「今度着物を着る機会があるけど、ネックレスはしても良いのかな?」
本記事を開いたあなたは、上記のようにお悩みではないでしょうか。
着物と洋服ではマナーやルールが異なるため、着慣れていない方だと不安に感じることが多くあるかと思います。
そこで本記事では、着物にネックレスを合わせて良いのかどうかについて解説を進めます。ネックレス以外のアクセサリーにおけるマナー・ルールについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
着物時にネックレスはOK?NG?
結論、着物着用時にはネックレスを付けない方が良いです。
通常、ネックレス以外のアクセサリーはフォーマルな場面には向かない・もしくはスタイルを選ぶ、カジュアルな場面では自由に選んで良いとされています。しかし、ネックレスに限ってはフォーマル・カジュアルにかかわらず付けることを推奨しません。
理由としては、主に以下の2点が挙げられます。
- 着物の良さが損なわれてしまう
- 生地が傷つく可能性がある
それぞれ詳しく説明します。
着物の良さが損なわれてしまう
ネックレスは首元や胸元を華やかに彩るためのアクセサリーなので、襟元がシンプルな洋服にはよく似合います。
しかし、着物にはすでに半襟や重ね襟といった小物があり、襟元が美しく見えるような構造になっています。着物や帯に合うよう選ばれたデザイン性の高い半襟・重ね襟の上からネックレスを付けると、せっかくの美しさが損なわれてしまうでしょう。
日本文化において大切にされている考え方に「引き算の美学」というものがあります。これは、さまざまな要素を必要最小限までそぎ落とすことで美しさが際立つといった考え方です。
着物のコーディネートにおいても、引き算の美学を大切にし、ネックレスを除いてコーディネートを組んだ方が結果として洗練された印象になります。
生地が傷つく可能性がある
着物にネックレスが推奨されないのは、美しさといった観点による理由だけではありません。
ネックレスは、着物の中に入れて付けている場合も、外に出して付けている場合も、生地を傷つけてしまう可能性が高いです。留め具やチェーン・飾りが着物の生地に引っかかり、破れやほつれの原因となってしまうリスクがあります。
また、ネックレスを着物の中に入れて付ける場合、ボコっと浮いてしまい、跡になってしまう可能性があります。見栄えとしても不自然でしょう。
これらの理由から、着物着用時にネックレスを付けることは推奨できません。ネックレスを付けないスタイルで美しい着姿を目指しましょう。
ネックレス以外のアクセサリーは着物に合わせて良い?
着物にネックレス以外のアクセサリーは合わせて良いのでしょうか?以下の5つについて、着物着用時のマナー・ルールを紹介します。
- ピアス・イヤリング
- 指輪
- 腕時計
- ヘアアクセサリー
- ネイル
順番に詳しく見ていきましょう。
ピアス・イヤリング
ピアスやイヤリングは、着物に合わせてOKです。
結婚式や七五三など、格式高い場面には小ぶりでシンプルなピアス・イヤリングを付けましょう。白い真珠を用いたものがおすすめです。
友人との食事会や観劇といったラフな場面では、好きなデザインのピアス・イヤリングを付けて問題ありません。ただし、耳から垂れるタイプのピアスは着物に引っかかり傷つける可能性があるので避けるのが賢明です。
デザインとしては、市松模様や鮫小紋といった和柄のものが着物によく合います。
以下の記事では、着物に合うピアスの選び方をより詳細に解説しているので、気になる方は参考にしてみてください。
指輪
着物には、指輪を合わせて問題ありません。
ただし、身につける指輪はシンプルで平らなものを選びましょう。飾りの大きい指輪は、袖元に引っかかってしまうリスクがあるだけでなく、襟元や帯を直す際にも生地を傷つけてしまう可能性があります。
フォーマルシーンの場合、結婚指輪・婚約指輪以外の指輪を付けるのはマナー違反だと考える方もいます。心配な方は事前に主催者へ確認しておくと良いでしょう。
また、お茶会に着物で参加する際は必ず指輪を外しましょう。茶器や畳を傷つけないためのルールです。
腕時計
着物と腕時計の組み合わせは、マナーとしては問題ないですが、コーディネート面での相性はあまり良くありません。
付けるのであれば、小ぶりでシンプルなデザインの腕時計がおすすめです。ユニークなデザインや大ぶりの腕時計は目に留まりやすいため、せっかくの着物の良さが低減してしまいます。
また、ベルト部分が金属製だと生地を傷つけるリスクがあるので、レザー製・ラバー性をはじめとした柔らかい素材の腕時計を選ぶと安心です。
ヘアアクセサリー
着物には、髪飾りやかんざしといったヘアアクセサリーがよく似合います。フォーマル・カジュアルともに使えるアクセサリーなので、積極的に活用してみてください。着物や帯のデザインと合うものを選ぶと統一感が出ておしゃれになります。
