「着物を自分で着付けると苦しい…。」
「今度着物を着るとき、苦しくならないか心配…。」
本記事にたどり着いたあなたは、上記のようにお悩みではないでしょうか。
たしかに着物は、着付けの方法を誤ると苦しく感じてしまう場合があります。
しかし、正しく着ることができれば着物を苦しいと感じることはありません。
そこで本記事では、着物が苦しいと感じてしまう原因5つと、苦しいときの対処法3つ、そして苦しくならない着付けの方法を解説します。
最後まで読み、着物を楽しめるようになりましょう。
着物は何が苦しいの?
着物が苦しいと感じる方は多いのは事実ですが、具体的に何が苦しいのでしょうか?Twitter上で調査してみました。
Twitter上の声をまとめると、苦しいと感じる理由は主に以下であることが分かりました。
- みぞおちが痛い
- 胃が圧迫される
- 苦しくて呼吸がしづらい
- 胸が潰されて苦しい
人それぞれ苦しいと感じる理由は異なりますが、いずれも圧迫されることが起因となっているようです。
着物が苦しいと感じてしまう原因5つ
着物が苦しい理由は圧迫であることが分かりました。ではなぜ着付けの方法によって圧迫感を覚えてしまうことがあるのでしょうか?主に5つの原因が挙げられます。
- 腰紐の位置が高い
- 帯枕の締め付けが強い
- 裾除けの紐の位置が高い
- 胸紐を強く締めすぎている
- 紐の結び目やクリップがみぞおちに入る
それぞれ詳しく説明します。
腰紐の位置が高い
腰紐を締める位置が高いと、食い込みを感じやすくなり苦しくなってしまいます。
ウエストや胃・みぞおちの位置で締めるのはNGです。着た直後から苦しく感じてしまうでしょう。食事後に苦しさを覚え、吐き気などを催す可能性もあります。
腰紐は、腰骨の少し上で結ぶのが正しい方法です。締め付けが強くなりすぎません。また、腰紐は前下がりになるように結ぶと苦しさを感じづらくなるためおすすめです。
帯枕の締め付けが強い
意外かもしれませんが、帯枕も着物の苦しさに原因しています。
お太鼓を形作るための帯枕は、固定するために紐を結びますが、締め付けすぎると食い込んでしまうのです。
紐を結ぶ位置も重要で、体の真正面に結び目を持ってくるとみぞおちや胃に直接当たり、苦しくなってしまいます。
帯枕の紐は帯の下にしまうので、帯枕団体だけではなく帯の圧迫も受けやすく、苦しい原因となりやすい箇所です。正しい結び方は後述するので、必ず覚えておきましょう。
裾除けの紐の位置が高い
裾除けは長襦袢の下に着る着物用の肌着ですが、こちらも紐を結ぶ位置が高すぎると締め付けを感じやすくなってしまいます。ウエストではなく、腰骨のすぐ上で結ぶようにしましょう。
また、裾除けの紐はそもそもきつく結ぶ必要がありません。やさしい力で結ぶことをおすすめします。なかにはパンツタイプ・スカートタイプなど紐を締める必要が無い裾除けや、上半身と一体になったワンピースタイプ・スリップタイプの裾除けもあります。
苦しい思いをしたくない方は、このような裾除けを選ぶと良いでしょう。
胸紐を強く締めすぎている
胸紐を強く締めると、呼吸が苦しくなる場合があります。胸紐は衿合わせを整えたり着崩れを防いだりするための補助アイテムなので、強く締める必要はありません。軽く締めるようにしましょう。
また、胸紐の代わりにコーリンベルトを使用することもできます。ゴム製で伸縮性があり、かつ長さ調整もしやすいので、苦しさを軽減したい方におすすめです。
紐の結び目やクリップがみぞおちに入る
腰紐・帯枕の紐・裾除けの紐・胸紐などの結び目同士が重なると、圧迫感が増して苦しくなります。重なる箇所がみぞおちや胃だと苦しさも倍増です。
また、コーリンベルトを使用した場合、クリップ部分が肋骨に当たって痛さを感じる場合もあります。
結び目と結び目、そしてコーリンベルトのクリップが重ならないよう、着付けの際には位置をずらしましょう。
着物が苦しいときの対処法
ここまでは、着物が苦しいと感じる原因を解説してきました。
それでは、着付けが終わった後に苦しいことに気付いたらどうすれば良いのでしょうか?対処法を3つ紹介します。
- 帯締めを緩める
- 帯を下に引く
- 腰紐・胸紐・帯枕の紐を緩める
1つずつ詳細を見ていきましょう。
帯締めを緩める
着物を着ていて苦しさを感じる場合、まずは帯締めを緩めてみてください。
帯締めを緩めることで帯からの圧迫が減り、苦しさが解消される場合があります。
緩めすぎると落ちてしまう可能性があるので、帯との間に指一本分の隙間ができるくらいに留めておきましょう。
それでも苦しさが変わらない場合は、次に紹介する方法を試してみてください。
帯を下に引く
