嫁入り道具でもらった着物が眠ったままになっている方は多いのではないでしょうか。
また、せっかくもらった着物を有効活用したくても、着物の種類が分からないとどうしようもありませんよね。
そこで本記事では、嫁入り道具でもらった着物の種類の見分け方をわかりやすく解説していきます。
最後まで読めば、自分の持っている着物の種類が分かり、活用方法を具体的に考えられるようになりますよ。
嫁入り道具でもらった着物の種類を確認しよう
嫁入り道具でもらった着物が何だか分からないという方は、まず種類を確認しましょう。
着物には、下記の種類があります。
- 打掛(うちかけ)
- 振袖(ふりそで)
- 黒留袖(くろとめそで)
- 色留袖(いろとめそで)
- 訪問着(ほうもんぎ)
- 付け下げ(つけさげ)
- 色無地(いろむじ)
- 小紋(こもん)
- 紬(つむぎ)
各着物の特徴を紹介していくので、自分が持っている着物がどれか確かめてみてください。
打掛(うちかけ)
打掛は、結婚式の時に着る花嫁衣裳なので嫁入り道具としてもらう方は少ないかもしれません。
打掛には、白無垢と色打掛の2種類があります。
白無垢は、白一色で仕立てられた着物です。着物以外の帯や小物も白で統一されています。嫁入り道具として持っている着物が全て白色だった場合は白無垢で間違いないでしょう。
色打掛には、鮮やかな色や柄が用いられています。赤を基調とした物が多いですが、それ以外の色が多用されていることも少なくありません。
振袖(ふりそで)
成人式の際に使用した振袖を、嫁入り道具として持たせる家庭も多いようです。
過去の写真を見返して、色や柄が一致しているか確認してみてください。
振袖は未婚女性の第一礼装と言われているため、嫁入りのタイミングで新たに購入することは考えづらいでしょう。
なお、振袖は未婚女性の第一礼装とはいえ、既婚女性が着てはいけないものというわけではありません。着用できる機会は多いため、ぜひ活用してみてください。
また、振袖の特徴としては袖が長いことも挙げられます。振袖には大振袖・中振袖・小振袖の3種類があり、それぞれの袖丈は下記の通りです。
種類 | 袖丈 |
---|---|
大振袖 | 114cm前後 |
中振袖 | 100cm前後 |
小振袖 | 85cm前後 |
持っている着物が振袖かどうか分からない場合は、袖丈を測って判断してみてください。
黒留袖(くろとめそで)
黒留袖は、着物の生地が黒色で、裾周りにのみ柄が入っています。また、背中・両後ろ袖・両胸に紋が入っていることも大きな特徴です。
嫁入り道具の着物が黒色であれば、柄の位置と紋の有無を確認すると黒留袖かどうかが判断できます。
なお、嫁入り道具としてもらった黒留袖には、実家の紋が入っている可能性が高いです。結婚式や披露宴に参列する際は、実家の紋が入っていて問題ないか確認しましょう。
もし紋を揃えなければならない場合は、紋を付け替える必要があります。
色留袖(いろとめそで)
色留袖は、生地の色が黒色以外の留袖を指します。黒留袖同様、柄が入っているのは裾周りのみです。
紋の数によって着用できる場面が変わるので確認しておきましょう。
種類 | 着用シーン |
---|---|
五つ紋 | 親族の結婚式・披露宴や式典など |
三つ紋 | 親戚の結婚式・披露宴、祝賀会など。 |
一つ紋 | 親戚の結婚式・披露宴、パーティ、子どもの入学式・卒業式など。 |
まずは柄の位置で留袖かどうかを確認し、次に生地の色を見て、色留袖か黒留袖かを判断するのが確実です。
訪問着(ほうもんぎ)
訪問着の柄は、裾や襟をまたがって続いています。留袖とは異なり、上半身にも柄が入っているので見分けがつきやすいです。
ただし、上半身の柄が、襟をまたがずに独立していた場合は訪問着ではないので注意してください。
訪問着は着ていけるシーンが非常に幅広いです。
- 結婚式・披露宴
- お茶会
- お宮参り
- 子どもの七五三
- 子どもの入学式・卒業式
- 観劇
- お食事会
- 同窓会
- 祝賀会…など
便利に活用できる一着なので、嫁入り道具としてもらった場合は、さまざまな場面に着ていきましょう。
付け下げ(つけさげ)
付け下げを見分けるポイントは簡単です。
着物の左肩にワンポイントの柄が入っていれば、それは付け下げです。裾にも柄が入っています。柄がワンポイントではなく、襟を跨いでいた場合は訪問着なので、見分ける際には注意してください。
付け下げは、合わせる帯によって格が変わり、着ていける場面も変わるのが特徴です。
帯の種類 | 着用シーン |
---|---|
袋帯 | 子どもの入学式・卒業式、七五三、お宮参りなど |
名古屋帯 | 観劇、お食事会、同窓会、祝賀会など |
帯の長さが、400~450cm程度であれば袋帯、330~360cmであれば名古屋帯です。
付け下げと一緒にもらった帯の種類が何なのか、併せて確認しておきましょう。
色無地(いろむじ)
色無地には柄がついていません。嫁入り道具の着物が無地であれば、色無地で間違いありません。
よく見るとうっすら模様が見える場合もありますが、それは「地紋」といって生地自体に織り込まれているものになります。