また、普段着着物に限りますが、ヘアバンドや帽子も着物に合わせてOKです。ハットやベレー帽などを被ることでアンティークな着こなしを演出できます。
ネイル
着物着用時にネイルはして良いです。
フォーマルな場面にはシンプルで上品なネイルが向いています。カジュアルな場面であれば、デザインは自由です。和柄や季節に合う花柄を取り入れたり、金箔や真珠でアクセントを加えたりして楽しめます。
ただし、爪から大きくはみ出るようなデザインや、装飾が派手なものは着物を傷つけてしまうため避けましょう。
着物に合うネイルの選び方については、下記の記事で詳細を解説しています。気になる方は参考にしてみてください。
着物にアクセサリーを合わせる際のポイント
着物にアクセサリーを合わせる際は、以下の3ポイントを意識しましょう。
- フォーマルシーンではアクセサリーの着用に注意する
- シンプルなデザインのものを選ぶ
- アクセサリーと着物の格を揃える
一点ずつ解説していきます。
フォーマルシーンではアクセサリーの着用に注意する
フォーマルシーンにおいては、アクセサリーを着用すべきか慎重に判断しましょう。
着物にピアスや指輪といったアクセサリーを合わせることをよく思わない方も一定数います。特に高齢者の方が集まる場面では注意が必要です。
マナー違反だと思われてしまうかも、と不安がある方は、アクセサリーをつけない選択をおすすめします。
アクセサリーを付けたい場合は、結婚式の場合は新郎新婦に、式典の場合は主催者に確認するのが一番確実な方法です。
シンプルなデザインのものを選ぶ
アクセサリーが目立ちすぎると、着物のデザインと主張し合うことにより、双方の良さが失われてしまいます。
アクセサリーはあくまで着物を引き立てるものとして、できるだけシンプルなデザインを選びましょう。着物を着ていくシーンや、色・柄に合わせてアクセサリーを選ぶことが大切です。
アクセサリーが悪目立ちしていないか、周囲の人に確認してもらうと良いでしょう。
アクセサリーと着物の格を揃える
アクセサリーのデザインは、着物の格に合わせて選ぶことがポイントです。格が揃っていないとマナーにそぐわない服装となるだけでなく、アクセサリーが浮いて見えてしまうデメリットもあります。
第一礼装である留袖には、金・銀・白色をベースとしたアクセサリーを身につけてください。大胆な柄の入ったものや、鮮やかな色合いのものは適していません。
訪問着をはじめとした準礼装には、淡い色合いでシンプルな柄のアクセサリーが合います。
小紋や紬といったおしゃれ着であれば、気に入ったデザインのアクセサリーを合わせて問題ありません。
アクセサリー以外で着物を華やかに彩るアイテム
以下の2つは、アクセサリー以外で着物を華やかに彩る代表的なアイテムです。
- 帯留め
- 重ね襟
それぞれどういったものか紹介していきます。
帯留め
帯留めとは、帯締めに付けて使用する和装小物です。色や形・素材の種類が豊富で、着物のコーディネートにワンポイントのアクセントを加えられます。
フォーマル向けの帯留めは、パールやダイヤモンドを用いたものがおすすめです。カジュアルシーンであれば、どんな帯留めを付けても問題ありません。
ただし、不祝儀とお茶会に行く場合は、帯留めは付けないのがルールなので注意してください。
帯留めについてより詳しくは、以下の記事で解説しています。使い方や選び方などを知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
重ね襟
重ね襟とは、着物と半襟の間から少しだけ見せる飾りの襟のことで、首元に彩りを加える役割があります。本物の襟ではないので、伊達襟と呼ばれることもあります。
ただし、重ね襟は礼装にのみ使われるアイテムで、小紋や紬といったおしゃれ着には使えないので注意してください。
重ね襟の色や柄によって、全身の印象は大きく変わって見えます。例えば、着物と重ね襟が同系色だと落ち着いた印象に、反対色だと引き締まった印象になります。まさにアクセサリーのように楽しめる和装小物です。
重ね襟の選び方やコーディネートについては、下記記事で詳細に解説しています。ぜひあわせてお読みください。
まとめ
本記事では、着物着用時にネックレスを付けてはいけない理由や、その他のアクセサリーにおける考え方について解説してきました。
着物とネックレスの組み合わせはNGですが、ピアスや指輪などのアクセサリーは、シーンによっては身につけて楽しむことができます。また、アクセサリーだけでなく和装小物でコーディネートを楽しむことも十分可能です。
和装小物を用いた着付け方法について、教室で学んでみてはいかがでしょうか。以下のページで、初心者が通いやすい着付け教室をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。