お茶会に初めて参加する方は、着物をどう選んだら良いか、何を持って行ったら良いか、どんなマナーがあるかなどたくさんの不安がありますよね。
本記事ではそんな不安を払拭するため、お茶会における基礎知識を初心者向けに詳しく解説します。
着物の種類や生地・柄の選び方や、持ち物・マナーなどをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
記事を読んで理解することで、お茶会への不安が和らぎ、当日も楽しめるようになりますよ。
お茶会に着ていける着物
お茶会に着ていける着物は、主に以下の5種類になります。
着物の種類 | 着ていける場面 |
---|---|
色留袖 | 家元での初釜 |
訪問着 | 初釜・炉開き・月釜・フォーマルな大寄せなど |
付け下げ | 初釜・炉開き・月釜・フォーマルな大寄せなど |
色無地 | 初釜・炉開き・利休忌・月釜・フォーマルな大寄せなど |
小紋 | 普段のお稽古・野天・カジュアルな大寄せなど |
各着物の詳細について説明します。
振袖
振袖は、下記のような格式高いお茶会に向いています。
- 初釜:年明け初のお茶会。
- 炉開き:旧暦の10月10日(新暦では11月)に新茶を飲むお祝い・行事。
- 利休忌:千利休の忌日。
振袖は未婚女性の第一礼装と言われるほど格の高い着物です。なかでもお茶会で推奨されるのは、袖丈85cm前後の「小振袖」です。
袖が長すぎると幅を取ってしまい他の方の邪魔になりかねないので、中振袖を着ていきたい場合は事前に相談しておくと良いでしょう。
また、振袖は派手な帯結びが特徴ですが、あまりにボリュームがあるとスペースを取ってしまうため、できるだけ控えめな帯結びを選ぶようにするのがポイントです。
色留袖
色留袖は、家元での初釜といった非常に格式高い場面で着用します。それ以外の場面で着ることはほとんどありません。
また、お茶会に色留袖を着ていく機会がある場合は、一つ紋を選びましょう。三つ紋・五つ紋だと少々格が高すぎてしまいます。
訪問着
訪問着は、さまざまなお茶会に着ていけます。
- 初釜:年明け初のお茶会。
- 炉開き:旧暦の10月10日(新暦では11月)に新茶を飲むお祝い・行事。
- 月釜:毎月決まった日時に開催されるお茶会。
- 大寄せ:大勢の客を集めて大々的に開催されるお茶会。
大寄せはカジュアルなものからフォーマルなものまでありますが、訪問着はフォーマル向けです。カジュアルな大寄せに訪問着を着ていくと、少々かしこまった印象に感じられてしまうかもしれません。
付け下げ
付け下げも訪問着同様、色々なお茶会に適している着物です。
- 初釜:年明け初のお茶会。
- 炉開き:旧暦の10月10日(新暦では11月)に新茶を飲むお祝い・行事。
- 月釜:毎月決まった日時に開催されるお茶会。
- 大寄せ:大勢の客を集めて大々的に開催されるお茶会。
付け下げは訪問着よりも格が低いので、フォーマルなお茶会に参加する際は注意が必要です。格が高い帯や小物を使うことで、付け下げ自体の格を上げられるので、工夫してコーディネートを組みましょう。
色無地
茶道を本格的に始めるのであれば、一着は持っておきたいのが色無地です。柄がなく控えめな印象なので、どんなお茶会にも合わせやすくなっています。
特におすすめなのが、染め抜き一つ紋の色無地です。三つ紋だと格が高すぎてしまい、紋なしだと格が下がりすぎてしまうため、どちらも着ていく機会が限られてしまいます。
染め抜き一つ紋の色無地は、初釜・炉開き・利休忌といった格式高いお茶会から、月釜・大寄せといったセミフォーマルなお茶会まで着ていける便利な一着です。
小紋
小紋はカジュアルなお茶会に最適な着物です。以下のお茶会に着ていけます。
- 普段のお稽古
- 野天:屋外で開催されるお茶会。
- カジュアルな大寄せ:大勢の客を集めて大々的に開催されるお茶会。
小紋は気楽に着ていける着物なので、一着持っておくと良いでしょう。お茶会以外の時にも、普段着着物として使いやすいためおすすめです。
重要:主催者より格の低いものを選ぶのがマナー
ここまではお茶会に適した着物の種類を解説してきましたが、何よりも重要なのは主催者より買うの低い着物を選ぶことです。敬意を示すため、主催者の方よりは格が低い着物を着るのがマナーです。
しかし、主催者の方が何を着てくるのかは当日にならないと分からないですよね。予想した着物よりも格が低かった、なんてことがあったらたいへんな事態です。
そういったことを防ぐために、あらかじめ主催者の方に質問しておくのが良いでしょう。
「どんな着物を着ていけば良いですか?」と聞けば間違いありませんので、必ず事前確認することをおすすめします。
お茶会に着ていく着物の選び方
お茶会に着ていく着物は、下記の軸で選ぶことができます。
- 染め方
- 生地
- 文様
それぞれどう選ぶべきなのか、深掘って解説していきます。
染め方
茶道では主に、「やわらかもの」と言われる染めの着物を着用します。
やわらかもの(染めの着物)とは、白い糸の状態で生地を織り、後から色を染めて柄を作った着物のことです。