帯の位置が高いとみぞおちや胃・胸元が圧迫されてしまうので、軽く下に引いてみましょう。
息を吸いながら下に引くことで、帯を正しい位置に戻せます。
それでも苦しければ、帯自体を緩めるのも有効な手立てです。着物と帯の間に指を入れ、左右に動かすことで隙間が生まれます。余裕が生まれるので少し楽になるはずです。
ただし、帯を緩めすぎると着崩れの原因にもなるため注意してください。万が一緩めすぎてしまった場合は、帯と着物の間にハンドタオルを挟み、ズレたり落ちたりしないように調整してください。
腰紐・胸紐・帯枕の紐を緩める
上記2つを試しても苦しさが変わらなければ、腰紐・胸紐・帯枕の紐を結び直しましょう。
一度紐をほどいたら大きく息を吸い、肋骨や肺を広げた状態で結び直します。そうすることで結んだ後はある程度余裕ができ、苦しくなくなります。
また、紐を緩める際は結び目にも気をつけましょう。体の正面ではなく、左右にずらした位置で結び直すことをおすすめします。みぞおちに結び目が当たらなくなるので、楽に過ごせるようになります。
そもそも着物で苦しくならないための、着付けの方法
着物で苦しくなる方は、そもそも着付けの方法が誤っている可能性が高いです。正しい着付けをすれば苦しくなることはほとんどありません。
ここでは、着物で苦しくならないための着付けの方法を解説します。
- 腰紐・胸紐・帯枕の紐を変える
- 紐を正しい高さ・場所で結ぶ
- 姿勢を正して着付けを行う
各項目の詳細を説明していきます。
腰紐・胸紐・帯枕の紐を変える
着物が苦しい理由は、使用している腰紐・胸紐・帯枕の紐自体に原因があるかもしれません。
細すぎる紐や薄手の紐は食い込みやすいため、苦しさを感じやすくなります。太く、厚手の紐を選びましょう。面で抑えるようにして使えるため、食い込みや締め付けが弱くなり、苦しさを感じづらくなります。
また、素材によっては力を加えることで細くねじれてしまったり、緩みやすいため強い力が必要になったりする紐もあるので注意してください。ゴムタイプやモスリン素材の紐は締め付けや食い込みを抑えやすいのでおすすめです。
また、使ううちに細くなってしまった紐はアイロンをかけて伸ばすことで元に戻る場合もあります。試してみてください。
紐を正しい高さ・場所で結ぶ
腰紐や裾除けの紐は、結ぶ位置が高すぎると苦しく感じてしまいます。ウエストラインではなく、腰骨のすぐ上で結ぶようにしましょう。結び目が体の正面だとみぞおちや胃に食い込みやすくなってしまいます。正面ではなく、左右にずらした位置で結ぶことをおすすめします。
また、結び目同士が重なると食い込みが強くなってしまうため、結ぶ位置はずらすようにしてください。
帯枕の紐は、結び目を伊達締めと帯の間にしまうことで締め付けすぎずに済みます。結び目を伊達締めの内側にしまうと直接食い込んでしまうので注意してください。
姿勢を正して着付けを行う
着物は姿勢を正して着るものなので、姿勢が悪い状態で着付けを行うと苦しく感じやすいです。背筋をピンと伸ばし、真っ直ぐ立って着付けを行いましょう。
また、着付けの際には大きく息を吸っておくこともおすすめします。息を吸って肋骨や肺を広げておくことで、着付け後の呼吸のしづらさを改善できます。食い込みや締め付けも抑えられるので、着付け後も楽に過ごせるでしょう。
苦しくならない着付けを学ぶなら…
ここまで、着物が苦しいと感じてしまう原因と対処法、そして苦しくならない着付けの方法を解説してきましたが、文字だけで全てを理解するのは難しいかもしれません。
もしあなたが着物で苦しい思いをしたくないのであれば、正しい着付けを直接プロから学びましょう。
着付け教室には、着付けに精通したプロの講師が多数在籍しています。一から手取り足取り教わることができるので、初心者の方でも安心して正しい着付けを習得できます。
以下の記事では、初心者におすすめの着付け教室を厳選して紹介しているので、苦しくない着付けを学びたい方はぜひ目を通してみてください。
まとめ
本記事で解説した内容を、改めて以下にまとめます。
- 腰紐の位置が高い
- 帯枕の締め付けが強い
- 裾除けの紐の位置が高い
- 胸紐を強く締めすぎている
- 紐の結び目やクリップがみぞおちに入る
- 帯締めを緩める
- 帯を下に引く
- 腰紐・胸紐・帯枕の紐を緩める
- 腰紐・胸紐・帯枕の紐を変える
- 紐を正しい高さ・場所で結ぶ
- 姿勢を正して着付けを行う
正しい着付けを習得し、着物を楽しめるようになりましょう。
自身の着付けの方法が正しいか不安な方は、着付け教室でプロから教わることも選択肢に入れることをおすすめします。
この記事が、着物の苦しさで悩んでいる方のお役に立てていれば幸いです。