色無地の着用シーンは、地紋の有無と合わせる帯によって変化するので、確認しておきましょう。
地紋の有無 | 帯の種類 | 着用シーン |
---|---|---|
あり | 袋帯 ※紋入りの色無地に名古屋帯は合わせない) | 子どもの卒業式・入学式、七五三、お宮参りなど |
なし | 袋帯 | 同窓会、祝賀会など |
なし | 名古屋帯 | お食事会、観劇など |
小紋(こもん)
小紋には、生地全体に柄が入っています。柄の種類はたくさんあるので、ひと目で見極めるのは難しいかもしれません。大きく以下の3種類に分類できます。
小紋の種類 | 特徴 |
江戸小紋 | 無地に見えるほど細かい柄 |
加賀小紋 | 一つの模様が大きく、華やかな柄 |
京小紋 | 自然をテーマとすることが多い柄 |
柄が異なるだけで、格や着用シーンは変わらないので安心してください。
小紋は、普段着着物として使えるカジュアルな着物です。ちょっとしたお出かけなどで活躍するので、嫁入り道具としてもらってから一度も使っていない方は、一度着て外出してみてはいかがでしょうか。
紬(つむぎ)
紬も小紋同様、生地全体に柄が入っています。しかし、小紋とは異なり絵模様が描かれていないことが多いため、そこが見分けるポイントになります。
また、紬は先染め(=糸を先に染めてから織る手法)の着物なので裏地を見ても同じ柄が入っている点も小紋との見分けるポイントです。
紬はカジュアルな普段着として活用できる着物です。買い物や遊びの予定などに着ていけるので、気軽に着用してみてください。
嫁入り道具でもらった着物の状態を確認しよう
種類を確認したら、次はその着物の状態を確認しましょう。
状態の悪い着物はそのまま着ていけないので、修繕する必要があります。
着物は保管期間が長ければ長いほど劣化している可能性が高いので、必ずチェックしてください。
チェック方法としては、着物をハンガーに掛けて干し、全体を確認するのがおすすめです。床に置いた状態では見落とす可能性があるためです。
着物をハンガーに干したら、以下の3つの項目をチェックしていきましょう。
- 染み、汚れ
- ほつれ、虫食い
- しわ
それぞれ詳しく説明します。
染み、汚れ
着物の染み・汚れの原因は、主に以下の5つに分けられます。
- 【油性】口紅・ボールペンなど
- 【水性】紅茶・コーヒーなど
- 【油性×水性】マヨネーズ・ドレッシングなど
- 【不溶性】泥・墨汁など
- 【タンパク質】汗・皮脂など
染みや汚れが軽度であれば、自身で対処できる場合もあります。
油性の染み・汚れは、ベンジンを使って落としましょう。水性の染みやタンパク質汚れは、中性洗剤を使って落とすことが可能です。
不溶性の汚れは、歯ブラシや毛先の柔らかいブラシでこすれば落とせることがほとんどです。
染みや汚れが重度な場合、また原因が分からない場合は自分で対応するのではなく、専門店に頼りましょう。着物は非常に繊細な衣類なので、誤った方法で対処するとより染み・汚れが悪化してしまう可能性があります。
費用は着物の種類や染み・汚れの程度によりますが、3,000円~20,000円程度で依頼できます。
ほつれ、虫食い
着物を長期間タンスやクローゼットに入れていた場合、ほつれや虫食いが発生している可能性は非常に高いです。湿気が溜まり、虫が好む環境になってしまっているからです。
定期的に虫干ししたり、たとう紙を変えていたりすれば問題ありませんが、そうでなければ、ほつれや虫食いがないか隅々まで確認してください。
万が一ほつれや虫食いがあった場合は、専門店に依頼して修繕してもらいましょう。
一カ所あたり5,000円~25,000円程度で依頼できます。
また、ほつれや虫食いを起こさないためには保管方法も重要です。以下の記事で正しい保管方法を解説しているので、併せてお読みください。
しわ
長い間畳んで保管していた着物には、多くの場合しわがついています。
しわを発見したら、まず着物の素材を確認してください。下記の素材は自力でしわを取るのが難しいので、専門店に依頼する必要があります。
- 金箔・銀箔などの箔加工がされている素材
- 刺繍が施されている素材
- 天然染めがされている素材
- 正絹・縮緬・楊柳などの素材
それ以外の素材であれば、アイロンやしわ取りスプレーで対応可能です。
ただし、アイロンやしわ取りスプレーの使い方にはいくつか注意点があります。以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。
嫁入り道具でもらった着物を着よう
本記事を通して、嫁入り道具でもらった着物の種類は明らかになりましたか?
せっかくもらった着物なので、ただ保管するだけではなく、実際に着て楽しんでみてはいかがでしょうか。
着物の着方が分からない方は、着付け教室で習うと良いでしょう。最近の着付け教室は1レッスン1コインで受けられるリーズナブルなところも多く、気軽に通えます。
以下の記事では、初心者におすすめの着付け教室をランキング形式で紹介しています。嫁入り道具でもらった着物を着てみたいという方は、ぜひ参考にしてください。