帯板とは、着付けを美しく仕上げるために欠かせないアイテムです。
しかし、帯板とは何かや使い方を知らない方は非常に多くいます。
そこで本記事では、帯板の概要や特徴を解説したのちに、種類・形状・サイズ・素材・デザインについて紹介します。帯板の使い方も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
帯板とは
帯板とは、帯の下や間に入れて使う板のことです。
種類やサイズ・素材・形状などはさまざまで、それぞれ用途や使い方が異なります。
帯板の種類
帯板には「前板」と「後ろ板」の2種類があります。それぞれの特徴や用途をチェックしましょう。
前板
前板は、帯を結ぶ際に体の前面に入れて使う板です。帯をピンと張り、シワを防ぐ役割があります。
フォーマルからカジュアルまで、どんな着物にも使用するのが一般的です。
後ろ板よりも長いものが多いため、2つを見分ける際は長さに注目してみてください。
後ろ板
後ろ板は、帯結びの際に体の後ろ側に入れて使う板です。変わり結びを美しく見せる役割があるため、一重太鼓や二重太鼓をはじめとしたお太鼓結びに使用することはありません。
後ろ板が活躍するのは、振袖や浴衣などで変わり結びをするタイミングのみとなります。
帯板の形状
帯板のなかでも前板の形状は、大きく「ベルトなしタイプ」と「ベルト付きタイプ」の2種類に分けられます。
それぞれの特徴やメリット・デメリットをチェックして、どちらがあなたに合うかチェックしてください。
ただし後ろ板の形状はベルトなしタイプの1種類のみとなっています。ベルト付きタイプはありません。
ベルトなしタイプ
ベルトなしタイプの前板は、帯を巻く1周目と2周目の間に差し込んで使います。
帯の表面の近くに入れられるため、仕上がりがピシッとする点がメリットです。
また、ベルトがないことによって前板が体にフィットしやすいため、帯を巻きやすくなるといった利点もあります。
帯結びに慣れていない初心者の方におすすめです。
ベルト付きタイプ
ベルト付きタイプの前板は、帯結びをする前に、伊達締めの上に付けて使います。
ベルトなしタイプに比べて、付け忘れるリスクを抑えられる点がメリットでしょう。
一方で、ベルト付きタイプの前板は、ベルトによる反発で帯を締めにくくなってしまう点がデメリットです。慣れないうちは帯結びが緩くなってしまい、全体的にだらしない印象になってしまいます。
また、ベルト付きタイプだと先に前板を付けて、その上から帯を締めることになりますが、狙った高さに帯を締めることは非常に難しく、あとからの調整もしづらいため初心者の方には向いていません。
ベルト付きタイプの前板は、着付けにある程度慣れてきた段階で試してみましょう。
帯板の使い方
前板と後ろ板は用途が異なるため、もちろん使い方も異なります。
具体的な使い方の手順を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
前板・ベルト付きタイプ
ベルト付きタイプの前板は、以下の手順で付けます。
- 伊達締めを締め終えます。
- 前板を体の周りに一周させ、体の前でベルトを留めます。
- ベルトの長さを調整し、体にフィットさせます。
- 体の正面に前板が来るよう、時計回りにスライドさせます。
- 完成です。この上から帯を巻き始めます。
時計回りにスライドさせることで、衿元の着崩れを最小限に抑えられます。とはいえ、きつく締めすぎると着崩れする可能性は高くなるため注意してください。
前板・ベルトなしタイプ
ベルトなしの前板は、下記の手順で付けます。
- 伊達締めの上から、帯を締め始めます。
- 帯を体の周りに一周させたら、二周目に入る前に前板を差し込みます。
- 差し込んだ前板の上から、帯の二周目を巻きます。
- 完成です。
一周目と二周目の間に差し込むパターンが一般的ですが、なかには帯を巻き終えた後に前板を入れる方もいます。やりやすい方を選んでみてください。
後ろ板
後ろ板の付け方は以下の通りです。
- 伊達締めの上から、帯を締め始めます。
- 帯を一周巻きます。
- 二周目を巻き始めてすぐ、帯の輪の中に後ろ板を差し込みます。
- 完成です。帯の変わり結びを続行します。
後ろ板を使用するのは変わり結びをするときのみとなっています。お太鼓結びをする際には不要です。
帯板のサイズ
ここまでは帯板の種類と形状を紹介してきましたが、同じタイプの帯板でもサイズ展開は異なります。
基本的に、帯板は胴幅より少し短いサイズを選ぶとフィットしやすくなります。ひとつの目安としてみてください。
ただし、帯板のサイズはフィット感だけでなく、TPOによって使い分ける必要もあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
長めの帯板
結婚式や式典などのフォーマルシーンで礼装を着用する場合は、45~60cm程度の長めの帯板を用います。幅は大体15~18cmとなっているものが多いです。