反対に、糸そのものを先に染め、色が付いた糸を織ることで柄を作り出している着物を「かたもの(織りの着物)」と呼びます。
一般的に、やわらかもの(染めの着物)の方が、かたもの(織りの着物)よりも格が高いとされています。よって、あらたまった場であるお茶会にはやわらかもの(染めの着物)が適しているのです。
また、やわらかもの(染めの着物)は生地が柔らかく、体に沿うため、所作が美しく見えるといった理由で茶道に向いているともされています。立ち座りや道具を扱う動作が多いからこその理由と言えるでしょう。
生地
お茶会に適している着物の生地は、主に以下が挙げられます。
- 綸子(りんず):繻子織で織られた、後染めの絹生地。光沢と柔らかい手触りが特徴。
- 緞子(どんす):繻子織で織られた、先染めの絹生地。模様がハッキリと出ている重厚感が特徴。
- 縮緬(ちりめん):平織で織られた絹生地。シボの厚みと温かみが特徴。
7~8月の夏の季節には、絽(ろ)や紗(しゃ)といった薄手な生地が適しています。
季節も考慮した上で生地を選びましょう。
文様
着物の文様は、季節やイベントによって選び分けると良いでしょう。
- 春:桜、桃、菜の花、撫子…など
- 夏:あじさい、朝顔、蓮、百合、睡蓮…など
- 秋:紅葉、山茶花、秋桜、萩…など
- 冬:椿、水仙、梅、松、菊…など
柄の種類や選び方についてより詳しくは、以下の記事で解説しています。
粋な柄を選んでコーディネートを楽しんでみてください。
お茶会に着ていく着物の帯の選び方
お茶会に着ていく着物の帯は、着物の種類に合わせて選びます。
着物の種類 | 帯 |
---|---|
振袖 | 袋帯 |
色留袖 | 袋帯 |
訪問着 | 袋帯、名古屋帯 |
付け下げ | 袋帯、名古屋帯 |
色無地 | 袋帯、名古屋帯 |
小紋 | 名古屋帯、洒落袋帯 |
格式高いお茶会の場合は、袋帯を選べば間違いありません。
金糸・銀糸を用いたものや、古典柄のものはさらに格を上げられるので、よりフォーマルなシーンで使ってください。
名古屋帯や洒落袋帯は気楽なお茶会に適しています。ただし、基本的にお茶会はあらたまった場なので、織りの名古屋帯を選ぶのが無難です。織りの帯の方が、染めの帯よりも格が高いとされています。
お茶会に持って行くもの
お茶会では、最低限以下の持ち物を持って行きましょう。
- 扇子
- 懐紙
- 菓子切り
- 足袋
それぞれ詳しく説明します。
扇子
扇子は、お茶会での挨拶に使われます。仰いで使うことはありません。
基本的に扇子は、手に握っておくか、畳の上に置いておきます。
自身が茶室に入る際や、お客様を迎える際に、正座した前に扇子を置き、体と扇子の間に両手をついて挨拶をします。
必須アイテムなので、忘れずに持って行きましょう。
懐紙
懐紙とは、二つ折りの小ぶりな和紙のことを指します。お茶会では、和菓子を乗せる用の紙として使用します。
かつてはメモ紙やティッシュ・ハンカチのような役割で扱われていました。
お茶会においては、白色の懐紙を持って行くようにしてください。
菓子切り
菓子切りとは、その名の通り和菓子を切るための道具です。
お茶会でいただいた和菓子を切るために必要なので、必ず持ち歩きましょう。
持ち歩く際は、懐紙に挟んでおくのが一般的です。
足袋
お茶会では、茶室に入る前に足袋を穿き替えるのがマナーです。よって、替えの足袋は必須の持ち物となります。
替えの足袋を用意できない場合は、お茶会に行くまでの間は足袋カバーを穿くようにしてください。茶室の前でカバーを脱げばOKです。
お茶会でのマナー
お茶会でのマナーはさまざまなものがあります。
- 髪は一つにまとめる
- アクセサリーは付けない
- 口紅は控えめにする
- 香水はつけない
- 帯結びは邪魔にならない種類を選ぶ
上記のすべてに共通しているのは、お茶会の邪魔にならないようにする配慮です。
長い髪の毛は、お辞儀する際やお茶を飲む際に邪魔になります。
指輪やネックレス・時計などのアクセサリーは道具を傷つける可能性があります。濃い口紅は、茶器について汚れてしまうかもしれません。香水は、お茶の香りを妨げてしまう要因です。
また、帯結びが派手だと他のお客様にあたってしまうリスクがあります。
このように、お茶会の妨げになることはマナー違反です。他者への配慮を持って参加するようにしましょう。
お茶会の着物選び・着付けで失敗しないためには
お茶会の着物選び・着付けで失敗しないためには、事前知識をしっかりと付けておくことが大切です。
もし不安が残る場合は、一度練習の場を設けると良いでしょう。
着付け教室ではお茶会での着物の選び方や振る舞い方を一から教わることができます。教室主催のお茶会で練習する機会もあるので、一度参加してみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、おすすめ着付け教室を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。