚しているけど、卒業式で振袖(袴)を着ても良いのかな?」と気になる方もいるかもしれません。
結論、卒業式であれば振袖を着用してOKです。成人式同様、卒業という晴れ舞台において、既婚者かどうかを気にしすぎる必要はありません。
ただし、40代~50代になってから大学に再入学した方の場合、卒業式で振袖を着ると違和感を覚えられてしまう可能性があります。振袖に年齢制限はありませんが、40代~50代の既婚者の方であれば別の着物を選ぶのが無難でしょう。
結婚式に参列する場合
既婚者が結婚式に参列する場合、年齢にかかわらず振袖を着るのは避けた方が良いでしょう。
結婚式には新郎新婦やその両家のご親族が集まります。友人間では気にならないかもしれませんが、新郎新婦のご両親や祖父母の方からマナー違反だと思われてしまうかもしれません。
「自分がマナー違反だと思われる分には良い」という方もいるかもしれませんが、結婚する友人の評価や評判に悪影響を及ぼす可能性もあるので注意しましょう。
結婚後に振袖を着る場合は、TPOをわきまえる必要がある
ここまでの説明から分かる通り、結婚後に振袖を着る場合はTPOをわきまえる必要があります。
基本的に、成人式や卒業式以外の大勢が集まる場では、結婚後に振袖を着ることはタブー視されると考えておくのが良いでしょう。特に昔は「振袖は未婚の人が着るもの」というイメージが強かったため、ご年配の方が集まる場では注意が必要です。
どうしても振袖を着ていきたい場合は、主催者や参加者にあらかじめ相談しましょう。
結婚後の振袖について、世間の声はどう?
結婚後に振袖を着ることについて、世間はどう感じているのでしょうか?X(旧:Twitter)で調査してみました。
- 結婚したけど振袖を着たい
- 結婚後に振袖を着ても問題ない
- 既婚者だけど許可を得て振袖を着た
調査した結果、このような方が多くいることが分かりました。
反対に、「結婚後は絶対に振袖NG!」と言っている方はほとんど見つかりませんでした。
結婚後は振袖を着ない、という風潮は年々弱まっているのかもしれません。
結婚後に振袖を着られない場合の活用法
結婚後に振袖を着られない場合は、以下のように活用してみてはいかがでしょうか。
- 袂を切る
- 小物にリメイクする
- 未来の娘に取っておく
- 買い取ってもらう
各方法の詳細について、以下で解説していきます。
袂を切る
結婚してきられなくなった振袖は、袂を切ることで他の着物に仕立て直すことができます。
仕立て直しにかかる費用相場は8,000円〜20,000円程度です。
- 訪問着
- 小紋
- 色無地
各着物の特徴について詳しく解説します。
訪問着
多くの振袖は、袂を切ることで訪問着になります。
訪問着の袖の長さは約57cm〜68cmです。振袖は種類によりますが、成人式で着られる中振袖は袖丈が100cm前後なので、大体32〜43cm切ることになるでしょう。
訪問着はフォーマルな着物で、振袖や留袖の次に格が高いとされている略礼装です。
結婚式やお宮参り・子どもの七五三・入学式・卒業式といった格式高い場面から、観劇・お食事会・同窓会・祝賀会といったスマートカジュアル〜セミフォーマルな場面まで、幅広く着られる着物として知られています。
結婚して着られなくなった振袖は、訪問着に仕立て直して楽しみましょう。
ただし、元々の振袖の色・柄が若々しいものであったり、現代的であったりすると、年齢を重ねた際に着づらくなるといった懸念点もあるため注意してください。
小紋
振袖の柄が生地全体に広がっている場合、袂を着ると小紋になります。
小紋の袖丈はおよそ49cm~57cmです。よって、袖丈100cm前後の中振袖を仕立て直す場合は、袖を約43~51cm切ることになります。
小紋はカジュアルな着物で、主に街着やおしゃれ着として着られます。観劇や友人との食事会・同窓会をはじめとした、ちょっとしたお出かけに向いています。一方で、式典や結婚式というようなフォーマルな場には適していません。
色無地
非常に珍しいですが、無地の振袖は袂を切ると色無地になります。
色無地の袖丈は49~68cm程度なので、袖丈100cm程度の中振袖はおよそ32~51cm切る必要があります。
色無地は、紋の数によって格が変わる着物です。成人式で着る振袖には紋を入れないケースがほとんどのため、袂を切った後は紋なしの色無地になります。
