帯締めとは着物の帯を固定する大切な小物ですが、格や種類の多さから合わせ方が分からないと悩む方は多いです。
本記事ではそのようなお悩みを解決するため、帯締めの格や種類・着物8種類に応じた合わせ方を紹介します。
帯締めについて詳しくなりたい方はぜひ参考にしてください。
この記事を読めば帯締めを活用したコーディネートを楽しめるようになります。
帯締めとは
帯締めとは、着物の帯が崩れないよう帯を固定する役割を持つ紐のことです。着付けの最後に帯の中央で結びます。
帯締めは、着崩れを防ぐだけでなく、着物全体の雰囲気やイメージにも影響します。
素材や太さ・形・色・柄など種類が豊富で結び方が多岐に渡る点も特徴的です。
なお、帯締めを結ぶのは女性だけなので男性は使用しません。
帯締めの歴史
帯締めに使われる“組紐”の技術は、奈良時代に中国・朝鮮半島から伝わったとされています。
組紐の技術が伝来した当初から鎌倉時代までは、冠の緒や刀の下緒など貴族や武家を中心に使用されていました。江戸時代に入ると一般家庭にも普及し、羽織の紐や袋物の紐・巻物の緒などに使用されはじめました。
組紐が帯締めとして使われるようになったのは明治9年の「廃刀令」発令後です。
これまで刀の下緒に使っていた組紐が必要なくなり、多くの方が組紐を帯締めとして使用するようになりました。
それまでは、筒状の布の中に綿を詰め込んだ「丸くげ」が帯締めの主流だったようです。
丸くげが広く使用されはじめたのも江戸時代末期からなので、帯締め自体の歴史はまだ浅いと言えます。
帯締めの格
帯締めは平組(平打ち)>丸組(丸打ち)>角組(角打ち)の順で格が高いです。
それぞれの詳細を説明します。
平組(平打ち)
平組は最も格の高い帯締めで、紐が平らに組まれています。
第一礼装から普段のおしゃれ着まで幅広く使用できるため、最もよく使用される帯締めです。
幅が狭いものから広いものまであり、幅が広いほどフォーマル向きとされています。
金糸・銀糸が組まれた帯締めは特に格が高く、黒留袖や色留袖に合わせることが多いです。
丸組(丸打ち)
丸組は平組の次に格の高い帯締めで、紐が円筒のように組まれています。
飾りが多ければ振袖用に、少なくシンプルであれば普段着に使えます。
他の2つに比べて結びやすく、初心者に向いている帯締めです。
角組(角打ち)
角組は3つの中で最も格の低い帯締めで、紐が直方体状に組まれています。
小紋や紬のようなカジュアルな普段着に合わせる機会が多いです。
平組や丸組と比べて結ぶのが難しい点が特徴です。
帯締めの種類
帯締めの種類は多く、その数なんと3,000種類以上にものぼります。
すべては紹介できないので、ここでは以下の人気な7種類を紹介します。
- 高麗組(こうらいぐみ)
- 笹浪組(ささなみぐみ)
- 平田組(ひらたぐみ)
- 唐組(からくみ)
- 冠組(ゆるぎぐみ)
- 御岳組(みたけぐみ)
- 丸くげ
紐の組み方や特徴の違いをぜひ参考にしてください。
高麗組(こうらいぐみ)
高麗組は平組の一種です。組目が細かく、金糸や銀糸を用いることが多い高級な帯締めです。
黒留袖や色留袖など、格式高い場面に合わせるのが基本となっています。
笹浪組(ささなみぐみ)
笹浪組は平組の一種です。組目がさざ波のようなので笹浪組と呼ばれています。
シンプルなデザインが多く、小紋や紬などのカジュアルな普段着に合わせやすいです。
平田組(ひらたぐみ)
平田組は平組・角組の一種です。組目の粗いものが多く、夏用着物に合わせることの多い帯締めです。
分厚く丈夫なので初心者でも比較的取り扱いやすいでしょう。
唐組(からくみ)
唐組は平組・丸組の一種で、丸唐組と平唐組の2種類があります。唐から伝わった組み方なので唐組と呼ばれています。
ひし形が連続している組目が特徴です。
訪問着から小紋・紬まで様々な場面に活用できます。
冠組(ゆるぎぐみ)
冠組は角組の一種です。貴族や武家の冠に使われていたことから冠組と呼ばれています。
表側の中央で半分に分かれている組目が特徴です。
生地の厚みと伸縮性の高さに優れており、初心者でも簡単に結べます。
普段着の着物でどんな帯締めを使うか迷ったら、冠組を選べば間違いありません。
御岳組(みたけぐみ)
御岳組は角組の一種で、角八つ組と奈良組を横に二本つなげて組んだ帯紐です。
武州御岳神社にある、流鏑馬で使用する鐙(あぶみ)に使われていたことから御岳組と呼ばれています。
多くの柄を表現できるのが特徴で、着物に彩りを与えてくれます。
丸くげ
丸くげは、組紐が帯締めの主流となる前から使われていた帯締めです。円筒状の布の中に綿を詰め込んでいます。
かつては喪服に合わせることが多かったですが、近年はカジュアルな着物に合わせることも増えてきました。
帯締めの選び方
帯締めは着る着物によって合わせ方が変わります。以下8種類の着物に合わせる帯締めを見ていきましょう。
- 振袖
- 黒留袖
- 色留袖
- 訪問着
