「パーティーに着物を着ていきたいけど、マナーが分からない」とお悩みではないでしょうか?
どんな着物が適しているかはパーティーの規模によって異なります。
本記事では、格式高いパーティーと格式張らないパーティーにおいて、それぞれどのような着物が適しているのかを紹介します。
記事後半では、着物を選ぶ際の注意点やパーティーでの所作のポイントも解説します。
記事をひと通り読んで、パーティーに適した着物を選べるようになりましょう。
格式高いパーティーに適した着物は3種類!
格式高いパーティーには、以下の3種類の着物が適しています。
- 色留袖
- 振袖
- 訪問着
それぞれ詳しく説明します。
色留袖
色留袖とは、留袖の中でも生地が黒以外のものを指します。
格式高いパーティーには、三つ紋もしくは一つ紋の色留袖を着て行くのがおすすめです。五つ紋の色留袖は黒留袖(第一礼装)と同格となるため、パーティーに対しては格が高すぎます。
振袖
振袖は未婚女性の第一礼装で、フォーマルなパーティーにぴったりの着物です。
袖丈85cm前後の小振袖を着て行くのが一般的ですが、袖丈100cm前後の中振袖でも良いでしょう。中振袖は成人式で使われる着物なので、持っている方も多いのではないでしょうか。
袖丈114cm前後の大振袖は、結婚式や披露宴で花嫁が着用するものなので、パーティーには向いていません。
訪問着
訪問着は、色留袖や振袖よりは格の低い着物ですが、紋の数や合わせる帯によっては格式高いパーティーにも着ていけます。三つ紋や一つ紋の訪問着に、金糸や銀糸の袋帯を合わせましょう。
紋なしの訪問着は格式張らないパーティーにおすすめです。
格式張らないパーティーに着ていける着物3種類
格式張らないパーティーで格の高い着物を着ると、かえって不釣り合いになってしまいます。以下の3種類から選ぶのが良いでしょう。
- 付け下げ
- 色無地
- 江戸小紋
各着物について詳しく解説します。
付け下げ
一つ紋の付け下げは、袋帯を締めることで格式張らないパーティーに適した着物になります。紋なしのものや、名古屋帯を合わせたものは少々カジュアルになりすぎてしまうため注意してください。
左肩に入ったワンポイントの柄が可愛らしく目立つため、コーディネートを組みやすいのも付け下げの特徴です。
色無地
色無地とは、黒以外の一色のみで染められた着物のことです。控えめな着物なので、格式張らないパーティーであっても主役の方には少々物足りないかもしれません。
司会者をはじめとした、主役を立てるような立場でパーティーに参加する場合は色無地を着ていくと良いでしょう。
江戸小紋
カジュアルなパーティーには、一つ紋の江戸小紋も合います。細かく繊細な柄が気品高く感じられます。
紋なしの小紋は街着や普段着として着るものなので、たとえ格式張らないパーティーでも着ていけません。
パーティーで着物を着る際に気をつけたいこと
パーティーに着物で参加する際に、押さえておきたい重要なマナーを2つご紹介します。
- ドレスコードに合う着物を着る
- 立場に適した着物を着る
上記はいずれも重要なマナーです。知らずに着物を着ていくと失礼にあたるため、きちんと覚えておきましょう。
ドレスコードに合う着物を着る
パーティーによっては、ドレスコードが指定されているケースがあります。
着物の格だけでなく、色や柄などが具体的に指定される場合もあるので、必ずチェックしておきましょう。特に指定がない場合は、以下の項目を参考に着物を選んでみてください。
立場に適した着物を着る
パーティーにどんな着物を着て行くべきかは、参加する立場によっても異なります。
- 主催者
- 司会者
- 来賓
- 招待客
それぞれどんな着物が適しているのか、立場ごとに詳しく説明します。
主催者
主催者は、できる限り豪華な着物を着るのが好ましいとされています。自身の人柄が伝わるような、ある程度個性的な着物を着て行きましょう。
また、主催者はステージ上に立って話したり、招待客や来賓と話すために会場をまわったりする場面が多いため、着物や帯が注目される機会も非常に多くなります。
ひと目で主催者と分かるような豪華さを意識して着物を選びましょう。
司会者
司会者は主催者より目立ってはいけません。控えめな着物を着て行くのが無難です。落ち着いた色合いの色無地や、柄の少ない着物を着ていくのが良いでしょう。
主賓
主賓の方は格が高い着物を着て行くのがマナーです。紬や小紋などの格が低い着物を着て行くことは、かえって失礼に当たります。
着姿だけで祝福の気持ちが伝わるような、高貴な着物を選びましょう。
招待客
招待客が着る着物は、主催者や来賓よりも格を下げるのがマナーです。パーティーの主役にあたる人物が当日着る着物を確認し、それよりも目立たないものを着て行くようにしてください。主役が引き立つ着物を選ぶことが重要です。
【+α】会場によって選ぶ着物を変えるとより良い
会場の広さや明るさによって、着物の見え方は大きく変わります。