短めの帯板
普段着やおしゃれ着として着るカジュアルな着物には、約30~40cmの短めの帯板を使用するのが一般的です。幅は10~13cm程度のものが多めになっています。
帯板の素材
帯板の素材は多種多様で、季節や付け心地によって使い分けます。
どのような素材があるのか見ていきましょう。
通常タイプ
通常の帯板の素材は、プラスチック・ボール紙・レーヨン・ポリエステル・へちま、など色々あります。
- プラスチック:安価で手頃だが、固いため使いづらい場合もある
- ボール紙:柔軟性があり使いやすいが、耐久性は低い
- レーヨン:肌触りが良く、通気性も良い
- ポリエステル:耐久性が高く、速乾性もある
- へちま:通気性が良く、吸湿・放湿性も高い
どの素材が合うかは人によって変わります。いくつか手に取って、実際に試してみることをおすすめします。
メッシュタイプ
透け感があるメッシュタイプの帯板もあります。薄手で通気性が良いため、夏用の帯板として使用する方が多いです。
また、メッシュタイプの帯板は軽くて柔らかいので付け心地が良く、一年を通して使用する方もいます。
ただし、柔軟性のありすぎるものは、帯板の“シワを防ぐ”役割を十分に果たせない可能性が高いので注意が必要です。購入する場合は、事前に試着しておきましょう。
帯板の色・柄
帯板は帯の下や間に差し込むものなので外からは見えませんが、それぞれに色や柄が施されており、TPOに合わせて使い分けます。
濃い色のものや、派手な柄が入った帯板は基本的にカジュアル用です。花柄や格子柄・ドット・ストライプなど柄の種類は豊富なので、好みのものを探し出してみてください。
無地で淡く上品な色合いをした帯板はフォーマル用で、留袖や訪問着などに使用します。
白色ベースに金糸・銀糸を織り込んだ無地の帯板は、婚礼用です。不祝儀の際には、黒色で無地の帯板を使うのがルールとなっています。
帯板の代用となるもの
着付けの際に帯板を用意できなかった場合、代用として使えるアイテムを2つ紹介します。
厚紙
厚紙を帯板のサイズに切り抜くことで、代用品として使用できるようになります。
使用する厚紙は、しっかりと厚みのあるものを選びましょう。ペラペラとした紙だと帯のシワを防ぐことができず、帯板の役割を果たせません。
クリアファイル
クリアファイルも帯板の代用品になります。帯板のサイズに切り抜き、開いている箇所はテープで留めましょう。クリアファイルがない場合は下敷きを使用しても構いません。
帯板に関するよくあるお悩み・疑問
帯板に関するよくあるお悩み・疑問を2つ紹介します。
各お悩み・疑問を解決します。
帯板が固すぎて体に馴染みません
固めの帯板を購入すると、使い始めは体にフィットしづらいかもしれません。
最初は固さゆえにカーブしづらいので帯が浮いて見え、不格好に感じられることもあるでしょう。
帯板の固さを解消するためには、保管時に丸く曲げておくことをおすすめします。カーブの形状が癖になり、体にもフィットしやすくなります。
また、帯板は何度も使ううちに柔らかくなり、体に馴染むようになるものがほとんどです。これから着物をたくさん着る予定の方は、まずは複数回使ってみると良いでしょう。
反対に、着物を着る機会の少ない方は、柔らかい素材の帯板を買い直した方が手っ取り早いかもしれません。
帯板のサイズが合わないとどうなるの?
帯板のサイズが合わないと、着心地が悪くなることはもちろん、見た目が不格好になってしまいます。
帯板が長すぎる場合、腰にあたって痛かったり、恰幅がよく見えてしまったりするのです。
かと言って短すぎると、帯の両端にシワが寄ってしまい、だらしない印象を与えかねません。
また、帯板の幅が広すぎると帯からはみ出て見えてしまう可能性もあります。帯板は外から見えないものなので、少しでもはみ出ていると違和感のある着姿になるでしょう。
一方で、帯板の幅が狭すぎる場合も帯の上下にシワがよりやすくなるデメリットがあります。
これらの理由から、帯板を購入する際は実際に試着して選ぶことをおすすめしています。
まとめ
本記事で解説した帯板についての内容を、改めて以下にまとめます。
- 帯板とは、帯の下や間に入れて使う板のこと
- 体の前面に入れる「前板」は、帯のシワを防ぐ役割がある
- 体の背面に入れる「後ろ板」は、変わり結びを美しく見せる役割がある
- サイズの長い帯板はフォーマル向き、短い帯板はカジュアル向きである
- デザインが無地で淡い色の帯板はフォーマル向き、柄付きで濃い色の帯板はカジュアル向きである
- 帯板がない場合は、厚紙やクリアファイルでも代用できる
帯板の役割や用途・使い方などひと通り理解できたでしょうか。帯板を有効に活用することで着付けのレベルも一段階アップします。
本記事を参考に、自分に合う帯板をじっくり選んでみてください。
この記事が、帯板について知りたい方の参考になれば幸いです。