- 色無地
- 付け下げ
- 小紋・紬
- 浴衣
振袖に合う帯締め
振袖には飾りがたくさんついた丸帯が合います。
幅は太めで、柄は着物の柄に合うものを選ぶと良いでしょう。
金糸を組んだ高麗組の帯締めや、吉祥模様の丸くげもよく似合います。
黒留袖に合う帯締め
黒留袖には白地に金糸・銀糸を組んだ帯締めを締めるのがマナーです。
黒留袖は結婚式・披露宴などのフォーマルな場で着るので、幅の広い平組の帯締めを選ぶことをおすすめします。
平組だけでなく、丸組や丸くげの帯締めを締めるケースもあります。
黒留袖についてより詳しく知りたい方は「留袖とは何?黒留袖と色留袖の着こなしを詳しく説明します!」の記事をお読みください。
色留袖に合う帯締め
色留袖に合わせる帯締めは、黒留袖同様、白地に金糸・銀糸を組んだものが適しています。
色留袖は紋の数が増えるほどより格が高くなるので、紋の数に合わせて帯の幅を調整すると良いでしょう。
色留袖についてより詳しく知りたい方は「留袖とは何?黒留袖と色留袖の着こなしを詳しく説明します!」の記事をお読みください。
訪問着に合う帯締め
フォーマルな訪問着の場合、一般的には金糸を組んだ帯締めを用います。
フォーマルな訪問着とは、友人の結婚式・披露宴やお子さまの入学式・卒業式などに着て行く訪問着を指します。
格については、平組・丸組・角組のどれを用いても構いません。
カジュアルな訪問着の場合は金糸を組んでいない帯締めを使うケースも増えてきています。
カジュアルな訪問着とは、お食事会や同窓会など普段出かける際に着る訪問着を指します。
こちらも平組・丸組・角組のすべてを使えます。
訪問着はさまざまな帯締めを合わせられるので、コーディネートを楽しみたい方にはぴったりの着物と言えます。
訪問着を着るシーンや着こなしについての詳細は「訪問着とは?どんな時に着る?色留袖や付け下げとの違いも易しく解説」の記事で解説しています。帯締めの合わせ方の参考にしてください。
色無地に合う帯締め
色無地には淡く上品な色・柄で、幅は細めの帯締めが合います。
お子さまの入学式や卒業式等のフォーマルなシーンには金糸や銀糸を組んだ平組の帯締めがおすすめです。お食事会や同窓会などのカジュアルなシーンにはシンプルな平組の帯締めが合います。
付け下げに合う帯締め
付け下げはカジュアルなシーンでの使用が多いため、幅が狭めの帯締めを合わせるのが基本です。
格式高い場面以外では金糸・銀糸の帯締めは使用しません。格については平組の帯締めを締めるケースが多いです。
柄や色はお好きなものを選んでください。
付け下げについての詳細は「付け下げとは何?訪問着との違いや着用シーンを分かりやすく解説」の記事をご確認ください。
小紋・紬に合う帯締め
小紋や紬には、幅の狭い帯締めを合わせます。
平組・丸組・角組のどれを使っても問題ありませんが、金糸・銀糸のものはほとんど締めません。
小紋や紬はカジュアルシーンで活躍する着物なので、帯締めの格も揃えるように気を付けましょう。
小紋についてより詳しく知りたい方は「小紋とは何?柄3種類と間違えない選び方を解説!」の記事をお読みください。
浴衣に合う帯締め
浴衣には、帯締めは締めなくても問題ありません。半幅帯が着崩れを防ぐ役割を果たしているからです。
とはいえ、帯締めは全体的な見た目に彩りを与えてくれます。浴衣を美しく着こなしたい方は帯締めを使用すると良いでしょう。
組目が粗く涼しげな平田組や飾り紐が似合いますよ。
帯締めの結び方
帯締めの結び方は簡単です。以下で手順を解説しますので、ぜひ読みながら結んでみてください。
- お太鼓の中に帯締めを通す。
- 帯締めを体の前に持ってきて、左右の長さを揃える。
- 左が上になるように左右の帯締めをクロスさせ、下から上に結び上げる。
- 結んだ帯紐を真下に下ろし、再度左が上になるように結ぶ。
- 結び終わった帯紐の余りを、結んだ帯紐の中へ上から下に仕舞う。
- 完成。
まとめ
本記事の内容をまとめるとこのようになります。
- 帯締めとは、着物の帯が崩れないよう帯を固定する役割を持つ紐のこと
- 平組(平打ち)>丸組(丸打ち)>角組(角打ち)の順で格が高い
- 平組は最も格の高い帯締めで、紐が平らに組まれている
- 丸組は平組の次に格の高い帯締めで、紐が円筒のように組まれている
- 角組は3つの中で最も格の低い帯締めで、紐が直方体状に組まれている
- 金糸・銀糸が組まれた帯締めは格が高い
- 帯締めは、幅が広いほどフォーマル向きとされている
着る着物に合った帯締めを正しく選択し、着付けを楽しみましょう。
この記事が帯締めについて知りたい方の参考になれば幸いです。
なお、帯締めの種類や選び方・結び方については着付け教室で習得することもできます。正しい知識を身につけたい方は、着付け教室で学ぶことも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。