紋なしの色無地は、小紋と同格です。カジュアルなシーンに適しています。色無地をフォーマルに使いたければ、後から紋を入れることも可能です。
一つ紋の色無地は訪問着と、三つ紋は紋付き訪問着と同格に、五つ紋は留袖の次に格が高い扱いとなります。
小物にリメイクする
結婚して振袖を着る機会がなくなったら、生地を活用して小物にリメイクすることもできます。ただ保管しておくよりも実用的ですし、売らずにリメイクすることで成人式や卒業式の思い出を手元に残しておけます。
振袖は、ポーチやバッグ・日傘といったさまざまな小物にアレンジ可能です。工夫次第では洋服に仕立て上げ直すこともできます。
裁縫が得意な方は自分でリメイクしても良いですが、そうでない方は専門店に任せるのが得策でしょう。費用はかかりますが、綺麗に仕上がります。
未来の娘に取っておく
振袖を未来の娘のために取っておく方は非常に多いです。皆様の周りにも、母親の振袖を着て成人式に参加したという方がいるのではないでしょうか。
振袖のデザインは時代に大きく左右されることがないため、数十年後でも違和感なく着られるケースがほとんどです。実際、祖母から母、母から子、というように2世代に渡って同じ振袖を引き継いでいる方もいます。
ただし、未来の娘に振袖を取っておくためには、保管方法に注意が必要です。
シワがつかないよう丁寧に畳んだ上で、たとう紙に包んで桐タンスや衣装箱に収納しましょう。また、半年に一度は虫干しをすることも重要です。これらを行うことで、カビや変色のリスクを下げられます。
もしくは、着物の保管サービスを利用して預けておくのも一つの手段です。
着物の保管方法についてより詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ併せてお読みください。
買い取ってもらう
振袖を取っておくつもりのない方は、買い取ってもらうと良いでしょう。振袖は、以下のような場所で売れます。
- リサイクルショップ
- 買取専門店
- フリマサイト
各方法のメリット・デメリットを解説します。
リサイクルショップ
家の近くにリサイクルショップがあれば、不要な振袖をすぐに売りに行けます。その場で現金を手にできるため、振袖をすぐに換金したい方におすすめです。
しかし、リサイクルショップは幅広いアイテムを取り扱っていることから、振袖に詳しい専門スタッフはいないケースが多いです。よって、相場よりも安く買い取られてしまうリスクがあることは覚えておきましょう。
買取専門店
着物の買取専門店には振袖に精通したプロが在籍しているため、適正価格で査定してもらえる可能性が高いでしょう。価値に見合った金額で振袖を売りたい方におすすめです。
ただし、買取専門店はリサイクルショップと比べて数が少ないため、近くの店舗を見つけづらいかもしれません。
また、買取専門店の中には悪質な業者もおり、適正価格を知った上で叩き買いされてしまうケースも少なくないため注意してください。業者選びは慎重に行うことをおすすめします。
フリマサイト
フリマサイトで振袖を売る最大のメリットは、自身で価格を設定できる点です。振袖の価値を理解しないままフリマサイトを利用すると、相場とはかけ離れた価格で販売してしまう可能性があるので、事前調査は必須です。
その上で、写真や説明文を工夫して売れば高値でも買い手がつくでしょう。
一方で、買い手がつかない限り振袖が手元に残り続ける点はデメリットと言えます。売れないまま振袖の状態が劣化してしまうと、さらに売れづらくなる負の循環に陥る可能性もあります。
まとめ
本記事では、結婚後に振袖を着て良いかどうかと、着ない場合の活用方法について解説してきました。改めて内容をまとめると以下のようになります。
- 成人式や卒業式では、結婚後でも振袖を着てOK
- その他の場面では、TPOをわきまえた上で判断する必要がある
- 既婚者は振袖NGという風潮は年々弱まっている
- 結婚後に振袖を着ない場合は「袂を切る」「小物にリメイクする」「未来の娘に取っておく」「買い取ってもらう」などの活用方法がある
本記事の内容を参考に、結婚後の振袖の使用方法を決めてみてください。この記事が、結婚後の振袖について知りたい方の参考になっていれば幸いです。