広い会場や明るい会場の場合は、光沢のある華やかな着物が美しく映えます。また、全身を見てもらえる機会も多いため、大きくて華やかな柄が良い存在感となるでしょう。一方で、落ち着いた色や柄の着物は質素に見える可能性があるため避けるのが賢明です。
狭い会場や暗い会場の場合は、控えめな色・柄の着物の方が上品に見えるためおすすめです。
豪華で光沢のある着物や、柄が大きく目立つ着物は、品性が欠けて見えてしまう可能性があります。また、狭いと全身の着姿を見てもらえる機会も少ないです。上半身が注目される機会が多いので、裾よりは帯や胸元のコーディネートに力を入れると良いでしょう。
【+α】季節やイベントに合わせた色・柄を選ぶと粋
季節やイベントに合わせて着物のデザインを選ぶと粋です。
- 春:桜、桃、菜の花、撫子…など
- 夏:あじさい、朝顔、蓮、百合、睡蓮…など
- 秋:紅葉、山茶花、秋桜、萩…など
- 冬:椿、水仙、梅、松、菊…など
その他にも、着物にはたくさんの柄があります。パーティーにどんな柄が合うのか実践的に学びたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。着付け教室では、パーティーに適した着物の選び方を座学と実践の両方で学べます。
着物でパーティーに参加する際の所作
着物でパーティーに参加する際は、所作をよく見られます。主な所作のポイントについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
- 立つ
- 歩く
- 椅子に座る
- 食事する
- 階段を上り下りする
それぞれ詳しく解説します。
立つ
パーティーでは立って過ごすことも多いでしょう。
着物での立ち姿は、背筋をピンと伸ばすことが最も重要です。足は閉じることを意識しましょう。
片足を半歩分前に出し、内股気味に立つと気品高く見えます。
腕は軽く曲げ、指を体の前で揃えましょう。バッグを持っている場合も同様で、指を揃えて相手方に見せると上品な印象になります。
歩く
着物でパーティー会場を歩く際は、歩幅を20~30cm程度にすることを心がけましょう。膝を高く上げず、すり足のように歩くことも大切です。
普段通りの歩き方だと裾が広がり、着崩れの原因となってしまいます。
ゆっくり内股で歩くと、より上品に見えるため、余裕のある方はぜひ試してみてください。
椅子に座る
パーティー会場の椅子に座る際は、帯を潰さないよう浅く座ることが大切です。
裾が床に付かないよう、少し引き上げてから座ることも忘れないようにしましょう。
また、椅子に座る際には着物の袖を巻き込んでしまったり、袖が床に付いてしまったりする可能性もあります。対策として、座る前に体の前で両袖を持つようにしましょう。
食事する
着物は洋服と比べて洗濯が難しいため、一度汚してしまうと元通りに戻すのは非常に大変です。なかには洗濯できない素材のものもあり、専門業者に依頼する必要も生じます。
よって、パーティーで食事をする際には十分な注意を払わなければなりません。
テーブル上の食事や飲み物を取る際は、もう一方の手で袖をおさえ、袂(たもと)が汚れないように気をつけましょう。
その他にも、食べこぼしが付かないよう膝にテーブルナプキンを置く・帯への汚れの付着を防ぐためテーブルと体をつけないなどの工夫が大切です。
階段を上り下りする
パーティー会場によっては階段があることも少なくありません。右手で上前を少し引き上げて、一段ずつ上り下りましょう。そうすることで裾の広がりを抑えられます。
特に階段を下りる際は、足元が見えるよう体を斜めにすることが大切です。足元を見ずに下ると踏み外す危険性があるため注意してください。
まとめ
本記事では、パーティーに適した着物と選ぶ際の注意点、そしてパーティーでの所作のポイントを解説してきました。
- 格式高いパーティーに合う着物:色留袖・振袖・訪問着
- 格式張らないパーティーに合う着物:付け下げ・色無地・江戸小紋
- 着物を選ぶ際はドレスコードを必ず確認する
- パーティーに参加する立場によって、選ぶ着物は変わる
- 会場の広さや明るさも着物を選ぶポイントの1つとなる
- 季節やイベントに合ったデザインの着物を選ぶと粋
また、着物でパーティーに参加する際の所作についてもまとめます。
所作 | ポイント |
---|---|
立つ | ・背筋を正す ・片足を半歩分前に出す ・内股気味に立つ |
歩く | ・歩幅を20~30cm程度にする ・膝を高く上げすぎない |
椅子に座る | ・帯を潰さないよう浅く座る ・裾を少し引き上げながら座る ・両袖を体の前で持ってから座る |
食事する | ・食事や飲み物を取る際は、もう一方の手で袖をおさえる ・テーブルナプキンを膝に置く ・テーブルと体をつけない |
階段を上り下りする | ・右手で上前を少し引き上げる ・下りるときは体を斜めにして足元を見る |
本記事の内容を参考に着物を選んで、パーティーを存分に楽しんでください!
この記事が、パーティーにおける着物の選び方を迷っている方の参考になれば幸いです。